忍者ブログ

[PR]

2026年06月14日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

偽りの恋で5題(GX:十エド)

2011年06月11日

隣りに座る、一応年上である少年を横目で見遣る。
彼はじっとどこか遠くを見つめているような、だけど少し眠そうな瞳で、此方を見ない。
それなのに、彼は自分の隣りに来たがる。
エドは一人になりたかった。
一人になりたいと思ったとき、必ずその少年は隣りにやってくる。
正直、彼が隣りに来たところで会話もなければ目を合わせることすら殆どない。いつも煩わしい程の明るさと笑顔は、エドの隣りに来るときは忽然と消えてなくなる。
只管に真っ直ぐを見つめる大きくて綺麗な瞳。エドはそれが好きであり、嫌いだった。
一人になりたい、そう思って、その場から立ち上がる。
すると、隣りに座っていた十代も少し遅れて立ち上がった。
彼には目もくれずに歩き出すと、また少し遅れたタイミングで十代も歩き出す。
無意識に眉が吊り上がった。

「十代、付いてくるな」
「嫌だ」

漸く、今日始めて瞳を交わし合った。やはり目に入ってきた顔は笑顔とは程遠く、だけどそれは怒っているとか悲しんでいるとか、そういうものでもなかった。
彼は鈍いくせに変なところで鋭い。エドはいつも思っていた。

「僕は一人になりたいんだ。いいから付いてくるな」
「やだ。今は傍に居たい」

傍に居たいって何なんだ。エドは十代を睨んだ。大きな瞳がかち合う。

「同情するな。惨めになる」
「そんなのしてない」
「今のお前の目は、そんな目をしてる」

十代は驚いたように目を見開いた。
十代は本当にそんなことを思ってはいなかった。ただ本当に、「傍に居たいな」と思っただけなのだ。
彼は、常に背中に寂しさを纏っているなと思った。自分よりも少し小さくて、それなのに自分が感じたこともない大きな寂しさを背負っている彼を見て、十代も悲しくなってきたのだ。
それから、「傍に居たい」という思いは更に大きくなった。それは何故なのか酷く曖昧で、十代自身も理由を深く考えることはしなかった。
けれど、それが彼の言う「同情」なのだろうか。十代にとって、同情という言葉の意味も曖昧だった。

「俺は同情なんかしてない。ただ傍に居たいだけだ」
「それが同情なんだ。大方、一人でいる僕が可哀相とでも思ってたんだろう」
「何でそうなるんだよ!俺は、傍に居たいだけだ!」

つい声を荒げてしまって、はっとなる。エドは目を丸くして、直ぐにぐっと目を細めた。
再び背中を向けられて、溜息をつかれる。伝わってないなと十代は少し項垂れた。
理由なんてなくて良い。ただ傍に居たいとそう思うだけで十分な筈なのに。





4、傍に居ることにも理由が必要


(どうやら彼は理由が欲しいようだ)


――――――――

お題配布元→Paper plane

PR

偽りの恋で5題(BLEACH:イチ←ウリ)

2011年06月06日
「君が死神じゃなければよかったのに」

ぽつりとそんな言葉を零した。
その言葉の意味を上手く理解できなかったのだろう黒崎は、間抜け面で僅かに首を傾げた。
僕は小さく溜息をつく。

「君が死神じゃなければ、僕も純粋に君の事を好きになれてたかもしれないのに」

今度は黒崎が溜息をついた。
僕は自分で馬鹿馬鹿しい事を言っているとわかっている。だけど、たまに思うのだ。彼が憎むべき死神でさえなかったら、僕は素直に彼のことを好くことが出来ただろう。
同時に、僕は彼に好かれたかったのか、と思うと、表情が苦くなるのを止められなかった。
そんな僕の歪んだ表情を見て、黒崎が変な顔だなと笑った。腹が立ったけど、少しだけ安堵した。
それから、やっぱり僕は同じことを思った。

「君が、死神じゃなければよかったのに」

思うだけでよかった。


黒崎が死神の力を無くした。
力どころか、霊力までもを失って、彼は普通の人間になった。
それから僕は、「彼が死神じゃなければよかったのに」などという考えを持たなくなった。
彼が死神でなければ、僕は彼に出会うことはなかったのだ。
彼が死神でなければ、僕に気付くこともなかったのだ。
彼が死神でなければ、僕が彼を気に掛けることもなかったのだ。
黒崎が死神じゃなければよかった。いざ死神じゃなくなると、僕はそのことが気になって仕方がないのだ。
死神じゃなければよかった。嘘じゃなかったけど、本当にならなくてもよかったのに。
死神じゃない彼は、「黒崎一護」じゃない気がしてしまって、僕は目の前で眠り続けるオレンジ色の頭を瞬きせずに見つめ続けた。
僕は黒崎が好きだったのだ。死神であった彼も、普通の人間である彼も。
それなのに、今の僕には普通の人間である彼が映らない。
脳裏に焼きついているのは、黒装束に身を包んだ、死神。

「君が、死神じゃなければよかったのに」
「君が死神でも、よかったのに」
「一体僕は、どっちの君が好きだったのだろうね?」





3、別に本当じゃなくても良かったはず


(切実だった願望が絶望に変わるなんて)


――――――――

お題配布元→Paper plane

偽りの恋で5題(TOS:ロイゼロ)

2011年06月01日
「吊橋効果って知ってるか?」

目の前の子供は首を僅かに傾げた。

「吊橋ってゆらゆら不安定に揺れるだろ?その上で男女同士が出会うんだ。揺れている恐怖で心臓が鳴っているのに、どきどきしてんのは目の前の人間に恋をしてしまったと思ってるからなんだ、って勘違いしちゃうんだな」

説明を終えた後に横目で彼を見ると、しかめっ面をしていた。
これは全然理解してないな、と思い、ゼロスはふうと息をつく。

「つまり、ロイドくんは今まさに吊橋効果で勘違いしてるって訳よ」

想像通り、意味が分かった後の彼の表情は実に険しかった。

「ここは吊橋じゃない」
「そーね」
「恐怖の中にいるわけでもない」
「うん」
「なのに、お前は俺の想いを否定すんのかよ」

掴まれている右腕が痛い。そろそろ握り潰されるんじゃないかというほどに、ぎりぎりと力を込められる。
ゼロスはただ、この場から逃げ出したい思いで一杯だった。
なのに、勘違いで自分に好意を寄せている少年を振りほどけない。

「ロイドくん。勘違いだよ。お前の俺への想いも、感情も全部」
「勘違いなんかじゃない。俺は本気だ」

彼の顔は見ない。一体、今彼はどんな表情をしているだろうか。怒っているのか、悲しんでいるのか、はたまた無表情なのか。
どれでもいいな、ゼロスは目を瞑っていた。
その表情も、全て勘違いから作られたもの。絶対に目を合わせてなるものか。
その気持ちに向き合ってやるものか。
掴まれた腕が熱い。少年の暖かい体温が流れてくる。
暑苦しくて仕方なかった。
熱血なんてごめんだ。本気になるなんてごめんだ。

「俺は」

最後は、笑顔を造った。

「お前に本気になれねーよ」





1、本気になったら負け


(既に負けていると分かっていながらも、)


――――――――

お題配布元→Paper plane

偽りの恋で5題(BLEACH:イチウリ)

2011年05月30日
何ともいえず本当にいきなり、「僕は君が好きだ」とダイレクトな告白を受けた。
気持ちが舞い上がりそうになった直前、いやいや待てよ、と自分の中からふつふつと沸き上がる昂りをなんとか押さえる。
だって、有り得ないではないか。
此方が「お前のことが好き」と言うのは納得できるが、あちらが「僕は君が好き」なんてことは天地がひっくり返っても無いものだと思っていたのだ。
だって、そう思うのも当然ではないか。
彼は俺が嫌いな筈だ。出会った当初から良い印象を持たれてはいなかったし、何より彼は『死神』という一括りされた生き物が嫌いなのだ。
最近はそれをあまり表に出さなくなったが、まだ死神とぎくしゃくしてるのには変わりがない。しかし、一部の死神と仲が良さ気なのもまた事実で、何故だか分からないが俺が一番不遇な扱いを受けている気がする。
俺はあくまで『死神代行』なのに、しょっちゅう彼から睨まれているのは俺なのだ。

そんなあいつが、今この場で俺に「好き」だなんて、絶対にないと断言できる。きっと何かの悪戯だろう、あの堅物な真面目野郎がそんな下らない遊びをする筈がないと分かっていながらも。
俺は今のこの現実を乗り切るので精一杯で、あいつの本心なんて微塵も考えてなかった。

「何言ってんだよ。笑えねーぞ」
「………」

告白を口にするときは酷く無表情だったが、今俺が彼の言葉を否定したまさにその瞬間、顔が歪んだ。こいつのことを何も知らない人間が見たら何処が変わったのかわからないくらいに小さい変化なのだが、何せ俺は毎日見ている。表情変化に敏感になったのも最近だ。
小さく小さく、眉が動く感じがして、あれ、おかしいなとよく分からないが酷い焦燥感に襲われる。
もしかして俺は、答えの選択をミスったのではないか、と。

「そうだね。笑えない冗談だった。忘れて」

冷たい声がした。いつもと同じ声のトーンで、酷く落ち着いた声で、身体と心臓に直接突き刺さるような、声色。
それなのに、俺にはこいつが悲しんでるようにも見えた。
だって、なんでだよ。いつも俺のことを嫌いだって言ってたじゃねぇか。関わるな、とか、近付くな、とか。
なのに、なんで、何でこんなときに。
じゃあ今までの嫌いってなんだったんだよ。
その「好き」は、

「冗談だって言っただろ。僕は君のことが大嫌いだからね」

好きから大嫌いに降格された。
遠ざかっていく後ろ姿、次第に見えなくなっていく。呆然と立ち竦む俺に目もくれずに、俺の想い人は俺を困惑させるだけ困惑させて俺の視界から消えた。
無意識に足が動く。きっと足が、あいつを追いかけろと俺を促してくれてるに違いない。
少しだけ覚束ない足取りで、俺は走った。
きっとあいつは、今すごく泣きたい気分なんだろう。
そう考えたら、俺もすごく泣きたい気分になった。





5、嘘もいずれは誠になる


(嫌いが嘘だったのかよ、好きが嘘だったのかよ、わかんねぇよ)


――――――――

お題配布元→Paper plane

偽りの恋で5題(TOD:リオ→スタ)

2011年05月28日

「僕はお前のように、図々しくて、能天気で、馴れ馴れしい奴が大嫌いだ」
(この時点では本当だった)


「僕に構うな!」
(本当は嬉しかったのだ)


「甘いものは嫌いだ」
(本当は大好きだったのだ)


「馴れ合いは嫌いだ」
(本当は誰かと一緒に居たくてしょうがなかったのだ)


(僕は本当は、彼のことが好きだったのだ)

(でも僕は、どう接すればいいのか最後までわからなかったのだ)

(だから僕は最期の最後まで嘘をつく)

(彼が僕の名前を呼ぶ)



「前にも言ったが」

「僕はお前のように、図々しくて能天気で馴れ馴れしい奴が、大嫌いだ…」


(僕はまた嘘をつく)

(僕は嘘吐きの天才かもしれない)

(やはり彼が僕の名前を呼ぶ)

(僕は最期に、笑えた気がした)





2、全て嘘なんだ

(本当は、初めての友であるお前のことが大好きだったんだ)


――――――――

お題配布元→Paper plane