[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
酔っ払い(ユリフレ)
突き飛ばされた先は柔らかいベッドの上だったから衝撃は殆どなかった。しかし勢いは強かったため、僕の代わりにベッドがぎしりと声をあげた。
その上に覆い被さってきた人間の黒髪は、窓からの月の光を浴びて青紫色に光っていて綺麗だなとぼんやり思う。肩から滑り落ちた一房の長い髪が頬を擽る。
その感覚は、僕と彼の距離が近い証拠だった。
他のこと考えんな、低く呟かれて天井に向けていた目を漸く彼の瞳と合わせる。吸い込まれそうな漆黒は、焦点が合っていないように見えた。眠そうに細められた瞳を見つめながら、僕は彼の髪の毛に指を絡めるくらいしかできない。
「ユーリ」
さらさらと指から通り抜けていく髪は心地好かったのに、彼は鬱陶しいとでも言いたげに僕の手首を掴んでシーツに縫い付けてしまう。それなのに彼はもう片方の手で僕の髪を撫で回す。自由を認められていないようで少し不満だった。
「ねえ、ユーリ」
「ん」
「酔っ払いの相手は面倒臭いよ」
「ん」
よく下町の酒場で酔っている人間を介抱したこともあったけど、まともに話はできないし、笑い上戸に泣き上戸、暴れまわる人間だっていた。
でも彼は今までで一番質が悪い。滅多に酒なんて飲まないしあまり好きでもないから、弱いくせに酒癖が悪い。絡み酒と言うのか。でも僕以外には絡まないのが救いだ。迷惑を掛けることがない。
酔っている筈なのにあまり紅潮してない肌は部屋が暗いこともあってよく見えないが、多分表情は無に一番近いんだろう。
僕を押し倒している理由は、僕を犯したいとかそういうことではないのだろう。ただ、気分を発散させるものが僕しかないからだ。
彼が何を考えているのか、昔の僕なら或いは、しかし今の僕ではわからない。遠い時間が長すぎたのだ。
「フレン」
「何だい」
「抱かせろ」
「酔いすぎだよ」
俺は酔ってないという酔っ払いの常套句を聞きながら、ああやっぱり酔っているんだなと思った。
耳を擽る彼の指を制止しようと腕を掴むと、手の甲にキスをされた。自身の腕ごと唇に持っていく動作は優雅で格好良い。
小さな音をたてながら口付けを続ける。唇は勿論、薄く漏れる吐息だって熱くてしょうがない。ああこれでは流されてしまう。
「酔った勢いじゃ後悔するよ」
「酔ってないって言ってるだろ…」
「どうして酔ってないって言い切れるんだ?」
「何で酔ってるって言い切れんだよ?」
そのまま答えも聞かず、耳に口付けられる。僕は酔ってもいないのに顔に熱が集まってしまう。
嫌だな、流されたくないなと思いながらも、自由を制限された僕は為す術もないまま目を閉じた。何だか胸がきりきりと痛い。
早く早く、酔いが回って寝てしまえと、それだけを思った。
(どうして君が酔っていると言い切るのか)
(だって普段の君はこんなことを絶対しない)
(僕に向かって「抱かせろ」なんて)
(僕に対して口付けなんて)
(天地がひっくり返っても、絶対にしないだろう)
(だって、僕達は)
――――――――
愛がないわけじゃないよ、愛に気付いてないんだよ
ふとした時にフレンちゃん愛しいフレンちゃんうおおおおおおってなったのでできた産物
ユーリのイメージとか壊すようだったらごめんなさい
あーるじゅうごきんみまんくさいかんじがかきたいです。ふんいきぶんしょう
待ち人来たり。
懐かしい。もうそのアイス屋は無くなっているかもしれないが、そう考えていると無性に食べたくなるものだ。それが、どんなに寒い日だとしても。
何年か前とちっとも変らず、あの大きい木はどっしりと毎日突っ立っている。少しくらい成長しているのだろうか。俺にはちっともわからない。
意外にも、あのアイス屋はまだあった。カウンターに立っている人間の顔は知らないが、確実にあのアイス屋だ。あいつを待ってる間に食っておこうか。きっとあいつはまだまだこないからな。なんてったって、やはり四十分も早く着いてしまったからだ。ああ、俺の馬鹿。
ということで、俺はアイスを買った。昔の味とは微妙に違ったが、あの甘さは健在で嬉しい。あいつからは「甘すぎないか?」と評価されたが、俺からすれば百点満点以上の評価だ。この甘さが癖になる。
昔のように、木の陰に座って食べる。見える景色は、昔と一緒。何も変わっちゃいないんだなぁと改めて実感している自分がいた。俺は、変わったのだろうか。
自業自得とは正にこの事だ。アイスを持っていた手が悴んでしょうがない上、体全体が冷え始めている。ああもう、アイスなんて食うんじゃなかった……とは思わない。美味かったからだ。
とりあえず膝を抱えて寒さをしのぐことにする。くそ、あいつはまだ来ないのか。
顔が冷たい。やはりマフラーを持ってくるんだった。コートだけではしのげない寒さがある。
そんな事を考えている時、膝に顔をうずめた俺の首の後ろら辺に、ふわりとした感触が降ってきた。少しビビって顔をあげたら、そこには。
「…ユーリ、君、大丈夫か?」
顔が青白いよ、と、自分の首に巻いていたマフラーを俺の首に巻いたのは、待ち焦がれていた幼馴染の顔。
そいつは割と完全防備で、コートにマフラー、手袋にともう冬支度かよって感じだった。まぁ、実質もう十一月だからなぁ。まぁ、マフラーは今俺にやったからコートと手袋だけなんだけど。
あいつの温かそうな金色の髪に手を伸ばして、掴んでわしゃわしゃと掻き回してみる。何をするんだ、と、困ったような嬉しいような、そんな表情で笑っていた。あぁ、懐かしい。
「……おせぇよ。」
「遅いって、まだ待ち合わせ時間より二十分早いよ。君が早かっただけだろ。」
「……良いだろ別に。早く来たって。」
「うん、そうだね。僕も、君に会いたかったから二十分も早く来たんだし。」
「俺だって四十分早く来た。」
「早く来すぎだよ。」
くすくすと笑う幼馴染の顔に、今までにないほどの安心を感じた。
俺とフレンは立ち上がって、するとフレンは例のアイス屋に目線を移した。
「あ、まだあったんだね。」
「だな。あの甘さはまだまだご健在みたいだぜ。」
あれは甘すぎだったなぁ、と苦笑しながら呟きつつ、「久しぶりに食べてくるよ。」と言ったから、俺も付き合うことにする。さっき食べたけど。もう一個食べたくなった。
久しぶりにお前の隣で食うアイスは、さっきとは比べ物にならないと思うから。
マフラーもあるから、きっともう寒くない。
隣には、フレンだっている。
久しぶりにお前と会って、俺の中は満たされた気がした。
――――――――
前回の続き。ユリフレ風味の心意気はユリフレユリ。
待ち人来たる。
せっかくやる気が出てきたのに、何処のどいつだと心の中では悪態をついていたけど、携帯には『フレン・シーフォ』という、幼馴染で親友の名前。おっさん辺りだったら着信拒否にしてやるところだ。
この名前を見るのも久しぶりだ。あいつは今頃何をやっているのだろう。昔はしょっちゅう一緒に居たけど、今は「忙しい」ということで、しばらく会っていないどころか連絡もしていないことが多い。俺からの電話で、あいつの邪魔をしたくなかったと言えば良く聞こえるだろう。
ボタンを押して、電話に出る。幼馴染の、聞き慣れた、と言ってもすごく懐かしく感じる声が聞こえてきた。この柔らかくて甘い感じの声が、妙に安心する。
少しの間、久しぶりとか元気だったかとか他愛も無い会話をした後、用件を聞く。すると、あいつは少し言葉を濁した後、俺のこの後の予定を聞いてきた。特に無くて暇だということを伝えると、あいつは言った。
午後から会えないか、と。
もちろん俺は良かったのだが、そっちは大丈夫なのかと少し心配になる。なにしろ、俺に三週間ぐらい連絡を寄こさなかったということは、それほど仕事が忙しい以外に理由が浮かんでこない。
了解すると、あいつは嬉しそうな声で、良かったと言った。それからは待ち合わせ場所と時間を確認してから、じゃあ後でと電話を切った。
あいつから俺を誘うなんて割と珍しい。何だか不思議な感じだ。嬉しくない訳じゃない、寧ろ嬉しい。
さっさと昼食を作って、さっさと準備をしよう。そう意気込んだ結果、約束の時間よりも一時間早く準備を済ませてしまった。どんだけ浮かれてるんだ、自分。
いや、多分待ち合わせ場所に着くまでにそれくらいかかる。そんな言葉を暗示のように頭に響かせながら、俺は一時間早く自分の部屋を出た。
外は寒くて、部屋とは全くと言っていいほど温度が違いすぎた。
息を吐くと、白くなって消えた。もう十一月だもんなぁと心の中で呟く。
マフラーとかやった方がいいのかもと考えたが、今更部屋に戻るのも面倒だから、俺はそのままアパートの階段を下りた。
――――――――
微妙な現代パロ。ユーリはアパート暮らし。多分コンビニとかでアルバイト。
多分ユーリとフレンは二日に一回は絶対に連絡取ってます。相思相愛ですから。
続く……かな?