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2026年06月13日
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(テニプリ:忍跡)

2014年08月04日

ちゅ。

「おい」

跡部の声は不機嫌そうだった。その声は明らかに制止を促している。
俺はその声を無視してもう一回、わざと音を立てて彼の瞼に口付けた。ぴくりと小さく震える長い睫毛が顎に触れる感触がする。長いなあ、と改めて再認識する。
瞼はぴったりと閉じられていて、彼の綺麗な碧い瞳は見ることができなかった。まるで宝石のような、日本人離れした色。自分の唇に触れている白い肌。ふわふわと顔を擽るブロンドの髪。彼はまるで別世界の人間のようだった。

「おい、いい加減にしろ」

ぐい、と顎を押し返してきた力はそれほど強くはなかったけど、俺は潔く身を引いた。

「なんで、ええやん別に。だーれもおらへんよ」
「そういうことじゃねえ、場を弁えろっつってんだ」
「いけずやなあ。ちゅーか照れ屋さん?」
「まだそんなに喋れるなんて、随分と余裕があるみてぇだな。もう10周外周行くか?」

俺は両手を上げて降参と反省の態度を示した。そうしたら跡部は可笑しそうに目を細めて、口の端をちょっとだけ上げた。あ、跡部が笑っとる。跡部が笑うなんて珍しいことじゃないが、こんな風に、純粋に会話を楽しんでるみたいな態度はそうそう見られない。
跡部が目の前で着替えを始める。彼の身体は美しいものだった。大袈裟かもしれないが俺は美術品でも見ているような気分になった。
白いYシャツを羽織り、腕を通して、ボタンを一つずつかけていく。その指の動きが綺麗だと思ったし、その形が美しいと思った。ネクタイを巻くときに首を少しだけ上に傾けるのが可愛らしいと思った。締めるときに顎を引いて目線を下に向けるのが色っぽいと思った。
彼の一つ一つにキスをしたいと思った。

「跡部」
「アーン?お前まだ着替えてないのか。鍵を掛けなくちゃなんねえんだ、早くしろ」
「なあ、跡部」

俺を不思議そうな表情で見る跡部。さっきは左の瞼にキスをしたなあ、じゃあ次は右の瞼にキスをしたい。なあ、跡部。

「キスさして」
「……お前は、さっきの話を聞いてなかったのか」
「誰もいないから。な?」
「だからそういう問題じゃねえ」
「跡部」

彼の手を握ると、じんわりと体温が広がってくる。どうやら跡部は今、普段よりも体温が高いようだ。やっぱ照れてるだけやん。顔がにやけそうになるのを抑える。ポーカーフェイスは得意中の得意だった。
彼は、嫌なら嫌だとはっきり拒絶するタイプだ。振り払われない手を見る限り、嫌がっていないことは明白であった。
跡部は眉を顰めたまま、ゆっくりと目を閉じた。お許しが出た。頬に手を添えて、俺が少しだけ背伸びをして、右の瞼に唇をくっつける。やはり震える瞼と睫毛。うん、大満足。

「調子にのんなよ」

ぺし、と軽い音と頬にほんの小さい衝撃。跡部は寄せたままの眉間をそのままに、不機嫌そうに一言だけそう呟いた。彼は俺に腹を立てているというよりは、俺に流される自分に腹を立てているようだった。

「明日もしてええ?」
「外周100周」
「したるしたる」
「に、通常メニュー」
「……できたらええんや?」
「できるもんならな」
「ええよ、やる」

跡部が、てめえはどんだけ俺にキスがしてえんだ、と小さく笑った。細まる瞳。あれはもう俺のものだ。キスした分だけ跡部が俺のものになっていくのだ。
だから。

「そら、ごっつしたいわ」

ただただ美しい跡部を俺のものにしてしまいたい。


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やまなしおちなしいみなし忍跡
ひたすらキスしたい忍足くんと戯れだと思ってる跡部くん。多分両想いだよね
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