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2026年06月13日
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無題

2010年08月11日
他の仲間からいくらか離れた場所に、ベリルは一人、座っていた。
みんな、焚き火の近くで談笑している。時々、誰かが叫ぶ大きな声やみんなで一斉に笑う楽しそうな声が、背中から伝わってくる。
軽く耳を塞いだ。聞こえていた声が小さくなる。少しだけ安心した自分に、落胆した。

たくさんのことがあった。
そのたくさんのことの中に、ベリルの良い思い出は少なかった。
騙されたり、裏切られたり、傷ついたり、振い向いてもらえなかったり、馬鹿にされたり、
そして、嫉妬から他の人間を傷つけてしまったり。
自分の想い人に思われている少女を少しでも妬んだり恨んだりする感情が生まれると、それに比べものにならないくらいの罪悪感と自己嫌悪が自分の中に生まれる。
それは、彼女が親友だから。誰よりも自分を必要としてくれて、誰よりも自分に優しく接してくれた少女だから。
だったら、自分の本当の感情なんて押し込めてしまえば良い。自分よりも何百倍も良い子なのだから、幸せにならなければいけないのだ。自分の彼に対する想いなど、取るに足らないくらいに。
それなのに、押し込められないから辛い。辛くて嫌だ。

膝に顔を埋める。相変わらず、彼らは会話を楽しんでいる。……自分の居ない輪の中で。
やはり、自分はここに居ても意味がないのか。
本当はベリルは、故郷の村で別れるはずだった。「ベリルは巻き込まれただけだから、ここに残した方がベリルのため。」という結論で、その話を聞かされたときには驚いた。驚いたというよりも、ショックの方が大きかった。
誰も止めない。ベリルがここに残る事を。最終的な判断はシングに任せて、『残る』という選択肢。
自分はいらないのだろうか?どうして止めてくれないのだろうか?

ボクがコハクだったら、一緒に行こうっていうくせに。

自分の台詞を思い出して、ベリルは頭を振った。
それでも、今でも彼のことが好きだというのは、ボクの趣味は一体どうなっているんだと自分に呆れた。
あの輪に入りたくない。今は、入りたくない。
ただ、誰かに振り向いて欲しかっただけなのに。
誰かに、気付いてほしいだけなのに。
誰か、気付いて




「ベリル……てめぇ離れてたら危ねぇだろうが迷子になりたいのか?」

うっすらと視界がぼやけていた。眠かったのか、それとも涙が浮かんでいたのか、ベリル自身にもそれがわからなかった。
ただ、後ろから聞こえた声で意識がはっきりしたのだけは分かった。
少しだけ目を擦ってから振り向くと、長身の黒髪。一人しかいない。

「……ヒスイ、何しに来たの?」
「何しにじゃねーよ。コハクがお前いなくなってんの気付いて、探し回ってんだぞ。」
「へぇ、そうなんだ……」
「?お前いつもの意味も無いテンションはどうした?」
「ボクは今、カンショーに浸ってるのさ。芸術家として、自然と一体になることは重要だからね。」

ヒスイはよくわかんねぇとぼそりと呟いて、「帰るぞ」とベリルを促したが、当のベリルは「嫌だね」と首を振った。
「なんで」「まだここにいたいから」短い会話が切れてしんと静まる。
しばらくした後、後ろでヒスイがどこかに座った音がした。
「なにしてんのさ」「お前が動くまで俺もここに居る」小さくそう聞こえた。

「大体、『ベリル見つけたけど動きたくないって言うから置いてきた』なんて言えばコハクに蹴られるのは一目瞭然だ。ぜってぇお前を連れて帰らなきゃいけねーんだっつの。」
「…別に良いじゃん居なかったって言えば。」
「うるせー俺は居る。居るったら居る。お前を一人にはしておけねー」

「……何で?」そう問うと、「ちいせーからすぐに魔物に食べられそう。」と答えられて、少しだけ想像してぞっとした。そう考えれば、ヒスイが居てくれた方が安心する。魔物がヒスイを食べてくれるかもしれないという、少し間違った解釈の仕方で。

「それに、」

お前が泣いてたから、

その言葉は、小さすぎてベリルには届かなかった。


――――――――

まさかのヒスベリ^^
最初の流れから行くとシンベリかコハベリになりそうだったんだけど!なんだかヒスベリが思った以上に好きだったから!!
ハーツでは一番不幸っぽく書かれてるのはリチアだけど、本当にかわいそうだったのはベリルだよね。
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だれも幸せにならない話

2010年05月25日
・暗いのを目指してみた

・原作でのベリルの報われなさに我慢が出来なくなって書いたもの

・「コハクが幸せになれるのにベリルが幸せになれないというのならいっそ誰も幸せにならなくていい」という管理人の歪んだ考えが滲み出ている

・題名通り、誰も幸せにならない

・だけどシングにベリルの事をもう少し考えてもらった
つづきはこちら "だれも幸せにならない話"

泣く、泣く、笑う

2010年05月20日

目の前でぐしぐしと泣く少年。
幼さが残っている大きな瞳から、とめどなく雫が落ちてきている。
目を腕で覆っている。瞳から零れた雫が、頬を伝って下に落ちるのを防いでいるようなのだが、どうも効果がないようで、腕の隙間からぽろぽろと止まること無く流れていた。
声は出さない。ただ静かに、ただただ、無言で泣き続けるだけ。

それを、青年は見ていた。
いつもは馬鹿みたいに問題に首を突っ込んで、猪突猛進、何も考えずにまっすぐ進む。笑って怒って喜んで、と、感情表現が豊かな少年は、ただ、仲間の前で泣くことはなかった。
そんな少年が、今、こうして自分の目の前で泣きじゃくっている。
どうしよう。どうすればいい。何をしたらいい?

「……シング、」
「ごめん、なんでもないんだ、ほんとに、なんでもないから」

声を掛けようと思って開いた口は、少年の名前を呼んだところで、当の少年に遮られてしまった。
なんでもないならそんな馬鹿みたいに泣くな、とか、せっかく人が心配してやってんのに、とか、言えることがたくさんあったはずだけど、何一つとして喉の奥から出て来てはくれなかった。

手を伸ばして、その少年に触れようと思った。
青年の手は、虚しく空を掴む。触れる勇気がなかった。触れる覚悟がなかった。
「だいじょうぶ、なんでもない、なんでもないんだよ」そう呟きながら、漸く腕で覆っていた目を晒す。
大きな瞳からは、先刻よりは少なくなった、しかし未だに雫を零しながら、青年に向かって笑った。
ヒスイの近くで泣いたら、何だかすっきりしたよ、と、少年は笑った。

青年は苛立っていた。
何も言わずにただ泣き続け、一人で抱え込もうとしていたこの小さい少年にも、大切な人が泣いている時、手を差し出す勇気がなくてその場に突っ立っているだけだった自分自身にも。
今度は、何も考えずに、少年を抱きしめた。水分をこの短時間で大幅に失った少年は、いつもよりも頼りなく見えた。自分よりも小さな背中が、いつもよりもっと小さく見えた。
だから、そんな少年を青年は支える。「この馬鹿シングが。」呟くと、少し弱々しい、だけどほんのり嬉しそうな声で「…ありがとう。」と返された。

冷たかった少年の頬は、青年の優しさで温かかった。


――――――――

情緒不安定シングちゃん(爆
シングはきっとヒスイの前では泣きやすいし、ヒスイはシングが泣いてるのに一番に気付く!

あたたかい

2010年04月11日
きっともう夜中だろうという時間に、目を覚ます。
好きで目を覚ました訳ではない。体に突き刺さるような冷たさに目を覚ました。
自分達が囲んでいた焚き火は、当の昔にその勢いを消されて、今は炭になった木の破片しか残っていない。
ムクリと起き上がると、冷たい風が肌にあたる。服を突き向けて全身にあたる風に、ぶるりと身震いした。
今日はいつもより寒かったのではないかと考える。
割と自分は着こんでいる方だと思っている。そんな自分でも寒いと思っているのなら、足を丸ごと出しているコハクや、ヘソ出しルックのイネスは相当なのではないか。
しかし、そんなシングの心配をよそに、コハクもイネスもすっかりと熟睡中だ。というか、女性陣はベリルも含めて寄り添いながら眠っているので、言うほど寒くないのかもしれない。
眠っているから感じていないだけだとしても、寒いという感覚があって起きてしまったシングにとって、それはとても羨ましいことでもある。
クンツァイトに至っては寝ているのか起きているのか、寒さを感じているのさえ怪しいが、目を瞑っている辺り、とりあえず寝てると判断した。
自分の腕をさすりながら、何故目が覚めてしまったんだろうと自身を恨む。今からもう一回寝るにしても、少しの間この寒さを耐え抜くことができるのだろうか。
もしかしたら、ずっと目が冴えたままかもしれない。
シングは、少しでも寒さを凌ごうと、身を縮こませる。

「………寒いなぁ………。」
「まったくだ。」

独り言のつもりだった呟きに、他の予想できなかった声が混ざってきた。
シングは勢いよく声がした方向に首を向ける。

「……ヒ、スイ……。…起きてたの?」
「さみぃから目ぇ覚ました。」

先程のシングと同じように、起き上ったヒスイは小さく身震いをする。
寒いのは慣れているはずだったんだが、頭の隅でそう思っていると、小さくなっているシングに視線を移す。
丸まっている小動物のような少年に、小さく手招きをした。
気付いたシングは、何の警戒もなくヒスイの手招きに応じ、目の前までちょこちょこと歩く。

思い切り、抱き締められた。


「えぇ?!な、なに?どうしたの?」
「うるせぇよ、他の奴らが起きるだろうが。」

頭にクエスチョンマークを浮かべながら喚くシングに、ヒスイが小さく言葉を紡ぐ。
すぐに口を噤んだシングだったが、それでもヒスイの不可解な行動に小さく言葉を投げかける。

「どうしたの?ヒスイまさか寝ぼけてる?」
「そんなんじゃねーって。……普通に寝てるよか、あったけーだろーが。」

ぎゅう、音がするくらい強く抱き締める。
シングよりも一回り大きい目の前の青年は、完全にシングを腕の中に納めていた。
急なことでどうすればいいのか分からなかった。しかし、不思議と嫌だとは思わない。
それに、温かいのも確かだ。
大人しく体を預けると、温かい所為か、一気に眠気が襲ってくる。
ヒスイが見たときには、既にシングは夢の中へ旅立っていたようだった。
それでも、ヒスイはシングを離そうとしない。むしろ、強く強く、ずっと抱き締めていた。
シングが起きるまで、ずっと。

(……あぁ、すごくあったけぇなぁ……。)


――――――――

眠い時に書いてたので、文章めちゃくちゃです。
無意識にヒスイ→シングだといいな!ヒスシン大好き!
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