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2026年06月13日
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泣く、泣く、笑う

2010年05月20日

目の前でぐしぐしと泣く少年。
幼さが残っている大きな瞳から、とめどなく雫が落ちてきている。
目を腕で覆っている。瞳から零れた雫が、頬を伝って下に落ちるのを防いでいるようなのだが、どうも効果がないようで、腕の隙間からぽろぽろと止まること無く流れていた。
声は出さない。ただ静かに、ただただ、無言で泣き続けるだけ。

それを、青年は見ていた。
いつもは馬鹿みたいに問題に首を突っ込んで、猪突猛進、何も考えずにまっすぐ進む。笑って怒って喜んで、と、感情表現が豊かな少年は、ただ、仲間の前で泣くことはなかった。
そんな少年が、今、こうして自分の目の前で泣きじゃくっている。
どうしよう。どうすればいい。何をしたらいい?

「……シング、」
「ごめん、なんでもないんだ、ほんとに、なんでもないから」

声を掛けようと思って開いた口は、少年の名前を呼んだところで、当の少年に遮られてしまった。
なんでもないならそんな馬鹿みたいに泣くな、とか、せっかく人が心配してやってんのに、とか、言えることがたくさんあったはずだけど、何一つとして喉の奥から出て来てはくれなかった。

手を伸ばして、その少年に触れようと思った。
青年の手は、虚しく空を掴む。触れる勇気がなかった。触れる覚悟がなかった。
「だいじょうぶ、なんでもない、なんでもないんだよ」そう呟きながら、漸く腕で覆っていた目を晒す。
大きな瞳からは、先刻よりは少なくなった、しかし未だに雫を零しながら、青年に向かって笑った。
ヒスイの近くで泣いたら、何だかすっきりしたよ、と、少年は笑った。

青年は苛立っていた。
何も言わずにただ泣き続け、一人で抱え込もうとしていたこの小さい少年にも、大切な人が泣いている時、手を差し出す勇気がなくてその場に突っ立っているだけだった自分自身にも。
今度は、何も考えずに、少年を抱きしめた。水分をこの短時間で大幅に失った少年は、いつもよりも頼りなく見えた。自分よりも小さな背中が、いつもよりもっと小さく見えた。
だから、そんな少年を青年は支える。「この馬鹿シングが。」呟くと、少し弱々しい、だけどほんのり嬉しそうな声で「…ありがとう。」と返された。

冷たかった少年の頬は、青年の優しさで温かかった。


――――――――

情緒不安定シングちゃん(爆
シングはきっとヒスイの前では泣きやすいし、ヒスイはシングが泣いてるのに一番に気付く!

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