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はつこいというものは いち
「恋をしたことがあるか。」
そう問われたら、きっと答えることはできない。
何故なら、恋をしたことがあるかどうか、自分でわからないからだ。
そういう事はあまり考えたことはないし、自分はデュエルに夢中になっていて、恋だ愛だなどは二の次でしかなく、女子生徒との関係は極めて薄かった。明日香は除いて、だ。明日香は一人の女としては十分すぎるほど良い女だとは思うが、『女の子』というよりも『あいつの妹』という認識の方が強かったし、大事だった。
別に恋がしたくない訳ではない(と思う)。機会があったら女子と付き合うのは悪くないと思っているが、今はやはり勉強に力を入れたい時期なのだ。
そんな心境の中、何人もの女子生徒に囲まれている「彼」がいる。
彼は、その女の子の中の誰かと、付き合いを持っていたりするのだろうか。共に過ごしたことがある人間がいるのだろうか。何か、繋がりを持っていたりするのだろうか……
そう考えると、なんとなく、きりきりと心臓が縮んだ気がした。
「亮ー亮ーりょーうー、りょーうーくーんー。」
太陽が沈んでるんだかまだ昇ってるんだかよくわからない時間帯、浜辺で海を見ながらぼーっと上の空で突っ立っている親友の名前を呼び続ける。
彼は気付いていながら無視をしているのか、或いは本当に聞こえてないのか。
十回目くらいの名前を呼ぶ。亮の顔を覗き込むようにして呼ぶ。亮は完全停止したロボット人形のようで、漸く瞼をぱちぱちと動かして、ゆっくりと隣に居る吹雪の顔を見る。
「…どうした、吹雪?」
「こっちの台詞さ。もう十五回は名前を呼んだよ。いつも以上に上の空?どうしたんだい?」
確かに、最近少しぼーっとすることが多いかもしれない。
吹雪から「恋をしたことはあるかい?」ときかれて、考えている途中、女子生徒に囲まれていた吹雪を見てからだ、と、何となく自分では気付いている。
その部分に、自分が悩むべき要素は何一つないのだとわかっているはずなのだが、なにか、もやもやもあもあしたものが、胸の中にひどくパンパンに詰まっているのだ。
「……なあ、吹雪。」
「なんだい亮。」
「最近、ある特定の人間をみると、体の中がもやもやする。なんだろうこれは。」
当てにならないとはわかっている。しかし気になったことは言っておきたい。
もしかしたら、吹雪でも解決策を持っているかもしれないという低い低い可能性にかけて。
当の吹雪は、目を見開きながら亮を見つめている。そして口元をふっと微笑ませると、吹雪は亮の肩をぽんぽんと叩いた。
「亮……それだよ、それが『恋』さ!」
そして、吹雪の『恋愛』に関するマシンガントークが始まった。
どうでもいいことから、まあ最後まで亮にとってはどうでもいいことだったのだが、言葉が止まることを知らないかのように、吹雪は恋愛について語り続ける。
その長々と語られている言葉を受け流したり耳に入れたりしながら、、亮は最終結論を出した。
(…恋…恋?……俺は……吹雪に、恋を………)
頭の中で自分の考えをうまくまとめられず、黙って俯いていた亮は気付かない。
そんな亮を見て、ずっと寂しそうな悲しそうな、そんな表情をしながら話している吹雪に。
――――――――
亮くん初恋物語。楽しいなぁこういうの書くの。
続く?かな?