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2026年06月13日
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「君が好きだよ」
2011年03月07日
「なぁ、クレス……知ってたか?」
薄暗い闇の中に弓を打つ手を止めて、クレスから顔を背けたままにチェスターが呟くように言った。
特にすることもなく、近くにあった木の枝を指でくるくると弄りながらチェスターを見つめていたクレスは、その一言で目を丸くした。
背中を向けられているために、彼の顔が良く見えない。
しかし、声にはいつもの覇気がない。それだけで、今の彼の心境が手に取るようにわかった。
大人しく、彼の言葉を待つ。
「……アミィの奴、」
出てきた名前に、少しだけ肩が震えた。
「……お前のことが、好きだったんだぜ……」
絞り出すような声が聞こえた。
小さい頃からの親友の、大切な大切な妹の名前。
いつも兄であるチェスターの後ろについて、たくさん一緒に過ごして遊んだ、自分にとっても大切な女の子。
もう、この世にはいない。
どうして急に、その名前が彼の口から出てきたのか。彼は兄として、たった一人の肉親である彼女を誰よりも愛していた。そんな彼女の死。思い出したくもない記憶の一つでもあるだろうに。
そして、彼女からではない、彼女からの告白。
クレスもアミィが好きだった。兄弟のいないクレスは、彼女を妹のように、チェスターと同じように愛していた。彼女からの「好き」が自分と同じような「好き」じゃないことくらい、クレスは今だからこそわかっていた。
クレスは無言で俯く。
なんと言えばいい?
彼女は、己が殺したようなものだ。
自分が狙われていたというのに、その時当の自分は遊び半分の狩りに出かけていて、守る筈だった彼女を守れなかった己の責任なのだ。
しかし、狩りに出ていたお陰で守れたものが一つだけ。
幼少時代を共に過ごして来た大切な親友。ただ一人。
こんなことを考える自分はとても不謹慎で最低だ。それでも、狩りに出かけてよかった、なんて。
僕は君が好きだよ。
常に隣にいてくれた親友に、ずっと伝えたかった言葉。
アミィは自分を好いてくれた。チェスターも自分を好いてくれた。クレスもその兄妹が大切で、大好きだった。
それでも、アミィに対する「好き」とチェスターに対する「好き」に僅かな違いがあるのに、クレスは何となく気付いていた。
チェスターから伝えられた、アミィがずっと秘めてきた自分への想いを聞いたときに、クレスも僅かな違いの正体を確信した。
顔を上げて、その言葉を口にしたかった。自身がずっと心に留めておいた、親友への想い。
「チェスター」
名前を呼ぶと、彼が振り返った。
今にも泣き出しそうな、頼りなさげな表情。
胸が痛んだ。
(僕が思いを告げてしまったら、二人の思いを裏切ることになるのか)
自身を好いてくれていた妹と、妹の幸せを一番に願っていた兄。そして、親友を好いていた自分。
出てきた言葉は喉までのぼり、声に出ないままに落ちていった。
ただ一言、ただ一言でいいのに、伝えたいことはそれだけなのに。
彼の表情を見たら、やはり伝えられなかった。
ただ一言。「僕は君が好きだよ」と。
薄暗い闇の中に弓を打つ手を止めて、クレスから顔を背けたままにチェスターが呟くように言った。
特にすることもなく、近くにあった木の枝を指でくるくると弄りながらチェスターを見つめていたクレスは、その一言で目を丸くした。
背中を向けられているために、彼の顔が良く見えない。
しかし、声にはいつもの覇気がない。それだけで、今の彼の心境が手に取るようにわかった。
大人しく、彼の言葉を待つ。
「……アミィの奴、」
出てきた名前に、少しだけ肩が震えた。
「……お前のことが、好きだったんだぜ……」
絞り出すような声が聞こえた。
小さい頃からの親友の、大切な大切な妹の名前。
いつも兄であるチェスターの後ろについて、たくさん一緒に過ごして遊んだ、自分にとっても大切な女の子。
もう、この世にはいない。
どうして急に、その名前が彼の口から出てきたのか。彼は兄として、たった一人の肉親である彼女を誰よりも愛していた。そんな彼女の死。思い出したくもない記憶の一つでもあるだろうに。
そして、彼女からではない、彼女からの告白。
クレスもアミィが好きだった。兄弟のいないクレスは、彼女を妹のように、チェスターと同じように愛していた。彼女からの「好き」が自分と同じような「好き」じゃないことくらい、クレスは今だからこそわかっていた。
クレスは無言で俯く。
なんと言えばいい?
彼女は、己が殺したようなものだ。
自分が狙われていたというのに、その時当の自分は遊び半分の狩りに出かけていて、守る筈だった彼女を守れなかった己の責任なのだ。
しかし、狩りに出ていたお陰で守れたものが一つだけ。
幼少時代を共に過ごして来た大切な親友。ただ一人。
こんなことを考える自分はとても不謹慎で最低だ。それでも、狩りに出かけてよかった、なんて。
僕は君が好きだよ。
常に隣にいてくれた親友に、ずっと伝えたかった言葉。
アミィは自分を好いてくれた。チェスターも自分を好いてくれた。クレスもその兄妹が大切で、大好きだった。
それでも、アミィに対する「好き」とチェスターに対する「好き」に僅かな違いがあるのに、クレスは何となく気付いていた。
チェスターから伝えられた、アミィがずっと秘めてきた自分への想いを聞いたときに、クレスも僅かな違いの正体を確信した。
顔を上げて、その言葉を口にしたかった。自身がずっと心に留めておいた、親友への想い。
「チェスター」
名前を呼ぶと、彼が振り返った。
今にも泣き出しそうな、頼りなさげな表情。
胸が痛んだ。
(僕が思いを告げてしまったら、二人の思いを裏切ることになるのか)
自身を好いてくれていた妹と、妹の幸せを一番に願っていた兄。そして、親友を好いていた自分。
出てきた言葉は喉までのぼり、声に出ないままに落ちていった。
ただ一言、ただ一言でいいのに、伝えたいことはそれだけなのに。
彼の表情を見たら、やはり伝えられなかった。
ただ一言。「僕は君が好きだよ」と。
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生きているということ。
2010年04月04日
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