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2026年06月13日
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偽りの恋で5題(BLEACH:イチウリ)

2011年05月30日
何ともいえず本当にいきなり、「僕は君が好きだ」とダイレクトな告白を受けた。
気持ちが舞い上がりそうになった直前、いやいや待てよ、と自分の中からふつふつと沸き上がる昂りをなんとか押さえる。
だって、有り得ないではないか。
此方が「お前のことが好き」と言うのは納得できるが、あちらが「僕は君が好き」なんてことは天地がひっくり返っても無いものだと思っていたのだ。
だって、そう思うのも当然ではないか。
彼は俺が嫌いな筈だ。出会った当初から良い印象を持たれてはいなかったし、何より彼は『死神』という一括りされた生き物が嫌いなのだ。
最近はそれをあまり表に出さなくなったが、まだ死神とぎくしゃくしてるのには変わりがない。しかし、一部の死神と仲が良さ気なのもまた事実で、何故だか分からないが俺が一番不遇な扱いを受けている気がする。
俺はあくまで『死神代行』なのに、しょっちゅう彼から睨まれているのは俺なのだ。

そんなあいつが、今この場で俺に「好き」だなんて、絶対にないと断言できる。きっと何かの悪戯だろう、あの堅物な真面目野郎がそんな下らない遊びをする筈がないと分かっていながらも。
俺は今のこの現実を乗り切るので精一杯で、あいつの本心なんて微塵も考えてなかった。

「何言ってんだよ。笑えねーぞ」
「………」

告白を口にするときは酷く無表情だったが、今俺が彼の言葉を否定したまさにその瞬間、顔が歪んだ。こいつのことを何も知らない人間が見たら何処が変わったのかわからないくらいに小さい変化なのだが、何せ俺は毎日見ている。表情変化に敏感になったのも最近だ。
小さく小さく、眉が動く感じがして、あれ、おかしいなとよく分からないが酷い焦燥感に襲われる。
もしかして俺は、答えの選択をミスったのではないか、と。

「そうだね。笑えない冗談だった。忘れて」

冷たい声がした。いつもと同じ声のトーンで、酷く落ち着いた声で、身体と心臓に直接突き刺さるような、声色。
それなのに、俺にはこいつが悲しんでるようにも見えた。
だって、なんでだよ。いつも俺のことを嫌いだって言ってたじゃねぇか。関わるな、とか、近付くな、とか。
なのに、なんで、何でこんなときに。
じゃあ今までの嫌いってなんだったんだよ。
その「好き」は、

「冗談だって言っただろ。僕は君のことが大嫌いだからね」

好きから大嫌いに降格された。
遠ざかっていく後ろ姿、次第に見えなくなっていく。呆然と立ち竦む俺に目もくれずに、俺の想い人は俺を困惑させるだけ困惑させて俺の視界から消えた。
無意識に足が動く。きっと足が、あいつを追いかけろと俺を促してくれてるに違いない。
少しだけ覚束ない足取りで、俺は走った。
きっとあいつは、今すごく泣きたい気分なんだろう。
そう考えたら、俺もすごく泣きたい気分になった。





5、嘘もいずれは誠になる


(嫌いが嘘だったのかよ、好きが嘘だったのかよ、わかんねぇよ)


――――――――

お題配布元→Paper plane
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