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2026年06月15日
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無題
2010年09月23日
はつこいというものは さん
2010年09月21日
食堂で、食事もせずに静かに座っている人物が二人。
一人は帝王とまで呼ばれた天才で、もう一人はその天才の友人で、同じく天才と呼ばれる人物だった。
帝王の彼は、向かい合っている友人を見ずに、ただ俯いているだけ。
そしてその友人は、自身のぴょこぴょこと跳ねている緑色の癖っ毛を指でくるくると弄っていた。
「……藤原」
「なに?丸藤」
漸く小さな声が発せられ、癖っ毛の友人は短く返事をして彼の言葉を待つ。
「お前、恋をした事はあるか」
「………へぇ。珍しいね」
丸藤がそんな事を言うなんて、少しからかいを含んだ声でそう言われたが、当の亮は全く気にしていない。
ただ、黙って藤原の返答を待っていた。
冗談ではなく本気なんだ、と気付くのに時間はかからなく、藤原は目の前にある氷入りのグラスを見つめながら、「あるよ」と答えた。
「人生には一回ぐらいあるだろ?あの子を見てると胸が高鳴るとか、特定の人間の事ばかりを考えてるとか。」
「……無いから困っているんだ。」
「え、丸藤は今恋してるの?」
ついつい出てしまった一言に、藤原が興味を示す。しまったと思った時にはもう遅く、まあもともと相談するつもりだったから話をしようと誘ったのだが、いざ話すとなると何を話していいのかまったくわからない。
「恋、というのは、具体的にどんなものなんだろう。」
「そこから始まるの?初歩の初歩じゃないか。」
「………はっきり言って、恋なんてした事が無い。」
「それはすごいね。今までどんな知識で生きてきたのか気になるところだ。」
じゃあ、今丸藤が体験してる恋ってどんな感じ?
藤原にそう問われて、亮は返答に困った。どんなものと言われても、言葉では言い表せないこともある。
「その人物を見ると安心する」「何だか胸の中がもやもやする」「一緒に居て楽しい」そんな簡単な表現しか出てこない。
「十分だよ。しっかり恋してるじゃん。」
笑う藤原に対し、言ってもいいのかと不安な気持ちになる。
自身の、想い人の名を。
「それで、誰なの?その丸藤に好きになってもらった幸せちゃんは。」
「…………藤原。」
「なに?」
「………男が男に恋をする、というのは………、おかしい事なんだろうな。」
「――――………」
そう告げた亮の顔を、藤原が凝視する。見られているというのはあまり居心地が良いものではなく、だからと言って逃げ出すというのも今更だ。
黙って俯いている亮に対し、藤原がぽつりと呟いた。
「俺も好きだよ」
「……?」
「丸藤が抱いている感情とはちょっと違うけど、友人として、俺は……吹雪がすごく、すごくすごく大好きだ。」
君の、吹雪に対する想いに負けないくらいに。先程までとは打って変わって、からかいや冗談などは一切含まない、亮でさえも聞いた事のないような藤原の低い声。
「吹雪に対する思いは同じだから、俺は君の想いを否定しないよ。でも、丸藤はもっと吹雪を見るべきだ。」
「…何」
「あいつの行動も言動も、俺は見ていてすぐに気付いたよ。」
悔しいほどに。藤原は目の前のグラスに入った水を一気に飲み干し、口の中に共に入ってきた氷をがりがりと音を立てて噛み砕く。驚いた様子の亮に向かって、グラスに刺さっていたストローを突き付けた。
普段からは想像もつかない友人の姿に、亮は若干困惑していた。
それでも、彼の瞳は至極真面目で、何も言うことができない。
「俺は吹雪の幸せを願ってるんだ。それ以外別にいらない。もしも丸藤が吹雪を泣かすような事があったら、例え友達でも、絶対に許さないからな」
彼はグラスを持ち上げて、「水入れ直してくるよ。」といつもの優しげな面持ちで席を立った。
一人になった空間で、俯いたまま藤原の言葉を一つ一つゆっくりと思いだす。
もっと吹雪を見ていれば、気付く事があるのか。それで俺のこのもやもやは解消されるのか。いや、解消される日などこないだろう。何故かといえば、俺が恋をしてしまったのが男だからだ。彼が自分の気持ちに応えてくれるなど、万一にもあり得ない事なのだ。
(そうだ、絶対にあり得ない……)
彼は気付かない。気付こうとしない。
想い人の、本当の気持ちに。
――――――――
久しぶりに書いてみた。
なんか藤原って吹雪さん大好きなイメージある。藤吹サイト回りすぎたせいか…
カイザーって男同士とか気にしまくりな感じ。ヘルカイザーはとりあえずそういうの関係無く襲うと思う(お前
一人は帝王とまで呼ばれた天才で、もう一人はその天才の友人で、同じく天才と呼ばれる人物だった。
帝王の彼は、向かい合っている友人を見ずに、ただ俯いているだけ。
そしてその友人は、自身のぴょこぴょこと跳ねている緑色の癖っ毛を指でくるくると弄っていた。
「……藤原」
「なに?丸藤」
漸く小さな声が発せられ、癖っ毛の友人は短く返事をして彼の言葉を待つ。
「お前、恋をした事はあるか」
「………へぇ。珍しいね」
丸藤がそんな事を言うなんて、少しからかいを含んだ声でそう言われたが、当の亮は全く気にしていない。
ただ、黙って藤原の返答を待っていた。
冗談ではなく本気なんだ、と気付くのに時間はかからなく、藤原は目の前にある氷入りのグラスを見つめながら、「あるよ」と答えた。
「人生には一回ぐらいあるだろ?あの子を見てると胸が高鳴るとか、特定の人間の事ばかりを考えてるとか。」
「……無いから困っているんだ。」
「え、丸藤は今恋してるの?」
ついつい出てしまった一言に、藤原が興味を示す。しまったと思った時にはもう遅く、まあもともと相談するつもりだったから話をしようと誘ったのだが、いざ話すとなると何を話していいのかまったくわからない。
「恋、というのは、具体的にどんなものなんだろう。」
「そこから始まるの?初歩の初歩じゃないか。」
「………はっきり言って、恋なんてした事が無い。」
「それはすごいね。今までどんな知識で生きてきたのか気になるところだ。」
じゃあ、今丸藤が体験してる恋ってどんな感じ?
藤原にそう問われて、亮は返答に困った。どんなものと言われても、言葉では言い表せないこともある。
「その人物を見ると安心する」「何だか胸の中がもやもやする」「一緒に居て楽しい」そんな簡単な表現しか出てこない。
「十分だよ。しっかり恋してるじゃん。」
笑う藤原に対し、言ってもいいのかと不安な気持ちになる。
自身の、想い人の名を。
「それで、誰なの?その丸藤に好きになってもらった幸せちゃんは。」
「…………藤原。」
「なに?」
「………男が男に恋をする、というのは………、おかしい事なんだろうな。」
「――――………」
そう告げた亮の顔を、藤原が凝視する。見られているというのはあまり居心地が良いものではなく、だからと言って逃げ出すというのも今更だ。
黙って俯いている亮に対し、藤原がぽつりと呟いた。
「俺も好きだよ」
「……?」
「丸藤が抱いている感情とはちょっと違うけど、友人として、俺は……吹雪がすごく、すごくすごく大好きだ。」
君の、吹雪に対する想いに負けないくらいに。先程までとは打って変わって、からかいや冗談などは一切含まない、亮でさえも聞いた事のないような藤原の低い声。
「吹雪に対する思いは同じだから、俺は君の想いを否定しないよ。でも、丸藤はもっと吹雪を見るべきだ。」
「…何」
「あいつの行動も言動も、俺は見ていてすぐに気付いたよ。」
悔しいほどに。藤原は目の前のグラスに入った水を一気に飲み干し、口の中に共に入ってきた氷をがりがりと音を立てて噛み砕く。驚いた様子の亮に向かって、グラスに刺さっていたストローを突き付けた。
普段からは想像もつかない友人の姿に、亮は若干困惑していた。
それでも、彼の瞳は至極真面目で、何も言うことができない。
「俺は吹雪の幸せを願ってるんだ。それ以外別にいらない。もしも丸藤が吹雪を泣かすような事があったら、例え友達でも、絶対に許さないからな」
彼はグラスを持ち上げて、「水入れ直してくるよ。」といつもの優しげな面持ちで席を立った。
一人になった空間で、俯いたまま藤原の言葉を一つ一つゆっくりと思いだす。
もっと吹雪を見ていれば、気付く事があるのか。それで俺のこのもやもやは解消されるのか。いや、解消される日などこないだろう。何故かといえば、俺が恋をしてしまったのが男だからだ。彼が自分の気持ちに応えてくれるなど、万一にもあり得ない事なのだ。
(そうだ、絶対にあり得ない……)
彼は気付かない。気付こうとしない。
想い人の、本当の気持ちに。
――――――――
久しぶりに書いてみた。
なんか藤原って吹雪さん大好きなイメージある。藤吹サイト回りすぎたせいか…
カイザーって男同士とか気にしまくりな感じ。ヘルカイザーはとりあえずそういうの関係無く襲うと思う(お前
あめあめふれふれ
2010年09月12日
「わ、雨降ってきた。」
レッド寮に帰る途中、頭にぽつりと雫が当たる。何だろうと一旦立ち止まり、手を空にかざしてみる。右手にもぽつりと当たる感覚。次第にそれは音を立てるほどに空からさああと降ってきた。
雫自体は小さいが、量が多いせいか頭も体も、すぐに水分を含んで湿ってくる。雨が降るなんてそうそうない事だから少しばかり珍しそうに両手を広げながら雨に打たれていたが、その間に雨はどんどん強くなっていく。
流石に服が重くなってきた上に体温が一気に冷めてきた気がして、十代は慌てて寮に走った。
寮のすぐ近くの森から、人影が飛び出してきた。驚いて思わず立ち止まったが、その人影も十代の姿に驚いたのか立ち止まる。
雨で視界が悪くぼやけていたが、銀色の髪の毛に、グレーのスーツの上着を傘代わりにしているのか頭に被っているその人物には、確実に見覚えがあった。
銀髪の少年も目を何度かこしこしと擦りながら、目を細めて十代を確認するように見る。
「……ああ、十代か。」
「エドじゃん、何やってるんだよこんなとこで。」
雨の音で若干声がかき消されている。弱まる事を知らない雨は、未だにざあざあと降り続いている。こんなところで立ち止まっていると風邪を引くかもしれない、そう思った十代は、「とりあえずレッド寮に行こうぜ。」とエドの腕を引っ張って自身の部屋に入った。
ぶんぶんと頭を振って水滴を払う十代に、「タオルを使え!」とエドに睨まれ、投げ渡された真っ白なタオルで頭をがしがしと適当に拭く。上着は水をたっぷりと含んでいつもより赤黒くなっている。戸を少しだけ開けて上着を絞ると、水がびしゃびしゃと大量に出てくる。
相当だなぁと思いながらエドに目を移すと、特に何をするでもなくタオルを頭にかぶせたまま窓の外を見つめていた。
「おーい、お前も服脱いで乾かさないと風邪ひくぞー」
そう言って後ろから銀色の髪をタオル越しにわしゃわしゃと掻き乱した。
「ぎゃっ」と珍しく気の抜けた声がして、振り返って自分で拭けると十代を睨む。いつもと違うぐしゃぐしゃの髪型に、笑いが漏れた。
少し不機嫌そうな顔をしながらも、再び窓の外に目を移す。十代も同じように窓から外を覗いて見ても、別に景色が良い訳でもなく、ただただ曇り空の下、雨が只管に海に吸い込まれていくだけの光景だった。
んー?と思いながら再びエドに目を移すが、やはり彼は窓の外をずっと見ているだけ。
「なあエド、外なんか見てないで俺と話そうぜ。」
「……なにを話せと」
「お前あそこでなにしてたんだ?」
「………別に、ただの散歩だ。」
実際には、父のもとから盗まれたカードを探す為に片っ端から生徒にデュエルを挑んで負かしてはカードをぶちまけていた……訳なのだが、そんなこと口が裂けても言えない。
ふう、と小さく溜息を零す。
「エド、それじゃあ俺とデュエルしようぜ!」
唐突過ぎる十代の発言に、流石のエドも表情を固まらせて「ん?」という顔をする。
「元気が出ないときはデュエルに限るぜ!雨って気持ちいいけど、なんかだるい気持ちになるもんな!」
どうやら雨のせいで気が滅入っていると思われているらしい。やろうやろうと笑う十代に呆れながらも、彼のいつでもポジティブな考えにを少しばかり羨ましく思った。
膝を抱えながら、タオルで頭をごしごしと擦る。
「デッキは船にあるから今はない。」
「じゃあ取りに行こうぜ!」
「意味無いだろそれじゃあ……」
また雨の中に飛び出そうとする十代を制止しながら、エドは少しだけ苦笑した。
こんな空間に居るのも、たまには悪くないかもな、と。
――――――――
時間軸……ジェネックス真っ只中ということでどうだろう(どうだろうて
指輪
2010年09月12日
テーブルの上に、明らかに機械の部品ではないだろう小さなリングが二つ置いてあった。
少しだけ汚れているものの、少し拭けば再び光を取り戻すであろう、銀色のリング。
それを何気なしに手に取り、まじまじと見つめた。
「遊星、これはなんだ。」
「リングだ。ジャンクの中にあったから、ついでに拾ってきた。」
綺麗だったから、と、拾ってきた張本人は機械を弄る手を休ませることなく呟いた。
電灯に少し近づけて角度を変えながらリングを見ると、光が反射された部分がきらりきらりと白く輝く。
再びテーブルにリングを置いて、またもじっと見つめる。
大きさが違う。簡潔に言うと、大きいものと小さいもの。どうやら男と女のもののようである。
結婚をして、幸せの欠片であるリングを新郎新婦は指にはめる。こんな小さなもので二人の愛情が強く繋ぎ止められているかどうかと問われたら、否、否定の言葉を口にするだろう。
現にこの小さな幸せの欠片は、今や捨てられたジャンクと同様の扱い。
愛など脆いものだ、ジャックは小さくそう思った。
そう考えたら、目の前のリングがあまり大したものには見えなくなってくる。少しばかり興味を失ってリングから目線を外すと、今度は遊星がリングに手を伸ばした。
「もう見ないのか?」
「……興味が無くなった。」
ジャックの言葉に遊星は少しばかり首を傾げたが、あまり気にしなかったようで、棚から一切れの布を取りだす。リングを小さく摘み、布でゆっくりと擦り始めた。
きゅ、きゅという音だけが部屋に響く。ジャックも何をするでもなく、ただ遊星の行動を凝視していた。
少し経ってから、遊星は電灯に二つのリングをかざした。先刻よりも綺麗になったそれは、銀色に輝いた。綺麗になったリングの輝きを見ると、結構な代物に見える。何度も何度も手を傾けながらリングをかざす遊星は、心なしか嬉しそうだった。
「……やっぱり、綺麗だな。」
それから、そう呟いた。
ジャックが、ずいっと自身の右手を差し出してきた。
その行動の意図がわからず、頭にクエスチョンマークを浮かべながら遊星は彼を見上げる。
「ひとつ、寄越せ。」
遊星が何かを言うのを遮って、彼の手から一つのリングをぶん取った。
手に残ったのは、大きめのリングだった。
遊星がジャックを見る。当のジャックは、小さい方のリングを指にはめようとしていた。
しかし、女もののリングが大の男の指にはまる筈も無く、親指、人差し指、中指、薬指……どれにもはまらない事に少しイライラしているようだ。
大きい方を取ればよかったのに、そう思っていた遊星は、試しに自分の手の上のリングを指にはめてみる。
小指、薬指、中指、人差し指……全てぶかぶかだったことにむっとした。遊星は身長も標準だし、手も指もそれ相応の大きさのはずだ。それなのにぶかぶかだという事は、当初これをはめていた男は自分よりも大きい人間だという事になる。
少しばかり不満気にリングを見つめていた遊星に、ジャックの楽しそうな声が降ってきた。
「遊星!見ろ、とうとうはまったぞ!」
ふふんと得意げにジャックが見せてきた左手には、確かにリングがはまっている。
ただし、小指に、だ。
リングって小指に付けるものなのだろうか、疑問に思った遊星だが、女のリングが男の(しかも普通よりでかい)、それが小指だとしてもはまった事はすごい。機嫌を良くしたジャックに余計な事は言わない方が良いなと判断した。
このリングはどうしよう、掌にちょこんと乗ったリングを見つめる。小さいのはジャックが貰ってくれそうだからいいが、大きいのはまた捨てなければいけないのだろうか。少し勿体ないなと思う。
ジャックが遊星の手からひょいとリングを取ると、「左手を出せ。」と促され、大人しく差し出す。
ゆっくりと、親指にはめられた。ジャックが満足そうな声を出す。
「ぴったりじゃないか。」
「……親指にはめるリングなんて初めて見る。」
「何処でもいいだろう、はめる場所など。」
同じものを付けているなら、ジャックはそう言った。
遊星ははめられたリングをじっと見ながら、こくりと小さく頷いた。
親指と小指、全く正反対の指にはめられた、銀色の二つのリング。
一度失った光が、もう一度、彼らの指で静かに煌く。
今度は、二人の幸せの欠片として。
――――――――
親族の結婚式に行ったときに思いついたもの。ところでおめでたい席の中でこんな事を考えてた俺って何なの…
少しだけ汚れているものの、少し拭けば再び光を取り戻すであろう、銀色のリング。
それを何気なしに手に取り、まじまじと見つめた。
「遊星、これはなんだ。」
「リングだ。ジャンクの中にあったから、ついでに拾ってきた。」
綺麗だったから、と、拾ってきた張本人は機械を弄る手を休ませることなく呟いた。
電灯に少し近づけて角度を変えながらリングを見ると、光が反射された部分がきらりきらりと白く輝く。
再びテーブルにリングを置いて、またもじっと見つめる。
大きさが違う。簡潔に言うと、大きいものと小さいもの。どうやら男と女のもののようである。
結婚をして、幸せの欠片であるリングを新郎新婦は指にはめる。こんな小さなもので二人の愛情が強く繋ぎ止められているかどうかと問われたら、否、否定の言葉を口にするだろう。
現にこの小さな幸せの欠片は、今や捨てられたジャンクと同様の扱い。
愛など脆いものだ、ジャックは小さくそう思った。
そう考えたら、目の前のリングがあまり大したものには見えなくなってくる。少しばかり興味を失ってリングから目線を外すと、今度は遊星がリングに手を伸ばした。
「もう見ないのか?」
「……興味が無くなった。」
ジャックの言葉に遊星は少しばかり首を傾げたが、あまり気にしなかったようで、棚から一切れの布を取りだす。リングを小さく摘み、布でゆっくりと擦り始めた。
きゅ、きゅという音だけが部屋に響く。ジャックも何をするでもなく、ただ遊星の行動を凝視していた。
少し経ってから、遊星は電灯に二つのリングをかざした。先刻よりも綺麗になったそれは、銀色に輝いた。綺麗になったリングの輝きを見ると、結構な代物に見える。何度も何度も手を傾けながらリングをかざす遊星は、心なしか嬉しそうだった。
「……やっぱり、綺麗だな。」
それから、そう呟いた。
ジャックが、ずいっと自身の右手を差し出してきた。
その行動の意図がわからず、頭にクエスチョンマークを浮かべながら遊星は彼を見上げる。
「ひとつ、寄越せ。」
遊星が何かを言うのを遮って、彼の手から一つのリングをぶん取った。
手に残ったのは、大きめのリングだった。
遊星がジャックを見る。当のジャックは、小さい方のリングを指にはめようとしていた。
しかし、女もののリングが大の男の指にはまる筈も無く、親指、人差し指、中指、薬指……どれにもはまらない事に少しイライラしているようだ。
大きい方を取ればよかったのに、そう思っていた遊星は、試しに自分の手の上のリングを指にはめてみる。
小指、薬指、中指、人差し指……全てぶかぶかだったことにむっとした。遊星は身長も標準だし、手も指もそれ相応の大きさのはずだ。それなのにぶかぶかだという事は、当初これをはめていた男は自分よりも大きい人間だという事になる。
少しばかり不満気にリングを見つめていた遊星に、ジャックの楽しそうな声が降ってきた。
「遊星!見ろ、とうとうはまったぞ!」
ふふんと得意げにジャックが見せてきた左手には、確かにリングがはまっている。
ただし、小指に、だ。
リングって小指に付けるものなのだろうか、疑問に思った遊星だが、女のリングが男の(しかも普通よりでかい)、それが小指だとしてもはまった事はすごい。機嫌を良くしたジャックに余計な事は言わない方が良いなと判断した。
このリングはどうしよう、掌にちょこんと乗ったリングを見つめる。小さいのはジャックが貰ってくれそうだからいいが、大きいのはまた捨てなければいけないのだろうか。少し勿体ないなと思う。
ジャックが遊星の手からひょいとリングを取ると、「左手を出せ。」と促され、大人しく差し出す。
ゆっくりと、親指にはめられた。ジャックが満足そうな声を出す。
「ぴったりじゃないか。」
「……親指にはめるリングなんて初めて見る。」
「何処でもいいだろう、はめる場所など。」
同じものを付けているなら、ジャックはそう言った。
遊星ははめられたリングをじっと見ながら、こくりと小さく頷いた。
親指と小指、全く正反対の指にはめられた、銀色の二つのリング。
一度失った光が、もう一度、彼らの指で静かに煌く。
今度は、二人の幸せの欠片として。
――――――――
親族の結婚式に行ったときに思いついたもの。ところでおめでたい席の中でこんな事を考えてた俺って何なの…
無題
2010年09月06日
とりあえず凡骨と♀社長の話が書きたいと思いました。
じょ、城海……
女とか関係なくガン飛ばす凡骨って女に興味ないとかそんながあるのかなぁ。でも何だかんだでエロビデオは見てるんだよなぁ。気が強い女っていうか、高飛車な人はあんまり好きじゃないのかな?最初は舞さんにもちょっと冷たかったっていうか「あの女!」みたいな感じだったし。
だとすると♀社長とは全くと言っていいほど男と女の関係を築けない訳ですね!
なにそれ萌える
あ、因みに社長の名前は海馬瀬人のままです。名前を変えるのに抵抗があったとかそんな…
「瀬人ちゃん」なんて可愛いじゃないか…!