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2026年06月13日
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指輪
2010年09月12日
テーブルの上に、明らかに機械の部品ではないだろう小さなリングが二つ置いてあった。
少しだけ汚れているものの、少し拭けば再び光を取り戻すであろう、銀色のリング。
それを何気なしに手に取り、まじまじと見つめた。
「遊星、これはなんだ。」
「リングだ。ジャンクの中にあったから、ついでに拾ってきた。」
綺麗だったから、と、拾ってきた張本人は機械を弄る手を休ませることなく呟いた。
電灯に少し近づけて角度を変えながらリングを見ると、光が反射された部分がきらりきらりと白く輝く。
再びテーブルにリングを置いて、またもじっと見つめる。
大きさが違う。簡潔に言うと、大きいものと小さいもの。どうやら男と女のもののようである。
結婚をして、幸せの欠片であるリングを新郎新婦は指にはめる。こんな小さなもので二人の愛情が強く繋ぎ止められているかどうかと問われたら、否、否定の言葉を口にするだろう。
現にこの小さな幸せの欠片は、今や捨てられたジャンクと同様の扱い。
愛など脆いものだ、ジャックは小さくそう思った。
そう考えたら、目の前のリングがあまり大したものには見えなくなってくる。少しばかり興味を失ってリングから目線を外すと、今度は遊星がリングに手を伸ばした。
「もう見ないのか?」
「……興味が無くなった。」
ジャックの言葉に遊星は少しばかり首を傾げたが、あまり気にしなかったようで、棚から一切れの布を取りだす。リングを小さく摘み、布でゆっくりと擦り始めた。
きゅ、きゅという音だけが部屋に響く。ジャックも何をするでもなく、ただ遊星の行動を凝視していた。
少し経ってから、遊星は電灯に二つのリングをかざした。先刻よりも綺麗になったそれは、銀色に輝いた。綺麗になったリングの輝きを見ると、結構な代物に見える。何度も何度も手を傾けながらリングをかざす遊星は、心なしか嬉しそうだった。
「……やっぱり、綺麗だな。」
それから、そう呟いた。
ジャックが、ずいっと自身の右手を差し出してきた。
その行動の意図がわからず、頭にクエスチョンマークを浮かべながら遊星は彼を見上げる。
「ひとつ、寄越せ。」
遊星が何かを言うのを遮って、彼の手から一つのリングをぶん取った。
手に残ったのは、大きめのリングだった。
遊星がジャックを見る。当のジャックは、小さい方のリングを指にはめようとしていた。
しかし、女もののリングが大の男の指にはまる筈も無く、親指、人差し指、中指、薬指……どれにもはまらない事に少しイライラしているようだ。
大きい方を取ればよかったのに、そう思っていた遊星は、試しに自分の手の上のリングを指にはめてみる。
小指、薬指、中指、人差し指……全てぶかぶかだったことにむっとした。遊星は身長も標準だし、手も指もそれ相応の大きさのはずだ。それなのにぶかぶかだという事は、当初これをはめていた男は自分よりも大きい人間だという事になる。
少しばかり不満気にリングを見つめていた遊星に、ジャックの楽しそうな声が降ってきた。
「遊星!見ろ、とうとうはまったぞ!」
ふふんと得意げにジャックが見せてきた左手には、確かにリングがはまっている。
ただし、小指に、だ。
リングって小指に付けるものなのだろうか、疑問に思った遊星だが、女のリングが男の(しかも普通よりでかい)、それが小指だとしてもはまった事はすごい。機嫌を良くしたジャックに余計な事は言わない方が良いなと判断した。
このリングはどうしよう、掌にちょこんと乗ったリングを見つめる。小さいのはジャックが貰ってくれそうだからいいが、大きいのはまた捨てなければいけないのだろうか。少し勿体ないなと思う。
ジャックが遊星の手からひょいとリングを取ると、「左手を出せ。」と促され、大人しく差し出す。
ゆっくりと、親指にはめられた。ジャックが満足そうな声を出す。
「ぴったりじゃないか。」
「……親指にはめるリングなんて初めて見る。」
「何処でもいいだろう、はめる場所など。」
同じものを付けているなら、ジャックはそう言った。
遊星ははめられたリングをじっと見ながら、こくりと小さく頷いた。
親指と小指、全く正反対の指にはめられた、銀色の二つのリング。
一度失った光が、もう一度、彼らの指で静かに煌く。
今度は、二人の幸せの欠片として。
――――――――
親族の結婚式に行ったときに思いついたもの。ところでおめでたい席の中でこんな事を考えてた俺って何なの…
少しだけ汚れているものの、少し拭けば再び光を取り戻すであろう、銀色のリング。
それを何気なしに手に取り、まじまじと見つめた。
「遊星、これはなんだ。」
「リングだ。ジャンクの中にあったから、ついでに拾ってきた。」
綺麗だったから、と、拾ってきた張本人は機械を弄る手を休ませることなく呟いた。
電灯に少し近づけて角度を変えながらリングを見ると、光が反射された部分がきらりきらりと白く輝く。
再びテーブルにリングを置いて、またもじっと見つめる。
大きさが違う。簡潔に言うと、大きいものと小さいもの。どうやら男と女のもののようである。
結婚をして、幸せの欠片であるリングを新郎新婦は指にはめる。こんな小さなもので二人の愛情が強く繋ぎ止められているかどうかと問われたら、否、否定の言葉を口にするだろう。
現にこの小さな幸せの欠片は、今や捨てられたジャンクと同様の扱い。
愛など脆いものだ、ジャックは小さくそう思った。
そう考えたら、目の前のリングがあまり大したものには見えなくなってくる。少しばかり興味を失ってリングから目線を外すと、今度は遊星がリングに手を伸ばした。
「もう見ないのか?」
「……興味が無くなった。」
ジャックの言葉に遊星は少しばかり首を傾げたが、あまり気にしなかったようで、棚から一切れの布を取りだす。リングを小さく摘み、布でゆっくりと擦り始めた。
きゅ、きゅという音だけが部屋に響く。ジャックも何をするでもなく、ただ遊星の行動を凝視していた。
少し経ってから、遊星は電灯に二つのリングをかざした。先刻よりも綺麗になったそれは、銀色に輝いた。綺麗になったリングの輝きを見ると、結構な代物に見える。何度も何度も手を傾けながらリングをかざす遊星は、心なしか嬉しそうだった。
「……やっぱり、綺麗だな。」
それから、そう呟いた。
ジャックが、ずいっと自身の右手を差し出してきた。
その行動の意図がわからず、頭にクエスチョンマークを浮かべながら遊星は彼を見上げる。
「ひとつ、寄越せ。」
遊星が何かを言うのを遮って、彼の手から一つのリングをぶん取った。
手に残ったのは、大きめのリングだった。
遊星がジャックを見る。当のジャックは、小さい方のリングを指にはめようとしていた。
しかし、女もののリングが大の男の指にはまる筈も無く、親指、人差し指、中指、薬指……どれにもはまらない事に少しイライラしているようだ。
大きい方を取ればよかったのに、そう思っていた遊星は、試しに自分の手の上のリングを指にはめてみる。
小指、薬指、中指、人差し指……全てぶかぶかだったことにむっとした。遊星は身長も標準だし、手も指もそれ相応の大きさのはずだ。それなのにぶかぶかだという事は、当初これをはめていた男は自分よりも大きい人間だという事になる。
少しばかり不満気にリングを見つめていた遊星に、ジャックの楽しそうな声が降ってきた。
「遊星!見ろ、とうとうはまったぞ!」
ふふんと得意げにジャックが見せてきた左手には、確かにリングがはまっている。
ただし、小指に、だ。
リングって小指に付けるものなのだろうか、疑問に思った遊星だが、女のリングが男の(しかも普通よりでかい)、それが小指だとしてもはまった事はすごい。機嫌を良くしたジャックに余計な事は言わない方が良いなと判断した。
このリングはどうしよう、掌にちょこんと乗ったリングを見つめる。小さいのはジャックが貰ってくれそうだからいいが、大きいのはまた捨てなければいけないのだろうか。少し勿体ないなと思う。
ジャックが遊星の手からひょいとリングを取ると、「左手を出せ。」と促され、大人しく差し出す。
ゆっくりと、親指にはめられた。ジャックが満足そうな声を出す。
「ぴったりじゃないか。」
「……親指にはめるリングなんて初めて見る。」
「何処でもいいだろう、はめる場所など。」
同じものを付けているなら、ジャックはそう言った。
遊星ははめられたリングをじっと見ながら、こくりと小さく頷いた。
親指と小指、全く正反対の指にはめられた、銀色の二つのリング。
一度失った光が、もう一度、彼らの指で静かに煌く。
今度は、二人の幸せの欠片として。
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親族の結婚式に行ったときに思いついたもの。ところでおめでたい席の中でこんな事を考えてた俺って何なの…
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