忍者ブログ

[PR]

2026年06月13日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

はつこいというものは さん

2010年09月21日
食堂で、食事もせずに静かに座っている人物が二人。
一人は帝王とまで呼ばれた天才で、もう一人はその天才の友人で、同じく天才と呼ばれる人物だった。
帝王の彼は、向かい合っている友人を見ずに、ただ俯いているだけ。
そしてその友人は、自身のぴょこぴょこと跳ねている緑色の癖っ毛を指でくるくると弄っていた。

「……藤原」
「なに?丸藤」

漸く小さな声が発せられ、癖っ毛の友人は短く返事をして彼の言葉を待つ。

「お前、恋をした事はあるか」
「………へぇ。珍しいね」

丸藤がそんな事を言うなんて、少しからかいを含んだ声でそう言われたが、当の亮は全く気にしていない。
ただ、黙って藤原の返答を待っていた。
冗談ではなく本気なんだ、と気付くのに時間はかからなく、藤原は目の前にある氷入りのグラスを見つめながら、「あるよ」と答えた。

「人生には一回ぐらいあるだろ?あの子を見てると胸が高鳴るとか、特定の人間の事ばかりを考えてるとか。」
「……無いから困っているんだ。」
「え、丸藤は今恋してるの?」

ついつい出てしまった一言に、藤原が興味を示す。しまったと思った時にはもう遅く、まあもともと相談するつもりだったから話をしようと誘ったのだが、いざ話すとなると何を話していいのかまったくわからない。

「恋、というのは、具体的にどんなものなんだろう。」
「そこから始まるの?初歩の初歩じゃないか。」
「………はっきり言って、恋なんてした事が無い。」
「それはすごいね。今までどんな知識で生きてきたのか気になるところだ。」

じゃあ、今丸藤が体験してる恋ってどんな感じ?
藤原にそう問われて、亮は返答に困った。どんなものと言われても、言葉では言い表せないこともある。
「その人物を見ると安心する」「何だか胸の中がもやもやする」「一緒に居て楽しい」そんな簡単な表現しか出てこない。

「十分だよ。しっかり恋してるじゃん。」

笑う藤原に対し、言ってもいいのかと不安な気持ちになる。
自身の、想い人の名を。

「それで、誰なの?その丸藤に好きになってもらった幸せちゃんは。」



「…………藤原。」
「なに?」
「………男が男に恋をする、というのは………、おかしい事なんだろうな。」
「――――………」

そう告げた亮の顔を、藤原が凝視する。見られているというのはあまり居心地が良いものではなく、だからと言って逃げ出すというのも今更だ。
黙って俯いている亮に対し、藤原がぽつりと呟いた。

「俺も好きだよ」
「……?」
「丸藤が抱いている感情とはちょっと違うけど、友人として、俺は……吹雪がすごく、すごくすごく大好きだ。」

君の、吹雪に対する想いに負けないくらいに。先程までとは打って変わって、からかいや冗談などは一切含まない、亮でさえも聞いた事のないような藤原の低い声。

「吹雪に対する思いは同じだから、俺は君の想いを否定しないよ。でも、丸藤はもっと吹雪を見るべきだ。」
「…何」
「あいつの行動も言動も、俺は見ていてすぐに気付いたよ。」

悔しいほどに。藤原は目の前のグラスに入った水を一気に飲み干し、口の中に共に入ってきた氷をがりがりと音を立てて噛み砕く。驚いた様子の亮に向かって、グラスに刺さっていたストローを突き付けた。
普段からは想像もつかない友人の姿に、亮は若干困惑していた。
それでも、彼の瞳は至極真面目で、何も言うことができない。

「俺は吹雪の幸せを願ってるんだ。それ以外別にいらない。もしも丸藤が吹雪を泣かすような事があったら、例え友達でも、絶対に許さないからな」

彼はグラスを持ち上げて、「水入れ直してくるよ。」といつもの優しげな面持ちで席を立った。
一人になった空間で、俯いたまま藤原の言葉を一つ一つゆっくりと思いだす。
もっと吹雪を見ていれば、気付く事があるのか。それで俺のこのもやもやは解消されるのか。いや、解消される日などこないだろう。何故かといえば、俺が恋をしてしまったのが男だからだ。彼が自分の気持ちに応えてくれるなど、万一にもあり得ない事なのだ。

(そうだ、絶対にあり得ない……)

彼は気付かない。気付こうとしない。
想い人の、本当の気持ちに。


――――――――

久しぶりに書いてみた。
なんか藤原って吹雪さん大好きなイメージある。藤吹サイト回りすぎたせいか…
カイザーって男同士とか気にしまくりな感じ。ヘルカイザーはとりあえずそういうの関係無く襲うと思う(お前
PR
Comment
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Trackback
トラックバックURL: