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アニキと恐竜
あ、と思った時、赤い上着の彼が振り返り、木々の間越しに目が合った。
何だかすごく久しぶりに会った気がする、そう思いながら何となく動かないでいると、彼が此方の名前を呼んだ。昔より、若干低い声で。
「剣山じゃないか」
草を跨いで、視界が悪かった森の外に出る。森が暗かったためか、急に目に入ってきた太陽の光に頭がくらりとした。何度か瞬きをした後、漸くぼやけた視界がしっかりと鮮明に映し出される。
最初に目に映ったのは、やはり先程の鮮やかな赤。
彼はもう此方を振り向く気配はなかったが、別に来るなと言っている訳でもない。ただただ黙って、何処までも続く青を見つめていた。
長い間見てきた横顔の雰囲気が少し違うような気がして、うっかりじっと見てしまう。
気付いた十代も、じっと見る剣山に少しだけ苦笑を漏らして、やはり何も言わない。
笑う時の顔も昔と違う。大人びた、と言うべきか。それとも、笑い方を忘れてしまったのか。
「どっち見てるドン?」
「…どっちって、どれとどれの事だ?」
「空と海」
「ああ、………その間かな」
ほんの少しだけ色の違う、海と空の青。
言葉を紡ぐ十代の顔は、やはり昔と何かが違う。
意味が無い問いかけをしても、意味が無い故に続かない。
沈黙は重くはない。だけど、何か落ち着かない。きっと、十代が口を開く事が無いからかもしれない。
「…アニキ、授業来いって、万丈目先輩が怒ってるザウルス」
「万丈目か、怒ってる顔が目に浮かぶな」
「明日香先輩も心配してるドン」
「……そ、か」
「丸藤先輩も、アニキの卒業の事すごい気に掛けてるザウルス」
そこまで言うと、十代は黙る。その顔は友人達が元気だという事を安堵しているのと同時に、悲しみに歪んでいるような、複雑な表情。口元は笑っているのに、眉は困ったように頼りなく下げられ。
元気を出せなど、そんな言葉は今の十代には届かないだろう。自分が言えた義理じゃないというのもある。十代がこんな事になったのは、少なからず自分達にも非があるのだ。
小さく溜息をついた事に剣山が気付く。憂いを帯びた目をしながら、真っ直ぐに見据えるのはそれでも青。
黙って隣に立っていていいのだろうか、ふと剣山はそう思った。
自分はどうという事は無いが、十代は居心地が悪いのかもしれない。沢山の事があったのだ、一人になりたい時期なのだろう。気を使うのは自分の方だ。
「アニキ、俺」
「剣山、ここで一緒に昼寝しようぜ」
え、と声を上げる前に、十代が勢い良く地面に寝転がる。腕で示され、戸惑いながらも彼の隣に座りこむ。
不思議そうに此方を覗き込む剣山に、青を見つめながら彼は笑った。
昔となんら変わらない笑顔。
(あ、)
見ていたのは自分だけ。
「空の青の方が、綺麗だと思わないか?」
目を瞑って空を見ないままにそう呟く。空は雲が途切れ途切れに舞っている程度で、薄めの青を隠すような大きな白は無い。
言葉を発しなくなった十代は、多分目を瞑っているだけで眠ってはいない。隣で座ったままの剣山が漸く草の上に体を横たえただろう音が聞こえて、彼は久しぶりに嬉しそうに笑った。
そのまま、小さくおやすみと呟いて、風の吹く音以外聞こえなくなる。
その小さな言葉を耳に入れながら、剣山は空が綺麗だと思った。
――――――――
四期始まってすぐだと思う(時間軸
十代と剣山が四期で超絡むから嬉しくて嬉しくて
あと青春くさい文が書きたかった。撃沈したけど。しかも十代って海の方が好きそうですよね^q^
きらいってなんだ
「なんだよ」
「もしも俺が『ヨハンの事嫌いだ』って言い出したらどーする?」
「え、嫌いになっちゃったのか?俺なんかした?」
「違うって、もしもって言ったじゃん」
「あー、もしもな。……そうだなぁ」
「うんうん」
「んー…『俺も十代のこと嫌いだった』って言う。とか?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……地味にキツイなぁ。デュエルで負けたとき以上にショック受ける」
「だろ?今の言われた時俺もそんな気持ちだったぞ」
「あー……ごめんな」
「良いって別に、本当に嫌いになった訳じゃないんだろ?」
「嫌いになるかよ。そっちだってそうだろ」
「まあ、そうなんだけど」
「「ていうかお前が俺のこと嫌いになれるのか?」」
「何でハモるんだよ」
「そっちこそ。俺達はお互いに自意識過剰ってやつなんだろうなぁ」
「なんだそれ」
「知らないのかよお前」
「どうでもいい事は覚えられないんだって。それよかデュエルしようぜ」
「おう、いいぜ」
――――――――
何だこれ…。十代とヨハンはお互い相手だと自意識過剰だと思う。
十代とヨハンなら十ヨハでもヨハ十でも可愛いぞこの野郎!面白いくらいの相思相愛が良いなと思う
はつこいというものは よん
彼、丸藤亮の起床は早く、というかデュエルアカデミアでの授業が始まるまでにはまだまだ十分すぎるほど時間が残されていて、寧ろ早すぎるだろうという時間。
軽く身なりを整えてから、今日の授業内容の確認、必要な教科書を引っ張り出しては内容の予習、そして昨日は何をやったかなどの復習、それを短く終えると自身のデッキの点検、調整。完璧すぎるほど完璧の彼は、まるで絵に描いたような人間だった。
それ故に、欠点などない。あったとしても、きっと誰にも気付かれないだろう小さな小さな、気にも留める必要が無いものだろう。
生まれついての天才で、何でもこなし何でもできる。それでも努力を怠らず、常に全力で取り組む。デュエルアカデミアきっての秀才。生徒たち皆の憧れの的。
そんな彼は、デッキ調整にじっくりと時間をかけた後、そろそろ朝食に向かおうと考え、デッキをまとめ、今日も頼む、そう呟きながらそれをしまう。
自分の部屋から階段を下りて少し進んだところに、オベリスクブルーの広い食堂が見える。もう既に鍵は開いていて、しかしこの時間はまだまだ一般生徒にとっては早い時間。扉を開けても生徒はまだほとんど見えないでいた。
パンを焼く香ばしい匂いが鼻に届き、珍しく腹が減ったなと思う。きょろ、と辺りを見回すと、見慣れた緑色の癖っ毛の後姿が見えた。その生徒は何か本を読んでいるようで、亮が食堂に入ってきた事には気付いていないようだった。
「藤原」
後姿に声をかけると、ピクリと肩を動かした後、後ろを振り向いて、藤原と呼ばれた生徒は亮の姿を確認してにこりと笑った。
藤原優介。亮の数少ない友人であり、控えめそうな見た目とは裏腹にデュエルの実力は亮と並ぶと言われている、天才の一人だ。亮とはまた違った魅力があり、彼の純粋さに惹かれるものも少なくない。
少々、変な趣味を持っているようだが。
「お早う丸藤。君も相変わらず早いね」
友人の横には、陰になって見えなかったが二、三冊本が重ねてある。重ねてある本はどうやら参考書のようで、本当に勉強熱心だなと感心してしまう。
しかし、彼の向かいに座ろうとした時、藤原は読んでいた本をぱたんと閉じる。表紙には『簡単な黒魔術・術式集』と不思議な筆記で書いてあった。随分熱心にそれを読んでいたな、という言葉が出かかったが飲み込み、何も聞かない、見ていないを決め込むことにした。
「ここで勉強していたのか?」
「ん、そうだよ。ここならお腹減っても大丈夫だし」
朝はお腹減りやすいし、お腹減ったら頭の中に入ってこなくなるし、藤原は笑いながらテーブルの上の本を自身の持っていたカバンに入れ、広々となったテーブルに腕を置く。
「今日は何かあったっけ?」
「筆記の小テストがある」
「ああ、そうだったね。丸藤はどう?勉強した?」
「出てくるだろうと思ったモノは一応目を通した」
さすが。小さく拍手をする藤原には、何の嫌味も妬みも籠っていない。彼のこの性格が、亮の心を開かせた一つの原因なのではないかと思う。
他愛のない会話をしながら過ごしていると、どれくらいの時間が経ったのだろう、気付いたら周りにはいつの間にか生徒がざわざわとざわめきあっていた。先程までの二人の空間とは逆転して、たくさんの生徒たちがひしめき合う食堂。これが普通の朝の風景だった。
不意に、藤原が周りをきょろきょろと見渡し始める。どうした、と声を掛けたら
「吹雪、いないみたいだね」
まだ寝てるんだろうなぁ、そう呟いた藤原は、急にそわそわしだした亮ににこりと笑いかけた。
「丸藤さ、吹雪を起こしに行ってきなよ」
「……は?何故、」
「早く来てほしいんだろ?だったら呼んできなって。席は俺がとっておくから」
食堂の外に押し出された亮は、多少困惑しながら、しかし少しだけ嬉しく思いながら歩き出した。
案の定、その男は眠っていた。
すーすーと気持ち良さそうに寝息を立てる目の前の生徒に、亮は溜息をついた。
天上院吹雪。亮、藤原の友人であり、彼もまた、二人と肩を並べるほどにデュエルの才能がある天才デュエリストだ。自称『学園のアイドル』で、その容姿や言動から女子に大層好かれる。
性格で少々、というか大幅にそのイメージを崩してしまいがちだが。
彼の容姿に関しては、亮だって綺麗だと思う。現に今、眠っている横顔は整っているし、男にしては長い睫毛が肌に影を付けているのも、彼だから綺麗だと思える。
何回か寝返りを打ちながら、むにゃむにゃと何かを喋っているが聞き取れない。胸に手を当てて深呼吸を一回すると、意を決したように吹雪の肩を掴んで軽く揺さぶった。
「吹雪、起きろ。授業に遅れてしまうぞ」
うー、と小さく呻いて、ゆっくりと目を開ける。完全に開ききってはいないが、亮を認識するのには十分だろう。予想よりも簡単に起きてくれて、内心ほっとする。むくりと上半身を置きあがらせて、瞳はぼーっと宙を彷徨っている彼の長く茶色い髪の毛は若干寝癖がぴょこぴょこと付いていて、それを見て小さく笑った。
同時に、可愛いなどと思ってしまった自分がひどく恥かしい。
「吹雪、お早う。起きて、朝食の時間だ」
「………ん……?りょう………?」
若干舌っ足らずな口調で名前を呼ばれ、心臓が小さく跳ねる。吹雪は目をごしごしと擦ってから、もう一度半開きの瞳で亮を確認すると、
「亮……お早う。」
へらりとした屈託のない笑顔でそう言った。
この辺りから亮の思考は停止していて、吹雪に毛布をぶっかけて肘鉄を喰らわした事も、「ぎゃん!!」と叫んだ友人を放置して食堂まで全速力で走ってきた事も、全て亮にとっては曖昧な記憶だった。
故に、亮は何故自分が吹雪を連れずに食堂に帰って来たのかも、若干息が上がっているのかもわかっていない。
彼から向けられた、あの笑顔は覚えているというのに。
走ってきた所為なのか、心臓が動悸を止めない。わかっている、動悸が止まらない理由。走ってきたからなどでは決してない、この気持ち。
「それお前逃げてきただけだろ!何で逃げてくるんだよ!」
「知らん知らん、あんな風に笑うのが悪い!俺は悪くない!どんな反応していいか分からない!」
「だからって肘鉄はちょっと……吹雪今頃泣いてるかもよ」
「っ!!」
「わかってるよ、君が吹雪を泣かせるつもりじゃ無かったってのは。だから部屋まで朝ごはん持って行って謝ろうな」
彼からは想像もできない落ち込みように、藤原が大きく溜息をついた。こいつは、吹雪の事になるととても面倒くさい、流石の彼でもそう思わざるを得なかった。
生まれついての天才で、何でもこなし何でもできる。それでも努力を怠らず、常に全力で取り組む。デュエルアカデミアきっての秀才。生徒たち皆の憧れの的。
完璧を絵に描いたような、そんな人物である丸藤亮。
そんな彼の欠点は、友人である天上院吹雪に恋をしていることであり、そしてそれが彼にとっての『初恋』だということであり、藤原以外が知る由もない、小さくて大きなものだった。
――――――――
前回書いた奴は気に入らなかったので削除させていただき、新しいのを再び。
え、メインの亮→吹が後半しかもちょこっと…だと…?!なんも考えないで書きましたすみません(死
藤原と亮が仲良いともえるって話(関係無い
無題
デュエルアカデミアの岩山で化石を掘っていた時
あの恐竜が大好きな彼が近付いて来て、何をしているのかと聞かれた。
ハットを被った青年は、化石を発掘しているんだ、そう答えた。
眠っている化石は、自分達が発掘されるのを今か今かと待ち望んでいるから、俺がこの中から出してあげようと思うのさ。そう言って、彼は大きなワニに同意を求めるかのように笑いかけた。
恐竜の彼は、生の恐竜は好きなようだが既に骨だけになった恐竜はあまり好きではないらしいのだが。
ふーん、と暫く青年の作業を目で追っていた。
かつかつ、岩を叩く音が聞こえる。
只管に、かつかつ、かつかつ、たまにガツンと大きい音がする。
たまに青年がふう、と息をつく呼吸以外、彼らの口から零れるものはなかった。青年はただただ化石を掘り出し、恐竜少年はその作業を声も出さずに眺め続けている。
ついでに言うと、ワニが時たま欠伸をするかのように口を大きく開けては閉じ、開けては閉じを繰り返したり。
ふいに少年が立ちあがり、青年の隣に立って岩をペタペタ触り始めた。
その行動が気になり、どうしたんだと声を掛けてみる。
すると、
「ここに居る恐竜さんが、早く出してくれって言ってるザウルス!」
目をキラキラに輝かせて、少年は岩をトントンと叩いた。
筋肉質な見た目に似合わず無邪気な行動を起こす少年に、青年は笑いを零した。早く出してやろうな、そう言って、今まで自分が掘ってきた部分は後回し、少年の言う岩をこつこつと掘り始める。
恐竜のこととなると、彼は本当に純粋だ。
隣の少年と話しながら、青年はそう思った。
いつの間にか日は落ち始めて、地面は光が無いと若干周りが見えないというくらいには暗く染まってきた。
それでも青年は掘る事を止めず、未だにかつかつ、かつかつと音を響かせている。
がつん、と強く叩いたら、ぽろりと何かが落ちてきた。
掘っていた化石の一部であろう、小さい骨が落ちていた。
細長くて小さいそれは、腕から指にかけた部分かなぁと想像しながら角度を変えて何度も観察する。
隣からの熱い視線に気づいたのは、その時だ。
生の恐竜が良いなんて言いながらも、やはり恐竜にならどんなのもにでも反応する。小さい骨を差し出すと、それを大事そうに掌に乗せて、じっとそれだけを見つめる。
「何の恐竜の骨ザウルス?」
「NO、それは俺にもまだわからないさ」
「だよなぁ」
俺だってわかんないし、そう呟きながら掌の骨をくるくると回す。
「良かったら、それはダイノボーイにあげよう」
「え、ほんとドン?」
「youがいなかったら、そいつはExcavationできなかったからね」
「そうかぁ……でも、ほんとに良いザウルス?」
「ああ、そいつもyouの所に行きたがっているようだし、ついでに俺とのThe first共同作業の記念にも、な」
こんな小さな骨でも、彼はにっこりと笑って喜んでくれた。
それが嬉しくて、青年もにこりと笑った。
――――――――
ジムと剣山には本当に仲良くしてもらいたいです。
お前らお似合いだよ!(コンビ的な意味で
ところで剣山に『少年』という表現は間違っているだろうか。でも『青年』でもピンとこないのだよ…
恋愛について
「恋愛というのは!恋愛というのは!いいかい亮僕の話をよく聞くんだよ!恋愛というのは言葉でも形でも言い表せない、それは全て心の問題なのさ!でも違う、恋も愛も、心だけじゃない言葉でも形でも言い表せる物!それを安っぽいと思う人もいるみたいだけれど、言葉や形は恋焦がれる人に、簡単に、かつシンプルに、簡潔に自分の想いを伝えることができるんだよ!そりゃあ『愛してる』っていう言葉を貰ったのに結局相手は自分の事を愛してはくれていなかった、その場しのぎだったんだって考えればとてもとても辛いだろう……。けれど!その辛さをばねにして人はまた新しい恋へと導かれるのさ!実らせ、失敗して、また実らせ……これも恋愛の醍醐味だと僕は思う訳だよ!そして恋愛には形や種類がたくさんある。例えその人の愛が軽かろうが重かろうが痛かろうが悲しいだろうが、全て受け止めなくてはいけない!相手にとって迷惑だと思われている恋は、それは『恋愛』とは呼べないのかもしれないけど、でもそれはとても純粋な愛の形をちょっと歪めてしまったにすぎない!愛は時にデッドオアアライブ、つまり生死に関わる事も少なくないからさ!そして異性、同性、種族をも超えてしまう力を秘めている!これこそが、『愛』なんだよ!相手が好き、好きで好きでたまらない、そう思ったらもうそれは既に恋であって、それを否定する事は誰にも許されない事だ!僕は個人の恋愛観に口を出すつもりはないし、ましてやそれを否定するなんて事はとんでもない!恋愛に対する考えは十人十色。つまりひとりひとりがみんな少しずつ違う恋愛観を持っているという訳だ!例えば僕と明日香は全く違う考えを持っているだろう?僕的に言うと明日香は普段は強気のくせして恋愛になるとすっかり消極的になって無意識のうちに強く当たるんだよね。あの子は自分から好きだと言えないタイプだ、相手が自分の気持ちに気付いてくれるのを持っているタイプが近いかもしれない。それも良いさ!恋愛、恋というのは急かすと必ず何処かに隙間ができてしまう。長く長く、急がずゆっくりと相手との関係を築き上げて行くのも、恋愛の胸キュンどころなのだから!」
「と、いう事だよ。亮、聞いてた?」
「いや、ほとんど聞いていなかった」
「君のその性格も僕への愛情表現だと思っておくよ」
――――――――
自分で書いてて意味わかんなくなってきた