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2026年06月13日
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はつこいというものは よん
2010年11月07日
朝になるといつものように起きて、顔を洗って、素早く制服に着替える。
彼、丸藤亮の起床は早く、というかデュエルアカデミアでの授業が始まるまでにはまだまだ十分すぎるほど時間が残されていて、寧ろ早すぎるだろうという時間。
軽く身なりを整えてから、今日の授業内容の確認、必要な教科書を引っ張り出しては内容の予習、そして昨日は何をやったかなどの復習、それを短く終えると自身のデッキの点検、調整。完璧すぎるほど完璧の彼は、まるで絵に描いたような人間だった。
それ故に、欠点などない。あったとしても、きっと誰にも気付かれないだろう小さな小さな、気にも留める必要が無いものだろう。
生まれついての天才で、何でもこなし何でもできる。それでも努力を怠らず、常に全力で取り組む。デュエルアカデミアきっての秀才。生徒たち皆の憧れの的。
そんな彼は、デッキ調整にじっくりと時間をかけた後、そろそろ朝食に向かおうと考え、デッキをまとめ、今日も頼む、そう呟きながらそれをしまう。
自分の部屋から階段を下りて少し進んだところに、オベリスクブルーの広い食堂が見える。もう既に鍵は開いていて、しかしこの時間はまだまだ一般生徒にとっては早い時間。扉を開けても生徒はまだほとんど見えないでいた。
パンを焼く香ばしい匂いが鼻に届き、珍しく腹が減ったなと思う。きょろ、と辺りを見回すと、見慣れた緑色の癖っ毛の後姿が見えた。その生徒は何か本を読んでいるようで、亮が食堂に入ってきた事には気付いていないようだった。
「藤原」
後姿に声をかけると、ピクリと肩を動かした後、後ろを振り向いて、藤原と呼ばれた生徒は亮の姿を確認してにこりと笑った。
藤原優介。亮の数少ない友人であり、控えめそうな見た目とは裏腹にデュエルの実力は亮と並ぶと言われている、天才の一人だ。亮とはまた違った魅力があり、彼の純粋さに惹かれるものも少なくない。
少々、変な趣味を持っているようだが。
「お早う丸藤。君も相変わらず早いね」
友人の横には、陰になって見えなかったが二、三冊本が重ねてある。重ねてある本はどうやら参考書のようで、本当に勉強熱心だなと感心してしまう。
しかし、彼の向かいに座ろうとした時、藤原は読んでいた本をぱたんと閉じる。表紙には『簡単な黒魔術・術式集』と不思議な筆記で書いてあった。随分熱心にそれを読んでいたな、という言葉が出かかったが飲み込み、何も聞かない、見ていないを決め込むことにした。
「ここで勉強していたのか?」
「ん、そうだよ。ここならお腹減っても大丈夫だし」
朝はお腹減りやすいし、お腹減ったら頭の中に入ってこなくなるし、藤原は笑いながらテーブルの上の本を自身の持っていたカバンに入れ、広々となったテーブルに腕を置く。
「今日は何かあったっけ?」
「筆記の小テストがある」
「ああ、そうだったね。丸藤はどう?勉強した?」
「出てくるだろうと思ったモノは一応目を通した」
さすが。小さく拍手をする藤原には、何の嫌味も妬みも籠っていない。彼のこの性格が、亮の心を開かせた一つの原因なのではないかと思う。
他愛のない会話をしながら過ごしていると、どれくらいの時間が経ったのだろう、気付いたら周りにはいつの間にか生徒がざわざわとざわめきあっていた。先程までの二人の空間とは逆転して、たくさんの生徒たちがひしめき合う食堂。これが普通の朝の風景だった。
不意に、藤原が周りをきょろきょろと見渡し始める。どうした、と声を掛けたら
「吹雪、いないみたいだね」
まだ寝てるんだろうなぁ、そう呟いた藤原は、急にそわそわしだした亮ににこりと笑いかけた。
「丸藤さ、吹雪を起こしに行ってきなよ」
「……は?何故、」
「早く来てほしいんだろ?だったら呼んできなって。席は俺がとっておくから」
食堂の外に押し出された亮は、多少困惑しながら、しかし少しだけ嬉しく思いながら歩き出した。
案の定、その男は眠っていた。
すーすーと気持ち良さそうに寝息を立てる目の前の生徒に、亮は溜息をついた。
天上院吹雪。亮、藤原の友人であり、彼もまた、二人と肩を並べるほどにデュエルの才能がある天才デュエリストだ。自称『学園のアイドル』で、その容姿や言動から女子に大層好かれる。
性格で少々、というか大幅にそのイメージを崩してしまいがちだが。
彼の容姿に関しては、亮だって綺麗だと思う。現に今、眠っている横顔は整っているし、男にしては長い睫毛が肌に影を付けているのも、彼だから綺麗だと思える。
何回か寝返りを打ちながら、むにゃむにゃと何かを喋っているが聞き取れない。胸に手を当てて深呼吸を一回すると、意を決したように吹雪の肩を掴んで軽く揺さぶった。
「吹雪、起きろ。授業に遅れてしまうぞ」
うー、と小さく呻いて、ゆっくりと目を開ける。完全に開ききってはいないが、亮を認識するのには十分だろう。予想よりも簡単に起きてくれて、内心ほっとする。むくりと上半身を置きあがらせて、瞳はぼーっと宙を彷徨っている彼の長く茶色い髪の毛は若干寝癖がぴょこぴょこと付いていて、それを見て小さく笑った。
同時に、可愛いなどと思ってしまった自分がひどく恥かしい。
「吹雪、お早う。起きて、朝食の時間だ」
「………ん……?りょう………?」
若干舌っ足らずな口調で名前を呼ばれ、心臓が小さく跳ねる。吹雪は目をごしごしと擦ってから、もう一度半開きの瞳で亮を確認すると、
「亮……お早う。」
へらりとした屈託のない笑顔でそう言った。
この辺りから亮の思考は停止していて、吹雪に毛布をぶっかけて肘鉄を喰らわした事も、「ぎゃん!!」と叫んだ友人を放置して食堂まで全速力で走ってきた事も、全て亮にとっては曖昧な記憶だった。
故に、亮は何故自分が吹雪を連れずに食堂に帰って来たのかも、若干息が上がっているのかもわかっていない。
彼から向けられた、あの笑顔は覚えているというのに。
走ってきた所為なのか、心臓が動悸を止めない。わかっている、動悸が止まらない理由。走ってきたからなどでは決してない、この気持ち。
「それお前逃げてきただけだろ!何で逃げてくるんだよ!」
「知らん知らん、あんな風に笑うのが悪い!俺は悪くない!どんな反応していいか分からない!」
「だからって肘鉄はちょっと……吹雪今頃泣いてるかもよ」
「っ!!」
「わかってるよ、君が吹雪を泣かせるつもりじゃ無かったってのは。だから部屋まで朝ごはん持って行って謝ろうな」
彼からは想像もできない落ち込みように、藤原が大きく溜息をついた。こいつは、吹雪の事になるととても面倒くさい、流石の彼でもそう思わざるを得なかった。
生まれついての天才で、何でもこなし何でもできる。それでも努力を怠らず、常に全力で取り組む。デュエルアカデミアきっての秀才。生徒たち皆の憧れの的。
完璧を絵に描いたような、そんな人物である丸藤亮。
そんな彼の欠点は、友人である天上院吹雪に恋をしていることであり、そしてそれが彼にとっての『初恋』だということであり、藤原以外が知る由もない、小さくて大きなものだった。
――――――――
前回書いた奴は気に入らなかったので削除させていただき、新しいのを再び。
え、メインの亮→吹が後半しかもちょこっと…だと…?!なんも考えないで書きましたすみません(死
藤原と亮が仲良いともえるって話(関係無い
彼、丸藤亮の起床は早く、というかデュエルアカデミアでの授業が始まるまでにはまだまだ十分すぎるほど時間が残されていて、寧ろ早すぎるだろうという時間。
軽く身なりを整えてから、今日の授業内容の確認、必要な教科書を引っ張り出しては内容の予習、そして昨日は何をやったかなどの復習、それを短く終えると自身のデッキの点検、調整。完璧すぎるほど完璧の彼は、まるで絵に描いたような人間だった。
それ故に、欠点などない。あったとしても、きっと誰にも気付かれないだろう小さな小さな、気にも留める必要が無いものだろう。
生まれついての天才で、何でもこなし何でもできる。それでも努力を怠らず、常に全力で取り組む。デュエルアカデミアきっての秀才。生徒たち皆の憧れの的。
そんな彼は、デッキ調整にじっくりと時間をかけた後、そろそろ朝食に向かおうと考え、デッキをまとめ、今日も頼む、そう呟きながらそれをしまう。
自分の部屋から階段を下りて少し進んだところに、オベリスクブルーの広い食堂が見える。もう既に鍵は開いていて、しかしこの時間はまだまだ一般生徒にとっては早い時間。扉を開けても生徒はまだほとんど見えないでいた。
パンを焼く香ばしい匂いが鼻に届き、珍しく腹が減ったなと思う。きょろ、と辺りを見回すと、見慣れた緑色の癖っ毛の後姿が見えた。その生徒は何か本を読んでいるようで、亮が食堂に入ってきた事には気付いていないようだった。
「藤原」
後姿に声をかけると、ピクリと肩を動かした後、後ろを振り向いて、藤原と呼ばれた生徒は亮の姿を確認してにこりと笑った。
藤原優介。亮の数少ない友人であり、控えめそうな見た目とは裏腹にデュエルの実力は亮と並ぶと言われている、天才の一人だ。亮とはまた違った魅力があり、彼の純粋さに惹かれるものも少なくない。
少々、変な趣味を持っているようだが。
「お早う丸藤。君も相変わらず早いね」
友人の横には、陰になって見えなかったが二、三冊本が重ねてある。重ねてある本はどうやら参考書のようで、本当に勉強熱心だなと感心してしまう。
しかし、彼の向かいに座ろうとした時、藤原は読んでいた本をぱたんと閉じる。表紙には『簡単な黒魔術・術式集』と不思議な筆記で書いてあった。随分熱心にそれを読んでいたな、という言葉が出かかったが飲み込み、何も聞かない、見ていないを決め込むことにした。
「ここで勉強していたのか?」
「ん、そうだよ。ここならお腹減っても大丈夫だし」
朝はお腹減りやすいし、お腹減ったら頭の中に入ってこなくなるし、藤原は笑いながらテーブルの上の本を自身の持っていたカバンに入れ、広々となったテーブルに腕を置く。
「今日は何かあったっけ?」
「筆記の小テストがある」
「ああ、そうだったね。丸藤はどう?勉強した?」
「出てくるだろうと思ったモノは一応目を通した」
さすが。小さく拍手をする藤原には、何の嫌味も妬みも籠っていない。彼のこの性格が、亮の心を開かせた一つの原因なのではないかと思う。
他愛のない会話をしながら過ごしていると、どれくらいの時間が経ったのだろう、気付いたら周りにはいつの間にか生徒がざわざわとざわめきあっていた。先程までの二人の空間とは逆転して、たくさんの生徒たちがひしめき合う食堂。これが普通の朝の風景だった。
不意に、藤原が周りをきょろきょろと見渡し始める。どうした、と声を掛けたら
「吹雪、いないみたいだね」
まだ寝てるんだろうなぁ、そう呟いた藤原は、急にそわそわしだした亮ににこりと笑いかけた。
「丸藤さ、吹雪を起こしに行ってきなよ」
「……は?何故、」
「早く来てほしいんだろ?だったら呼んできなって。席は俺がとっておくから」
食堂の外に押し出された亮は、多少困惑しながら、しかし少しだけ嬉しく思いながら歩き出した。
案の定、その男は眠っていた。
すーすーと気持ち良さそうに寝息を立てる目の前の生徒に、亮は溜息をついた。
天上院吹雪。亮、藤原の友人であり、彼もまた、二人と肩を並べるほどにデュエルの才能がある天才デュエリストだ。自称『学園のアイドル』で、その容姿や言動から女子に大層好かれる。
性格で少々、というか大幅にそのイメージを崩してしまいがちだが。
彼の容姿に関しては、亮だって綺麗だと思う。現に今、眠っている横顔は整っているし、男にしては長い睫毛が肌に影を付けているのも、彼だから綺麗だと思える。
何回か寝返りを打ちながら、むにゃむにゃと何かを喋っているが聞き取れない。胸に手を当てて深呼吸を一回すると、意を決したように吹雪の肩を掴んで軽く揺さぶった。
「吹雪、起きろ。授業に遅れてしまうぞ」
うー、と小さく呻いて、ゆっくりと目を開ける。完全に開ききってはいないが、亮を認識するのには十分だろう。予想よりも簡単に起きてくれて、内心ほっとする。むくりと上半身を置きあがらせて、瞳はぼーっと宙を彷徨っている彼の長く茶色い髪の毛は若干寝癖がぴょこぴょこと付いていて、それを見て小さく笑った。
同時に、可愛いなどと思ってしまった自分がひどく恥かしい。
「吹雪、お早う。起きて、朝食の時間だ」
「………ん……?りょう………?」
若干舌っ足らずな口調で名前を呼ばれ、心臓が小さく跳ねる。吹雪は目をごしごしと擦ってから、もう一度半開きの瞳で亮を確認すると、
「亮……お早う。」
へらりとした屈託のない笑顔でそう言った。
この辺りから亮の思考は停止していて、吹雪に毛布をぶっかけて肘鉄を喰らわした事も、「ぎゃん!!」と叫んだ友人を放置して食堂まで全速力で走ってきた事も、全て亮にとっては曖昧な記憶だった。
故に、亮は何故自分が吹雪を連れずに食堂に帰って来たのかも、若干息が上がっているのかもわかっていない。
彼から向けられた、あの笑顔は覚えているというのに。
走ってきた所為なのか、心臓が動悸を止めない。わかっている、動悸が止まらない理由。走ってきたからなどでは決してない、この気持ち。
「それお前逃げてきただけだろ!何で逃げてくるんだよ!」
「知らん知らん、あんな風に笑うのが悪い!俺は悪くない!どんな反応していいか分からない!」
「だからって肘鉄はちょっと……吹雪今頃泣いてるかもよ」
「っ!!」
「わかってるよ、君が吹雪を泣かせるつもりじゃ無かったってのは。だから部屋まで朝ごはん持って行って謝ろうな」
彼からは想像もできない落ち込みように、藤原が大きく溜息をついた。こいつは、吹雪の事になるととても面倒くさい、流石の彼でもそう思わざるを得なかった。
生まれついての天才で、何でもこなし何でもできる。それでも努力を怠らず、常に全力で取り組む。デュエルアカデミアきっての秀才。生徒たち皆の憧れの的。
完璧を絵に描いたような、そんな人物である丸藤亮。
そんな彼の欠点は、友人である天上院吹雪に恋をしていることであり、そしてそれが彼にとっての『初恋』だということであり、藤原以外が知る由もない、小さくて大きなものだった。
――――――――
前回書いた奴は気に入らなかったので削除させていただき、新しいのを再び。
え、メインの亮→吹が後半しかもちょこっと…だと…?!なんも考えないで書きましたすみません(死
藤原と亮が仲良いともえるって話(関係無い
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