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2026年06月13日
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アニキと恐竜

2010年12月11日
海が良く見える崖の縁の方で、赤い上着が風に靡いているのが見えた。
あ、と思った時、赤い上着の彼が振り返り、木々の間越しに目が合った。
何だかすごく久しぶりに会った気がする、そう思いながら何となく動かないでいると、彼が此方の名前を呼んだ。昔より、若干低い声で。

「剣山じゃないか」

草を跨いで、視界が悪かった森の外に出る。森が暗かったためか、急に目に入ってきた太陽の光に頭がくらりとした。何度か瞬きをした後、漸くぼやけた視界がしっかりと鮮明に映し出される。
最初に目に映ったのは、やはり先程の鮮やかな赤。
彼はもう此方を振り向く気配はなかったが、別に来るなと言っている訳でもない。ただただ黙って、何処までも続く青を見つめていた。
長い間見てきた横顔の雰囲気が少し違うような気がして、うっかりじっと見てしまう。
気付いた十代も、じっと見る剣山に少しだけ苦笑を漏らして、やはり何も言わない。
笑う時の顔も昔と違う。大人びた、と言うべきか。それとも、笑い方を忘れてしまったのか。

「どっち見てるドン?」
「…どっちって、どれとどれの事だ?」
「空と海」
「ああ、………その間かな」

ほんの少しだけ色の違う、海と空の青。
言葉を紡ぐ十代の顔は、やはり昔と何かが違う。
意味が無い問いかけをしても、意味が無い故に続かない。
沈黙は重くはない。だけど、何か落ち着かない。きっと、十代が口を開く事が無いからかもしれない。

「…アニキ、授業来いって、万丈目先輩が怒ってるザウルス」
「万丈目か、怒ってる顔が目に浮かぶな」
「明日香先輩も心配してるドン」
「……そ、か」
「丸藤先輩も、アニキの卒業の事すごい気に掛けてるザウルス」

そこまで言うと、十代は黙る。その顔は友人達が元気だという事を安堵しているのと同時に、悲しみに歪んでいるような、複雑な表情。口元は笑っているのに、眉は困ったように頼りなく下げられ。
元気を出せなど、そんな言葉は今の十代には届かないだろう。自分が言えた義理じゃないというのもある。十代がこんな事になったのは、少なからず自分達にも非があるのだ。
小さく溜息をついた事に剣山が気付く。憂いを帯びた目をしながら、真っ直ぐに見据えるのはそれでも青。

黙って隣に立っていていいのだろうか、ふと剣山はそう思った。
自分はどうという事は無いが、十代は居心地が悪いのかもしれない。沢山の事があったのだ、一人になりたい時期なのだろう。気を使うのは自分の方だ。

「アニキ、俺」
「剣山、ここで一緒に昼寝しようぜ」

え、と声を上げる前に、十代が勢い良く地面に寝転がる。腕で示され、戸惑いながらも彼の隣に座りこむ。
不思議そうに此方を覗き込む剣山に、青を見つめながら彼は笑った。
昔となんら変わらない笑顔。

(あ、)

見ていたのは自分だけ。

「空の青の方が、綺麗だと思わないか?」

目を瞑って空を見ないままにそう呟く。空は雲が途切れ途切れに舞っている程度で、薄めの青を隠すような大きな白は無い。
言葉を発しなくなった十代は、多分目を瞑っているだけで眠ってはいない。隣で座ったままの剣山が漸く草の上に体を横たえただろう音が聞こえて、彼は久しぶりに嬉しそうに笑った。
そのまま、小さくおやすみと呟いて、風の吹く音以外聞こえなくなる。
その小さな言葉を耳に入れながら、剣山は空が綺麗だと思った。


――――――――

四期始まってすぐだと思う(時間軸
十代と剣山が四期で超絡むから嬉しくて嬉しくて
あと青春くさい文が書きたかった。撃沈したけど。しかも十代って海の方が好きそうですよね^q^
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