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2026年06月13日
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一緒に(イチウリ)

2010年12月12日
「君は少し勘違いをしているようだから言って置くけど」

誰もいない教室に、雨竜の声だけが響き渡る。
その言葉は彼の目の前にいるオレンジ色の髪の死神代行に向けられたもので、しかし当の彼はその言葉の意味がわからないとでも言うように首を僅かに傾げる。
机の中にある教科書やらノートを鞄に詰めながら、一護に目を向けずに続ける。

「僕達は確かに共闘した。協力したと言っても良いものか分からないけど、確かに共に戦った」
「ああ、そうだな」
「だけど、只それだけだ。だから別に僕は君の事を仲間やら何やらだとは思ってない」

教科書をトントンと束ねながら、彼は静かにそう言い放った。
そんな事を言えば目の前の死神の眉間に皺が深く刻まれるのを知っている。知っているから、敢えて彼の癇に障りそうな言葉を紡ぐ。眼鏡をかちゃりと上げながら、鞄を肩に掛ける。
今度は、一護の方から「オイ」と声が掛かる。ゆっくりと顔を上げた。

「俺は一緒に帰ろうぜって言っただけだろ。なのに何でそんなに話の内容が広がってんだよ」
「だから、君のその発言が問題なんだろ。何で君と帰らなくちゃならないんだ」
「一緒に帰るのに理由が必要かよ」
「僕と君は滅却師と死神、敵同士だ。死神と帰るなんて御免だね」

眉間の皺は先程より深いが、彼の声に明らかな怒気は含まれていない。大方、「コイツまだそんなめんどくせぇ事言ってんのかよ」とでも呆れているのだろう。
雨竜にとって、一護に呆れられる事など大した問題ではない。只、彼の神経は疑うものがある、とは思っているが。
確かに、雨竜の死神への感情は一護に出会ってから若干変わっただろう。しかしそれもほんの少し、一握りにもならない程度。結局どんな事があろうと、雨竜にとって死神は敵で、憎むべき存在なのは変わらない感情なのだ。それは一護も十分理解している。
でも、だからこそ「分かり合おう」と思うのは、可笑しい事なのだろうか。

「はっきり言っておくが、僕は君が、死神が嫌いだ。もう僕に構うなよ」

一護からすれば、「絡んで来たのはお前の方だろうが」である。
そんな一護の気を余所に、滅却師の青年はさっさと踵を返し、彼に背を向けて歩き去ろうとする。それを若干の苛立ちを含ませた目で見つめた後、一護も雨竜の後ろを付いて行く。

「………まだ何か用なのか」
「あ?使ってる生徒用玄関は一緒だろ。そこまでは強制的に一緒でも文句言えねーだろうが」
「僕が出て行った後に出れば問題ないだろ」
「お前の後に出るのが癪だったんだよ」

暫く無言で黙々と廊下を歩く二人の姿は、如何にも険悪なムードが否めない。一護の「普通に仲良くしたい」気持ちと雨竜の「死神とは仲良くなれない」気持ちがぶつかり合って相殺された結果である。
水色曰く「一護と石田くんは似た者同士だね」という事らしいが、正直言って俺の何処がコイツに似てるというのか。俺はこんなに意地っ張りじゃないし、こんな小さい事に何時までもこだわる程器が小さいつもりも無い。
そんな事をもやもやと考えている内に、いつの間にか目の前には生徒の下駄箱。反応が遅れてうっかり下駄箱に激突すると、雨竜が驚いたような呆れたような目線を此方に向けていた。
靴を乱暴に出す。しっかりと並べたままに地面に置く。こんな所でも、二人の違いが出てくるのだ。

「もう一回聞くけど」

さっさと靴を履いた一護が、後ろを振り向きながら口を開いた。眉根の皺は、勿論消えていないままだが。

「一緒に帰ろうぜ?」
「……まだ言ってるのか」

流石に諦めていたものとばかり思っていたのに、彼の粘り強さと頑固さを忘れていたようだ。
はあ、と態と聞こえるように溜息を零す。それを聞こえない振りを決め込んだまま、じっと目を逸らさない。
先に歩を進めたのは、雨竜の方だった。
答えもしないままに歩き始めたその青年に「オイ!」と声を掛けようとする。明らかなシカトは流石に腹が立つものだ。

「好きにしなよ」

すぐ横を通り抜けた瞬間に、小さく聞こえた短い言葉。
言おうとした文句は、喉の奥に引っ込んでしまった。言葉を失った開いた口は、意味も無く開いたまま。
当の彼は、一護に目もくれずに外への歩を進める。
慌ててその後ろ姿を追いかけて、若干距離がありながらもしっかりと隣に立って歩調を合わせる。
肯定された訳ではないけど、拒絶された訳でもない。その事実が、ほんの少しだけ嬉しかった。

「一歩前進」と呟いたら、雨竜に訝しげな目線を投げられた。


――――――――

一護と雨竜の友情って恋愛ぐらいもにゃもにゃしてそうだよね!っていう話
しょっちゅう一緒に帰ろうとか誘ってたら可愛い。そんでその度に言い合いしてればいい
……カプものにしては温い気がする(いつものこと
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