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偽りの恋で5題(TOD:リオ→スタ)
「僕はお前のように、図々しくて、能天気で、馴れ馴れしい奴が大嫌いだ」
(この時点では本当だった)
「僕に構うな!」
(本当は嬉しかったのだ)
「甘いものは嫌いだ」
(本当は大好きだったのだ)
「馴れ合いは嫌いだ」
(本当は誰かと一緒に居たくてしょうがなかったのだ)
(僕は本当は、彼のことが好きだったのだ)
(でも僕は、どう接すればいいのか最後までわからなかったのだ)
(だから僕は最期の最後まで嘘をつく)
(彼が僕の名前を呼ぶ)
「前にも言ったが」
「僕はお前のように、図々しくて能天気で馴れ馴れしい奴が、大嫌いだ…」
(僕はまた嘘をつく)
(僕は嘘吐きの天才かもしれない)
(やはり彼が僕の名前を呼ぶ)
(僕は最期に、笑えた気がした)
2、全て嘘なんだ
(本当は、初めての友であるお前のことが大好きだったんだ)
――――――――
お題配布元→Paper plane
美しいと思って、つい
飛び散ったのは鮮血。
人間の血ではなく、今この瞬間仕留めた魔物の紅。
やはり魔物にも紅い血が流れているのだな、と冷静に思った。
飛び散った液体は、周りを惜しげもなく紅く染め上げていく。
「わぶっ」
「おうっと」
しまった、ともう遅いながらも小さく後悔する。そういえばと、前線で闘っていた彼らの存在を思い出したのだ。
魔物を射たのは私の弓。私自身は弓矢も使えるから、血を浴びることなんてそうそう無い。
しかし、少々彼らへの配慮が足りなかったことを申し訳なく思った。
私は汚れない。しかし、魔物の直ぐ近くで構えていたスタン君とジョニーさんに、甚大な被害を与えてしまった。
スタン君の綺麗な金髪が紅く染まる。
ジョニーさんが帽子を脱いで、血を払い落とすようにぽふぽふと叩いていた(どうやら取れていないようだが)。
「済まない、二人とも。もう少し考えるべきだった」
「いえ、ウッドロウさんの所為じゃありませんよ」
「そうだぜ。前線にいるってことは、これくらいは覚悟しなくちゃな」
でもスタンは少し汚れが酷いな。あっちの川の方で洗っておいで。
ジョニーさんが指を指す方向には、確かに微かに川が見えた。スタン君は正面から浴びた所為か、金色の髪だけでなく白い鎧も健康的な肌も、血でべっとりと汚れていた。
わかりましたと素直に従うスタン君は、心配そうに見に来たルーティ君とフィリア君と共に川の方へ行った様だ。直ぐに取れる汚れだといいのだが。やはり失敗してしまったな。
私が顔を上げると、ジョニーさんがにこにこしながら彼が進むのを見送っていた。
「貴方も洗ってきたほうが宜しいのでは?」
私がそう問いかけると、彼はやはりにこりと笑ったままに言った。
「俺はいいさ。紅いのは好きだ」
色どうこうではなく、普通に考えて不快とは感じないのだろうか。
スタン君の後ろにいたからあまり汚れなかったのかも知れない。彼の白い帽子は血が付いているといってもぽつぽつと小さいもので、どちらかというと顔に付いているものが目立つ。服にも付いているのだろうが、もともと真っ赤で派手な服だ。今更鮮血等は目立たない。
ジョニーさんは自分の頬に付いている紅を親指でぐいと擦る。まだ乾いていないそれは、簡単に彼の顔に真一文字に広がった。
「似合うだろ?『血も滴る良い男』ってヤツだ」
特に滴ってはないしそんな言葉は聞いたことも無いが、確かに似合うなと私は納得した。
彼の常人より真っ白い肌に、紅い鮮血は気味が悪いくらいに映えると思ったのだ。
私は彼に近付いて、自身の親指を白い頬に押し付ける。最初は柔らかかったが、驚いたジョニーさんが身を固くしたのであろう、少しだけそれも固くなった。
親指を血の痕の上に押し付け、先程彼がやったようにゆっくりと擦った。彼の肌にまた一つ、紅い線が引っ張られる。
「確かに、似合っています」
白に映える紅。綺麗だな、そう思った私は、ちょっとした言葉をポロリと零してしまう。
「とても扇情的だ」
本日二回目の、「しまった」と思った瞬間。
私の言葉を聞き逃す筈が無いだろうジョニーさんは、驚いたように目を丸くした後、困ったように苦く笑った。
――――――――
ウッドロウさんに「扇情的」と言わせたかったための話…
ウドジョニ好き!
蒼に咲く桃
「ウッドロウ様、ウッドロウ様!これあげます!」
背中に飛びついてきた少女は、正面を向いたウッドロウに手を差し出した。
拳の形を作っていた掌がゆっくりと開かれる。ちょこんと乗っていたのは、蒼いピン留め。
少し薄めの色。ウッドロウの髪の毛とよく似た色をしていた。
桃色の髪をした小さな少女は、嬉しそうにはにかみながら、それでいて少しばかり緊張したように顔を赤らめながら、彼の瞳を見つめていた。
「チェルシー、これは?」
「昨日お友達とお出掛けしたときに買ったんですっ!ウッドロウ様に、と思って!」
ウッドロウはチェルシーの掌のそれをまじまじと見つめる。少しラメが入っているのだろう、光に当たってところどころがきらきらと輝いている。小さく花の模様も見えて、とても細かい作品だなと感心した。
「あの!実は、私のとお揃いなんです!」
そういえば、と彼は視線を掌から彼女の額へと向ける。
今日はいつもと雰囲気が違うなと思っていたが、それは前髪に付いている桃色のピン留めの所為だったのかと漸く納得した。
少女の桃色の髪の毛よりも、少しだけ鮮やかな桃色。同じように小さな花の模様があしらえられていて、成る程、彼女によく似合うなとほんの少し微笑む。
しかし、同じような色だからかあまり目立たないのが勿体無い。
そんなことを考えていると、なかなかウッドロウが受け取ってくれなかったからだろう、チェルシーは少しだけ眉を下げながら、寂しげな声を出した。
「…ウッドロウ様、あんまりお気に召しませんでしたか…?」
しゅん、とチェルシーが肩を落とす。頭頂部に結わえられている髪の毛が、彼女の気分を表すかのようにへなりと元気なさげに垂れる。
ウッドロウは手を振りながら苦笑した。
「いや、済まない。とても嬉しいよ。ありがたく貰っておこう」
だが、とウッドロウは眼を伏せた。
彼女の手から蒼いピン留めを摘み取ると、そのまま少女の前髪に手を伸ばす。
桃色のピン留めをするりと滑らかな動きで抜き取られ、チェルシーは驚いて身体を硬くした。同時に、心臓が破裂しそうなくらいにばくばくと動き始める。
パチンと音を鳴らしてそれを開き、彼女の髪の毛に滑り込ませる。少し整えながら再びパチンと音を鳴らして閉じる。
指で摘んだままの桃色のピン留めで、自身の前髪を留める。
チェルシーはその様子をぽかんと見ているしかなかった。
ウッドロウは彼女の頭をゆるりと撫でながら、柔らかい笑みを浮かべる。
「チェルシーの髪の毛には、蒼い色がよく映えてとても綺麗だ」
対する私は桃色だ。どうだろう、似合うかな?
顔を真っ赤にしながら自身の前髪をぺたぺたと触っていたチェルシーは、ウッドロウからそう問われ、心底嬉しそうな笑顔を浮かべて元気に答えた。
「ウッドロウ様も、とっても綺麗ですよ!」
――――――――
ウドチェル萌え。最高に萌え。
お互いがお互いの色似合うって可愛い
それにしても学園っぽいけど学園じゃないな
叔父と息子
・ジューダスはカイルの叔父
・カイル→15歳 ジューダス→20代後半くらい
・でもジューダスはカイルよりも小さい+若々しい
・ジューダスは眼鏡(わたしの趣味
・ジュカイ
という設定があるの前提
二世代の友
スタンが、へんてこな仮面を持って帰ってきた。
何かの動物だろうか。頭蓋骨のような形をした仮面とも言い難い被り物を、彼はにこにこしながらカイルに見せてきた。
暇を持て余して適当に子供達と遊んでいたのだが、カイルはその仮面にえらく興味を持ったようだ。
見せて見せてとせがむ息子に再び笑みを零しながら、そっと手に持たせてやる。
カイルは、まるで割れ物でも扱うかのように静かに指で触り、「なんかよく分かんないけどすごいね!」と満面の笑みを父親に向けた。
「よく分かんないけど、すごいだろ!」と返すスタンの笑顔は息子のカイルとよく似ていて、この父親にこの息子ありとはよく言ったものである。
「これ、どうしたの?拾ってきたの?」
「これはなー、街に行ったとき行商人のおじさんが安いからーって勧めてくれたんだー」
屈託の無い顔でへらへらと笑うスタンを見ながら、そっかーとカイルも頷く。
(勝手にお金使っちゃって、母さんに怒られるよ)という言葉が喉の直ぐそこまで出掛かったが、何とか飲み込んだ。どうやら父は事の重大さを理解してないようだし、まあ母にばれなければいい話だろうと思ったからだ。
父は息子である自分よりものほほんとして、危機感が殆ど無い。そう考えると、敬愛して止まない父親の性格を全て受け継がなくて良かったかなぁと少し複雑な気分である。
と言っても、母親に似ていると言われたことは一回たりとも無いのだが。
「…なんか、少しだけ懐かしさを感じたんだ」
ぽつりと呟いた父の言葉を聞き逃さずに、カイルは顔を上げた。
指で白い仮面に優しく触っているスタンの顔は、先程の笑顔は消え、少しばかり陰のある表情を見せている。
何故父がこんな顔をしているのか分からなかったし、今さっき呟かれた言葉の意味も理解するのに時間が掛かった。
再び仮面に眼を移す。白くて、でも所々に傷と汚れがこびりついている。後頭部に取り付けられた青緑色の長い羽が、風に揺られてゆらゆらと飛んでいた。
ふと、こんな光景を見たことがあるなと感じた。
ゆらりゆらりと揺れる、この綺麗な色の羽を後ろから追いかけていた気がした。
そんなこと、自分の記憶をいくら掘り返しても出てこないのに。
「懐かしさって、どんな?」
「……うーん」
頭に手を当てながら俯いたスタンは、何か遠くのものを見るように眼を細めながら言った。
「父さん、昔助けられなかった友達が居たんだ」
この仮面を見てると、何でかそいつの事を思い出しちゃうんだ。と、父は小さく言った。
何処か懐かしそうな、寂しそうな。表情を沈めながらぽつぽつと口に出す友人のこと。
「助けられなかった」という単語に引っかかって詳しく聞こうと思ったのだが、父の悲しそうに笑う姿を見たら口が開けなくなった。
父にこんな顔をさせる仮面に、少しばかり腹が立った。
一体この仮面が何だというのだろう。形は変だしあんまりかっこよくないし(こんな事を言うと彼に怒られてしまうが)、仮面と言ってもこれでは肝心の顔が隠れないではないか。いや、隠すことが目的でなければ単なるお洒落なのかもしれない。
しかし、彼が洒落っ気を求めてこの仮面を被っていたのではないことは分かっているし、それに
(……あれ?)
彼とは誰だろう。
無意識のうちに自身の思考の中に紛れ込んでいる『彼』と言う存在が、カイルには覚えが無かった。
仮面をつけている知り合いならば、忘れるわけが無い。それなのに、いくら探しても、いくら考えても、当てはまる人間はいなかった。
でも、覚えがある。この仮面に。つけていた人物に。それはつい最近のような、途轍もなく昔の出来事だったような、とても懐かしい、そんな感覚。
「俺にも、こんな仮面をつけてた友達が居たような気が、……するような?」
曖昧すぎて、考え考え言葉を紡ぐ。
息子の呟きに驚きつつ、スタンに漸く笑顔が戻った。
「何だー、そんな変な友達が居たのか!」
「うん……?居たような、居なかったような…うーん」
「…友達は、大切にするんだぞ」
金色の髪をぽんぽんと軽く叩かれる。スタンの顔は優しげに微笑んでいて、未だに思い出せないあるかどうかも分からない記憶探しをしていたカイルは、つられたように「うん」と笑って小さく頷いた。
――――――――
二代に渡って同一人物が友人ってある意味すごいことだよね
D2のエンディング辺り。スタンはカイルにリオンのことを詳しく話してない設定。
一応これでもジュカイとリオスタ(のつもりで書いた)