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2026年06月13日
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二世代の友

2011年05月05日

スタンが、へんてこな仮面を持って帰ってきた。
何かの動物だろうか。頭蓋骨のような形をした仮面とも言い難い被り物を、彼はにこにこしながらカイルに見せてきた。
暇を持て余して適当に子供達と遊んでいたのだが、カイルはその仮面にえらく興味を持ったようだ。
見せて見せてとせがむ息子に再び笑みを零しながら、そっと手に持たせてやる。
カイルは、まるで割れ物でも扱うかのように静かに指で触り、「なんかよく分かんないけどすごいね!」と満面の笑みを父親に向けた。
「よく分かんないけど、すごいだろ!」と返すスタンの笑顔は息子のカイルとよく似ていて、この父親にこの息子ありとはよく言ったものである。

「これ、どうしたの?拾ってきたの?」
「これはなー、街に行ったとき行商人のおじさんが安いからーって勧めてくれたんだー」

屈託の無い顔でへらへらと笑うスタンを見ながら、そっかーとカイルも頷く。
(勝手にお金使っちゃって、母さんに怒られるよ)という言葉が喉の直ぐそこまで出掛かったが、何とか飲み込んだ。どうやら父は事の重大さを理解してないようだし、まあ母にばれなければいい話だろうと思ったからだ。
父は息子である自分よりものほほんとして、危機感が殆ど無い。そう考えると、敬愛して止まない父親の性格を全て受け継がなくて良かったかなぁと少し複雑な気分である。
と言っても、母親に似ていると言われたことは一回たりとも無いのだが。


「…なんか、少しだけ懐かしさを感じたんだ」

ぽつりと呟いた父の言葉を聞き逃さずに、カイルは顔を上げた。
指で白い仮面に優しく触っているスタンの顔は、先程の笑顔は消え、少しばかり陰のある表情を見せている。
何故父がこんな顔をしているのか分からなかったし、今さっき呟かれた言葉の意味も理解するのに時間が掛かった。
再び仮面に眼を移す。白くて、でも所々に傷と汚れがこびりついている。後頭部に取り付けられた青緑色の長い羽が、風に揺られてゆらゆらと飛んでいた。
ふと、こんな光景を見たことがあるなと感じた。
ゆらりゆらりと揺れる、この綺麗な色の羽を後ろから追いかけていた気がした。
そんなこと、自分の記憶をいくら掘り返しても出てこないのに。

「懐かしさって、どんな?」
「……うーん」

頭に手を当てながら俯いたスタンは、何か遠くのものを見るように眼を細めながら言った。

「父さん、昔助けられなかった友達が居たんだ」

この仮面を見てると、何でかそいつの事を思い出しちゃうんだ。と、父は小さく言った。
何処か懐かしそうな、寂しそうな。表情を沈めながらぽつぽつと口に出す友人のこと。
「助けられなかった」という単語に引っかかって詳しく聞こうと思ったのだが、父の悲しそうに笑う姿を見たら口が開けなくなった。
父にこんな顔をさせる仮面に、少しばかり腹が立った。
一体この仮面が何だというのだろう。形は変だしあんまりかっこよくないし(こんな事を言うと彼に怒られてしまうが)、仮面と言ってもこれでは肝心の顔が隠れないではないか。いや、隠すことが目的でなければ単なるお洒落なのかもしれない。
しかし、彼が洒落っ気を求めてこの仮面を被っていたのではないことは分かっているし、それに

(……あれ?)

彼とは誰だろう。
無意識のうちに自身の思考の中に紛れ込んでいる『彼』と言う存在が、カイルには覚えが無かった。
仮面をつけている知り合いならば、忘れるわけが無い。それなのに、いくら探しても、いくら考えても、当てはまる人間はいなかった。
でも、覚えがある。この仮面に。つけていた人物に。それはつい最近のような、途轍もなく昔の出来事だったような、とても懐かしい、そんな感覚。

「俺にも、こんな仮面をつけてた友達が居たような気が、……するような?」

曖昧すぎて、考え考え言葉を紡ぐ。
息子の呟きに驚きつつ、スタンに漸く笑顔が戻った。

「何だー、そんな変な友達が居たのか!」
「うん……?居たような、居なかったような…うーん」
「…友達は、大切にするんだぞ」

金色の髪をぽんぽんと軽く叩かれる。スタンの顔は優しげに微笑んでいて、未だに思い出せないあるかどうかも分からない記憶探しをしていたカイルは、つられたように「うん」と笑って小さく頷いた。


――――――――

二代に渡って同一人物が友人ってある意味すごいことだよね
D2のエンディング辺り。スタンはカイルにリオンのことを詳しく話してない設定。
一応これでもジュカイとリオスタ(のつもりで書いた)

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