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2026年06月13日
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美しいと思って、つい

2011年05月22日

飛び散ったのは鮮血。
人間の血ではなく、今この瞬間仕留めた魔物の紅。
やはり魔物にも紅い血が流れているのだな、と冷静に思った。
飛び散った液体は、周りを惜しげもなく紅く染め上げていく。

「わぶっ」
「おうっと」

しまった、ともう遅いながらも小さく後悔する。そういえばと、前線で闘っていた彼らの存在を思い出したのだ。
魔物を射たのは私の弓。私自身は弓矢も使えるから、血を浴びることなんてそうそう無い。
しかし、少々彼らへの配慮が足りなかったことを申し訳なく思った。
私は汚れない。しかし、魔物の直ぐ近くで構えていたスタン君とジョニーさんに、甚大な被害を与えてしまった。
スタン君の綺麗な金髪が紅く染まる。
ジョニーさんが帽子を脱いで、血を払い落とすようにぽふぽふと叩いていた(どうやら取れていないようだが)。

「済まない、二人とも。もう少し考えるべきだった」
「いえ、ウッドロウさんの所為じゃありませんよ」
「そうだぜ。前線にいるってことは、これくらいは覚悟しなくちゃな」

でもスタンは少し汚れが酷いな。あっちの川の方で洗っておいで。
ジョニーさんが指を指す方向には、確かに微かに川が見えた。スタン君は正面から浴びた所為か、金色の髪だけでなく白い鎧も健康的な肌も、血でべっとりと汚れていた。
わかりましたと素直に従うスタン君は、心配そうに見に来たルーティ君とフィリア君と共に川の方へ行った様だ。直ぐに取れる汚れだといいのだが。やはり失敗してしまったな。
私が顔を上げると、ジョニーさんがにこにこしながら彼が進むのを見送っていた。

「貴方も洗ってきたほうが宜しいのでは?」

私がそう問いかけると、彼はやはりにこりと笑ったままに言った。

「俺はいいさ。紅いのは好きだ」

色どうこうではなく、普通に考えて不快とは感じないのだろうか。
スタン君の後ろにいたからあまり汚れなかったのかも知れない。彼の白い帽子は血が付いているといってもぽつぽつと小さいもので、どちらかというと顔に付いているものが目立つ。服にも付いているのだろうが、もともと真っ赤で派手な服だ。今更鮮血等は目立たない。
ジョニーさんは自分の頬に付いている紅を親指でぐいと擦る。まだ乾いていないそれは、簡単に彼の顔に真一文字に広がった。

「似合うだろ?『血も滴る良い男』ってヤツだ」

特に滴ってはないしそんな言葉は聞いたことも無いが、確かに似合うなと私は納得した。
彼の常人より真っ白い肌に、紅い鮮血は気味が悪いくらいに映えると思ったのだ。
私は彼に近付いて、自身の親指を白い頬に押し付ける。最初は柔らかかったが、驚いたジョニーさんが身を固くしたのであろう、少しだけそれも固くなった。
親指を血の痕の上に押し付け、先程彼がやったようにゆっくりと擦った。彼の肌にまた一つ、紅い線が引っ張られる。

「確かに、似合っています」

白に映える紅。綺麗だな、そう思った私は、ちょっとした言葉をポロリと零してしまう。

「とても扇情的だ」

本日二回目の、「しまった」と思った瞬間。
私の言葉を聞き逃す筈が無いだろうジョニーさんは、驚いたように目を丸くした後、困ったように苦く笑った。


――――――――

ウッドロウさんに「扇情的」と言わせたかったための話…
ウドジョニ好き!

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