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2026年06月13日
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砂糖は程々に

2011年05月17日

ぼちゃん。からから。
ぼちゃん。からから。

そんな音ばかりが部屋に響く。万丈目は苛々したように机を指でとんとん、と小さく叩いていた。
彼の正面に座っている十代が、自身のカードを真剣に見つめながらううんと首を捻っていた。

ぼちゃん。ぼちゃん。

彼らの目の前には、湯気を立てている入れたての紅茶。

ちょっとした休憩のつもりで、ブルー寮から適当に選んできた良さそうな茶を淹れて万丈目が優雅な気分で飲んでいたところ、十代が元気良くその中に入ってきた。
レッド寮で飲んでいたのが悪かったか、と思うのがもう少し早かったら、と万丈目は少し悔やんだ。
若干気分が下がったが、俺も飲みたいとせがむ十代に早々に折れて、しょうがなく、渋々淹れてやった。
といっても特にすることも無くただ座っていることが十代は苦手なので、紅茶を目の前に早速自分のデッキを取り出してカードをテーブルの上に並べる。
行儀が悪いなと思いつつ、面倒くさかったので万丈目は何も言わなかった。
狭い食堂の奥にあった角砂糖に手を伸ばし、一つ、二つとぽちゃりと入れる。

「それなんだ?」
「ん?」
「その四角いやつ」

ああ、これのことかと万丈目は納得し、十代の目の前の白い入れ物を置いた。

「角砂糖だ。砂糖の塊と言った方が分かりやすいだろうな」
「へぇ。俺粒のやつしか見たこと無いや」

興味深そうに瞳を輝かせながら、蓋を開けて一つ取り出す。おお、すげぇ四角いなという不思議な感想を述べた後、紅茶にちゃぽんと入れて、渡されたスプーンでくるくるとかき混ぜる。
何かが楽しかったのか、嬉しそうに顔を綻ばせた十代は、続けて二、三個ぼちゃぼちゃと入れる。スプーンでかき混ぜると、じゃりじゃりと砂糖が溶ける音がした。
カップを持ってぐいっと一口、「甘い!」と叫んで笑った。
何でこいつはこんなにも能天気そうに見えるんだろうか、そんなことを万丈目は考えながら、自分もスプーンをかちゃかちゃと回す。一口飲むと、甘すぎもせず、苦すぎもせず。絶妙なバランスを保っている紅茶に、万丈目も満足して一気に飲み干した。
いつの間にか十代も全て飲み終えていたようで、もう一杯と万丈目にカップを手渡した。
それくらい自分でやれとも思ったが、カップを手放した瞬間に意識がカードに行ってしまった十代に文句を言うタイミングを逃し、ぶつぶつと何かを呟きながらポットを手に取った。

「淹れてやったぞ」
「おう、サンキュ」

ぼちゃん。からから。

目はカードを見たまま、指だけを動かして十代は角砂糖を一粒入れてスプーンを回す。

ぼちゃん。からから。

再び砂糖を入れ、スプーンをくるくる。

ぼちゃん。からから。

流石に訝しげに思った万丈目は、十代と彼の紅茶を交互に見た。当の彼は未だにカードを真剣な面持ちで見つめたまま。それなのに右手はスプーンを握ったまま。
そこで冒頭に戻るわけだが、万丈目は正直吐き気がした。何の理由があってそんなに角砂糖を馬鹿みたいに入れるのだ。一体どんな味がするのか、想像しただけで胸焼けがする。
十代の右手は角砂糖を探すために宙を彷徨っている。我慢の限界とでも言うように、それをばしりと叩いた。

「って。何するんだよ」
「入れすぎだ馬鹿」
「いいじゃん、甘いほうが旨いぜ」

限度がある。無言で睨みつけると、「じゃあもう入れないよ」と苦笑された。
砂糖を極限まで入れられた紅茶は、溶け切れなかった砂糖の粒が少しだけ浮いてきている。これはもう紅茶じゃない、紅茶っぽい砂糖だと意外と冷静に思った万丈目である。
カードを束にして整えながら、漸く十代の指がティーカップに伸びる。
彼の喉がこくりと鳴った。

「……っあっま!」
「当たり前だこの馬鹿!」

口元を押さえて眉を下げた十代に対し、万丈目は怒鳴った。


――――――――

意味はない文。
「角砂糖に興味示す十代」「角砂糖をこれでもかと入れる十代」「何だかんだで世話焼く万丈目」を書きたかったのだ…

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