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2026年06月13日
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(P4:主完)

2013年02月07日


素直で優しい性格が好きだと思った。

「お前は本当にいいこだね」

褒められるのに慣れてなくて、しどろもどろになりながら、いいこってやめてください、と小さく呟く姿が好きだと思った。
普段はまるで百獣の王みたいに周りを圧倒しているのに、俺の前になるとたちまち借りてきた猫のようになる、分かりやすく単純な態度が好きだと思った。

「それでいて、とてもかわいいこだ」

かかかか、かわいくなんてねぇ、と、赤面しながらこっちに凄む姿はそれは可愛らしかった。純情で、嘘なんて高等なものつけなくて。そんなところも好きだった。
少し伸ばしたら届く、彼の頭に手を置いて、軽く撫でる。完二は無意識だろうか、腰を少し曲げて俺が撫でやすいようにしていた。不機嫌そうに寄せた眉は作っているだけで、本当は微塵も嫌だなんて感じてないことは知っている。本当に嫌ならば、俺はとっくに突き飛ばされてその辺に惨めに転がっていただろう。
俺には甘いところも好きだ。
触った髪の毛は色素が薄く、ほんのり金色に光る。抜かれたり染め直されたりを繰り返されて結構傷んでいた。パサパサとした乾いた感触も、好きだった。

「完二、屈んで。もっと」

俺の真意を汲みかねているような、不思議そうな顔で、でも彼は俺の言うことにはそれはもう疑うこともなく従順に従うのだ。
俺よりも低くなった頭は、頭頂部がよく見えていた。後ろに撫で付けている髪の毛のせいでつむじらしきものは見えない。両手で形を確かめるように撫でると、いよいよ完二は少しばかり困惑した表情になる。
お前は馬鹿なんだから、変に勘ぐったり考えたりしても意味ないのに。それでも必死に俺のことを理解しようとする、健気な姿は好きだ。

おでこにキスをする。広くて、俺は可愛いと思う。
完二はびっくりして、屈んだまま俺から離れた。後ろに体重をかけたせいで足が縺れて尻餅をついた。「あだっ」なんて色気も何もない声を漏らす。
その外見に似合わず随分可愛い反応をする。まあ、似合わないだなんて、思っていないけど。

「せ、せ、せんぱい」
「駄目だよ完二」

逃げたら。
そのまま俺も膝をついて、頬を手のひらで包む。いつもよりも高めの温度が伝わる。その様子が目に見えてわかるくらい、彼の頬は真っ赤だった。
照れ屋なところも、可愛くて好き。
いつも真ん中に寄って、彼に目付きの悪いイメージを持たせる眉も、今ばかりはへにゃへにゃと波打っていた。困ってるなあ。困った顔も大層可愛かった。
彼の全部が可愛くて、愛しくて、好きで、何もかもが堪らなくなってしまう。
額にキスをして、鼻先にキスをして、頬にキスをして、瞼にキスをする。完二はきつく目を閉じていた。

「先輩、」

もう十分っス、と完二は切羽詰まったみたいな声を必死に絞り出したけど、俺はまだまだ全然、少しも満足していなかった。俺は彼に愛を贈ることを満足としていた。見返りなんて考えたこともなく、ただただ俺は、彼を俺が満足するまで甘やかして愛しているのだ。
ねえ、俺が満足するまで付き合ってよ。こう言うと、まるで俺が彼を自分が満たされるために使っているように聞こえる。
決してそんなことはないのだけど、俺は頭はよかったが語彙が極端に少なかった。お前が良いんだとか洒落たことを言えればいいんだけど。

「完二、好きだよ」
「…はあ」
「大好き」
「…あの」
「超愛してる」
「…なんか、どんどん安っぽくなっていきますね」

彼はちょっと噴き出すみたいに笑った。でも彼は安っぽい言葉を享受してくれる。変に着飾るよりも、シンプルなものが好きみたいだった。謙虚なところも好きだ。
そのまま、微笑みを浮かべる唇にキスをした。俺たちのキスはいつも浅くてとても短かった。完二は緊張しているのか、それとも照れているのか、はたまた嫌なのか(もしそうだとしたらとても悲しいけれど)、いつも唇を開けてくれなかった。きゅっと結んだ唇に、俺が口付けを落とすだけ。こればっかりは、少しだけ寂しかった。

「完二、口をあけてくれない?」

ダメ元でそう聞いた。
完二はいつもお願いしたら無言で頷いてくれた。照れ屋さんな完二は多分このお願いを聞き入れるのは難しいと思う。でも、せっかく、せっかく今最高に良い雰囲気なんだから、したいと思う。とびきり濃厚なやつ。
これからも付き合っていくんだし、慣れていかないと、なんてナチュラルに思う。俺たちの関係なんていつ壊れてもおかしくないと言うのに。自然と眉が下がってしまった。

「………わ」

やっとで完二が発した言葉は、可哀想なくらいに小さくて、すぐにでも消え入りそうだった。

「わかり、ました」

えっ。

「だから、あの、わかりました、って」
「あ、あの、何が」
「………く、くち、開けます」
「えっ」
「だっ、だだだだから口開けてやるっつってんだコラァ!!な、な、何度も言わせんな!!」

最早自棄になっているかのように完二が俺に凄んだ。おでこから顔から耳から首筋まで、まっかっか。彼なりに色々考えて、恥ずかしいけど俺を甘やかすことを決めたようだった。
ああ、やっぱり、すきだなあと思う。
震える指に自分のを絡めて、一気に彼との距離を近付ける。指にまで伝わる完二の鼓動の大きさと早さに、このままキスすれば破裂しちゃうんじゃあと思う。
目の前の瞳が所在無さげにおろおろと泳いでいて、俺と目を合わせまいと必死だ。
ちゅ、と唇を合わせたら、でもやっぱり完二は口を開かなかった。
首を傾げる俺に、完二は困ったみたいに言った。

「ど、どのタイミングで開けばいんスか」

ああもう、本当にコイツは。

「そうゆうこと言わないでくれる。可愛いから」
「な、」

何言ってんだ、とでも言おうとして開いた口を、その言葉ごと食べた。
おいしいとか、そんな味覚的な感覚はおかしいかもしれないけど、とても甘く感じた。多分俺の今の気分からなるものなのではないかと思う。
ぎゅうと目を瞑る完二が可愛かった。ときせつ苦しそうに口の隙間から息を吐くのが酷く艶っぽかった。
そんな、俺の予想を遥かに上回る反応の良さも大好きだった。
そのまま自分ごと彼の体を後ろに倒す。
真ん丸に開いた目が潤んだまま俺を見ていた。俺は彼をもっとどうにかしてやりたいと思った。

「ね、完二」

「俺の好きなお前を、もっと見せてよ」

彼の返事を聞くより先に、俺は半開きの口にキスをした。


20130126


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ここはどこなのだろうかということを考えながら書いてました。ちゃんと考えておけとあれほど
あまあま~な主完を目指したけど無理だった。どうしても番長が変態臭くなる
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