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2026年06月13日
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かえりたいよ(P4:孤独な番長)

2013年01月13日


一年ぶりに帰ってきた都会は、何だか味気なかった。
クラスの中で拍手を受ける。またクラスの一員だ。でも見知った顔なんて殆どいなくて、俺は最早転校生のような気分だった。
久し振り、元気だったかと昔のクラスメイトは声を掛けてくるが、俺はそれが誰だか思い出せず、笑って頷くだけだった。

帰ってきた都会は、酷くつまらない場所だった。
三年生ということで、今年は受験の年だった。つい一ヶ月前まであんなに仲間達と遊び呆けていたのに、と思いながら教師の話を聞く。
教室はピリピリしていた。教師は眼鏡をかけた厳しい人で、ただそれだけで、モロキンや柏木のように印象強くもなければアクが強いわけでもなかった。
それなりな進学校だったからか、受験に対しては厳しかった。
つまらなすぎて、見えないように欠伸をした。
隣の席は里中みたいな子ではなく、物静かな子だった。
後ろの席は陽介じゃなく、真面目くさった眼鏡の男だった。
彼らは答えがわからなくても、俺に聞くことはない。自分で解決して納得して、終わり。
息苦しかった。

三年生だから、今さら部活には入れなかった。
バスケ部はそれなりの強豪で、サッカーも弱い訳じゃなかった。
俺みたいな一年ちょっとかじっただけのヤツが居ても、きっと邪魔に思われるだろう。
バスケ部の暑苦しさに頭痛を覚えた。これが本来の部活の形なのだと言うのに、俺の頭からは一条の爽やかさとか、長瀬の冷静さとかしか浮かんでこなくて、混乱した。
吹奏楽部だって同じで、トロンボーンが綺麗に奏でられているのが不思議だった。音楽室を覗いても、当然のように綾音はいない。

テストの結果が良くても、みんなは俺を認めない。妬まれるか、噂をされるだけだった。
褒めてくれる人なんていなくて、菜々子がプレゼントを作ってくれることもない。
何のために頑張っているのかがわからない。

家に帰っても父さんと母さんはまた仕事。どうせいないことはわかってるけど、実際に電気が消された部屋に入るのは寂しかった。
テレビはついてない。当然だ。電源をつけると見慣れたクイズ番組が流れた。こっちでも放送されてたのかと、画面を見ながらぼんやりと思う。
テーブルの上には食事があった。母さんの置き手紙と一緒に。
遅くなるから食べててね、短い文章に目を通して、ラップに包まれた炒めものとか、サラダを見る。
しんと静まり返った部屋の中で、ラップを剥ぐ音が響いた。
ひとりはいやだ、と思った。
手作りの料理を食べることは久々だったけど、美味しかったけど、ジュネスの惣菜が食べたかった。

「……なな、こ」

十二月、ずっと独りだったのを思い出した。
その時の孤独よりも、今はずっと大きかった。
菜々子が居なくて叔父さんが居なくて、寂しくて死んでしまいそうだったけど、夜はみんなが話し相手になってくれた。
天城の料理の話とか、里中が愛屋に連れていってくれたり、りせが手作りのプリンをくれたり、直斗と謎解きしたり、完二の学校での話を聞いたり、陽介と、

思い出してたら、いつの間にか泣いていた。
ぼたぼたとテーブルに落ちる雫は、ただただたまっていくばかりで。

「菜々子」
「叔父さん」
「………よう、すけ」
「みんなに、会いたいなぁ…」

いつの間にやら、俺の現実は彼らと共にいる日常になっていた。


20130112


――――――――

都会に戻ってきて一気に孤独になる可哀想な番長
鳴上くんは確かこんな感じでしたよねー
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