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2026年06月13日
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考え事(P4:主完)

2012年04月14日
「先輩、考え事っスか」

俺が机に頬杖をついたまま動かないでいると、後ろから声が掛かった。
何でお前が二年の教室にいるんだと問い掛けようとしたら、どうやら既に午後の授業もホームルームも終わっているらしかった。時計は五時を指していて、放課後になってから一時間ほど過ぎている。
んー、と頭を掻きながら、すぐ近くに立っている後輩に目を移した。

「どうしたの、完二。帰らないの?」
「えっ」

先輩が今日は一緒に帰ろうって言ったんじゃないスか、と少し非難するような声音で彼は呟いた。忘れてた…わけではなかった。記憶がほんの少し飛んでただけだよ、と言いかけて、それって結局忘れてたってことだよなあと思い止まる。
つまり今の今まで彼は待ってくれていたということか。

「待っててくれたの?」
 「えッ、いや…まあ…」

どうやらそういうわけではないらしい。くるくると目が泳いでいる。
この子は嘘をつくのも誤魔化すのも病的に下手くそ。それだけ純粋だという証拠だ。

「あの…スミマセン、午後の五限辺りから寝ちまってたみたいで、気付いたらこの時間で慌てて来たんスけど…あ、でも先輩が寝てたとしても俺待ってますよちゃんと!」

必死に弁解してる様がおかしくて(可愛くて)、俺は分かってるよと笑った。
短く伸びをしながら席を立って、帰ろうと彼を促すと、じっと見つめる視線に気付く。
首を傾げながら何事かと足を止める。そんな俺に気付いた完二は、ぱたぱたと小走りに少し離れた俺との距離を詰めると頭を掻きながら鞄を持ち直した。

「先輩、考え事してたんスか」
 「ん?」
「さっきまで、呆けてたから」

メズラシイなと思って。
どんぐり眼が興味深げに俺を見つめるもんだから、俺って普段そんなにお気楽そうに見えるのかなと心の中で苦笑した。
色素の抜けたぱさぱさの髪の毛を撫でると、一瞬顔をしかめてからすぐに照れ臭そうに唇を尖らせた。その顔がとても可愛かったから、俺は本当のことを言うことにした。

「俺はね、」
「完二のことを、ずっと考えてたよ」

 今度はどんな顔を見せてくれるかな。


20120413


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