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2026年06月13日
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ピンク色(主完?)
2012年04月24日
「家庭科」という授業がある。
二年と一年の合同授業だそうだ。
基本授業なんてつくものは全部嫌いだけど、家庭科だけは好きだった。
裁縫道具を持っていても不審がられないし、誰の目も気にせずに趣味に没頭できるから。
そう思い始めたのは先輩らと知り合って初めての授業だった。
俺の趣味嗜好を理解してくれている先輩達がいるから、俺は少し堂々とできるようになった。流石にまだどんと公にできる勇気みたいなものはないけど、周りの好奇と嫌悪の目が突き刺さるのは不快だけど、俺はそれでもいいのだ。
俺は俺のままで良いと、先輩が言ってくれたからだ。
家庭科の授業は刺繍の練習で、俺は心の中でガッツポーズをした。
嫌いな「授業」というものの中で自分の趣味を満喫できるなんてと、そう思ったからだ。
一年生は一年生で纏まって座れといわれていたけど、俺はそんなのを無視して輪から外れた机に座って一人黙々と作業をこなしていた。裁縫を難なくこなす俺に怪訝な目を向ける奴もいるけど、勝手に変な想像でも何でもしていればいい。これが俺なんだと言い聞かせた。
好きな色で刺繍をしていい。一番前の机に糸を置いておくから、選んで持って行ってもいい。そんな教員の声が聞こえた。
ピンク色の糸が欲しいと思った。
それでも、流石に女が溜まっている中を押しのけてピンク色の糸を手に取ることがどうしてもできなかった。
それは過去のトラウマを思い出したからでもあるけど、単純に人の目が怖かった。
一応吹っ切ったはずなのだけど、結局俺は心の底では克服できていない。女に馬鹿にされるのが怖いと思うとか、人の目を気にしてしまうのは無意識だった。
「何の色にする?」
「ピンクが良いかなぁ。可愛いし」
女子の声が聞こえてきて、ますます俺は取り辛くなる。だよなあ、ピンクは女の色だよなあ。
ピンクが可愛いなあと思うのは、やはり女だけなのだ。
「ね、俺にピンクをちょうだい?」
聞き慣れた先輩の声にはっとすると、先輩はにこにこと笑いながらピンク色の糸を手に取っていた。それを見た女子が笑った。「ピンク色が好きなの?」「うん、可愛くてね。俺は好き」なんて会話が少しだけど耳に入る。
先輩くらいのイケメンなら、ピンクが好きでも許される気がする。
先輩がもといた席に戻ると、花村先輩以外の人たちにからかわれていた。
それを上手くかわしているのかどうかよく分からないけど、先輩は首を振ったり頷いたり。まあ先輩のことだ、そういう対処方法は誰よりも上手い。俺はそんな先輩を何となくぼうっと見ていた。
「完二」
名前を呼ばれたけど一瞬反応が遅れて、はい、と返事をしたときにはもう先輩が俺の向かいの席に座っていた。
呆けた俺の顔を見ながら先輩は笑っていた。よく見ると彼の裁縫道具だとかも全部こっちの机に移動してて、あれ、いつの間にと思いながら先輩を凝視した。
元居た席の人らがこっちを見ながら変な顔をしてる。当然だ。好き好んで俺に近付く人間なんかいないのに。
先輩は変わった人だった。俺は彼らに助けられたから恩を感じてるけど、あの人らには俺に関わる理由はもうない。それなのにこの人は、必要以上に俺に構ってくる。可笑しな人だ。
「あの、先輩」
「ね、完二。俺裁縫って苦手なんだ。教えてよ」
優しそうな笑顔を浮かべるその人はとてもかっこいい人だった。
少しでも先輩の役に立てるならと、俺は当然了承した。先輩はまたにこりと笑う。よく笑う人だと思う。
じゃあまずは、なんて少し先生ぶって針に糸を通そうとする。もともとケースに入っていた普通の白い糸。
待った、と早くも制止の声が掛かった。
「完二、俺はピンク色の糸でやりたいんだ」
「はあ、いいと思います」
「そうじゃないでしょ」
「は…?」
「俺がピンク色の糸でやるんだから、完二もおんなじ色で俺にお手本を見せてくれないと」
そんなよく分からないこだわりの話をしてから、俺にピンクの糸を差し出した。
別に糸の色が違っててもやり方は同じなのに、なんて思いながら首を捻った。それから指に少し糸を絡めたあと、ふと。
(俺がピンクが欲しいって気付いてたのか)
いつ気付かれたのか、そんなに自分は分かりやすかったのか、そのことを考えると恥ずかしくて何だか悶えそうになる。どんだけ羨望の眼差しで見ていたんだろう、俺は。
先輩は相変わらず笑っている。よく俺に見せてくれる、優しそうな顔。
俺は物凄く気恥ずかしくなって、針に糸を通すことに集中することにした(何故か手が震えてなかなか入ってくれなかった)。
(そのあと花村先輩も教えてくれと移動してきて、壊滅的に不器用な里中先輩とか、根本から間違ってる天城先輩とかにも技を伝授している間に授業は終わって俺の課題は全く進まなかった)
(でもとても楽しかったのでまあいいやと思った)
(俺の刺繍は先輩から貰ったピンク色オンリーで完成してしまった)
(俺はただ、嬉しかった)
――――――――
ピンク大好きな完二ちゃんも可愛い
主は完二ばっかり見てるので彼に関するいろんなことに敏感です
二年と一年の合同授業だそうだ。
基本授業なんてつくものは全部嫌いだけど、家庭科だけは好きだった。
裁縫道具を持っていても不審がられないし、誰の目も気にせずに趣味に没頭できるから。
そう思い始めたのは先輩らと知り合って初めての授業だった。
俺の趣味嗜好を理解してくれている先輩達がいるから、俺は少し堂々とできるようになった。流石にまだどんと公にできる勇気みたいなものはないけど、周りの好奇と嫌悪の目が突き刺さるのは不快だけど、俺はそれでもいいのだ。
俺は俺のままで良いと、先輩が言ってくれたからだ。
家庭科の授業は刺繍の練習で、俺は心の中でガッツポーズをした。
嫌いな「授業」というものの中で自分の趣味を満喫できるなんてと、そう思ったからだ。
一年生は一年生で纏まって座れといわれていたけど、俺はそんなのを無視して輪から外れた机に座って一人黙々と作業をこなしていた。裁縫を難なくこなす俺に怪訝な目を向ける奴もいるけど、勝手に変な想像でも何でもしていればいい。これが俺なんだと言い聞かせた。
好きな色で刺繍をしていい。一番前の机に糸を置いておくから、選んで持って行ってもいい。そんな教員の声が聞こえた。
ピンク色の糸が欲しいと思った。
それでも、流石に女が溜まっている中を押しのけてピンク色の糸を手に取ることがどうしてもできなかった。
それは過去のトラウマを思い出したからでもあるけど、単純に人の目が怖かった。
一応吹っ切ったはずなのだけど、結局俺は心の底では克服できていない。女に馬鹿にされるのが怖いと思うとか、人の目を気にしてしまうのは無意識だった。
「何の色にする?」
「ピンクが良いかなぁ。可愛いし」
女子の声が聞こえてきて、ますます俺は取り辛くなる。だよなあ、ピンクは女の色だよなあ。
ピンクが可愛いなあと思うのは、やはり女だけなのだ。
「ね、俺にピンクをちょうだい?」
聞き慣れた先輩の声にはっとすると、先輩はにこにこと笑いながらピンク色の糸を手に取っていた。それを見た女子が笑った。「ピンク色が好きなの?」「うん、可愛くてね。俺は好き」なんて会話が少しだけど耳に入る。
先輩くらいのイケメンなら、ピンクが好きでも許される気がする。
先輩がもといた席に戻ると、花村先輩以外の人たちにからかわれていた。
それを上手くかわしているのかどうかよく分からないけど、先輩は首を振ったり頷いたり。まあ先輩のことだ、そういう対処方法は誰よりも上手い。俺はそんな先輩を何となくぼうっと見ていた。
「完二」
名前を呼ばれたけど一瞬反応が遅れて、はい、と返事をしたときにはもう先輩が俺の向かいの席に座っていた。
呆けた俺の顔を見ながら先輩は笑っていた。よく見ると彼の裁縫道具だとかも全部こっちの机に移動してて、あれ、いつの間にと思いながら先輩を凝視した。
元居た席の人らがこっちを見ながら変な顔をしてる。当然だ。好き好んで俺に近付く人間なんかいないのに。
先輩は変わった人だった。俺は彼らに助けられたから恩を感じてるけど、あの人らには俺に関わる理由はもうない。それなのにこの人は、必要以上に俺に構ってくる。可笑しな人だ。
「あの、先輩」
「ね、完二。俺裁縫って苦手なんだ。教えてよ」
優しそうな笑顔を浮かべるその人はとてもかっこいい人だった。
少しでも先輩の役に立てるならと、俺は当然了承した。先輩はまたにこりと笑う。よく笑う人だと思う。
じゃあまずは、なんて少し先生ぶって針に糸を通そうとする。もともとケースに入っていた普通の白い糸。
待った、と早くも制止の声が掛かった。
「完二、俺はピンク色の糸でやりたいんだ」
「はあ、いいと思います」
「そうじゃないでしょ」
「は…?」
「俺がピンク色の糸でやるんだから、完二もおんなじ色で俺にお手本を見せてくれないと」
そんなよく分からないこだわりの話をしてから、俺にピンクの糸を差し出した。
別に糸の色が違っててもやり方は同じなのに、なんて思いながら首を捻った。それから指に少し糸を絡めたあと、ふと。
(俺がピンクが欲しいって気付いてたのか)
いつ気付かれたのか、そんなに自分は分かりやすかったのか、そのことを考えると恥ずかしくて何だか悶えそうになる。どんだけ羨望の眼差しで見ていたんだろう、俺は。
先輩は相変わらず笑っている。よく俺に見せてくれる、優しそうな顔。
俺は物凄く気恥ずかしくなって、針に糸を通すことに集中することにした(何故か手が震えてなかなか入ってくれなかった)。
(そのあと花村先輩も教えてくれと移動してきて、壊滅的に不器用な里中先輩とか、根本から間違ってる天城先輩とかにも技を伝授している間に授業は終わって俺の課題は全く進まなかった)
(でもとても楽しかったのでまあいいやと思った)
(俺の刺繍は先輩から貰ったピンク色オンリーで完成してしまった)
(俺はただ、嬉しかった)
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ピンク大好きな完二ちゃんも可愛い
主は完二ばっかり見てるので彼に関するいろんなことに敏感です
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