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2026年06月13日
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信じるって誓う(P4:主完)

2012年12月16日


※原作沿いっぽく書こうとしたら全然違うものになったでござる
※番長は泣き虫(そのくせくそ野郎)








最初の俺は、『巽完二』という人間をあまり信用していなかった。
彼の内面を見る限りでは純粋で実直、素直で単純なのだと分かった。
でもやはり俺は心のどこかで彼を遠ざけようとしていた。
分かっていたのだ。本当はとてもいい子なのだと。しかし俺はその人相の悪さや悪い噂がどうしても目立ってしまって、彼の本質をまともに見ることをしなかったのだ。額の傷だって過去の喧嘩の痕だろう。それがまた悪目立ち。
何か一つくらい、人道を外れるようなことをしていると本気で思っていたのだ。

そんな中で、俺は彼がカツアゲをしていると噂を耳にして、ああやっぱりなあと思った。
別に本気で信じていたわけではなかった。でももし本当だとしても、そう驚くことでもなかったのだ。俺は信じてはいなかったけど、疑っていたわけでもなかったのだから。
真相が知りたくて完二を訪ねると、彼は少し驚いたように、だけどちょっぴり嬉しそうに俺を「先輩」と呼んだ。
はにかんだ顔を見て、俺は本題を出す前によく分からない罪悪感に包まれた。
疑っているのだ。俺を先輩と慕うようになった彼を。
彼を前にして黙ってしまった俺を訝しげに思ったのか、完二は眉を寄せてまた「先輩?」と俺を呼ぶ。

「……な、完二。外に付き合ってくれる?」

思ったよりも空気に敏感なのか、俺の様子を見た彼は少し顔を強張らせながら、うス、と小さく返事をした。




カツアゲをしているのかと単刀直入に切り出したら、完二は本気で驚いたような顔をしたあと、悲しいほどに無表情になった。

「先輩は、俺を疑ってるんスか」

言葉が出てこなかった。疑ってないといえば嘘になる。しかし本人を目の前にそんなことが言えるだろうか。
理由はそれだけじゃなく、彼の無表情が、何故か、とてもとても苦しかったのだ。
口を閉じたり開いたりしてる俺を見つめて、完二はふっと息をついた。崩された無表情の後に見せたのは、分かりやすいくらいに落胆した瞳だった。
そこで俺は、自分の浅はかさに気付いた。

(そうだこの子は、ずっと見掛けばかりで判断され続けてたくさん傷付いてきたんだ)

ああ、俺は本当に愚かな人間だ。屑みたいな人間だ。
完二は、すぐにその瞳を隠してしまった。瞳の奥に、ゆらゆらと揺れる寂しさと、湧き上がる悲しみを隠してしまった。
別に、しょうがねえッスよと、完二がやっとで沈黙を壊した。

「俺、こんなナリだから。疑われてもしょーがねぇっつーか。人相、わりぃし。図体も無駄にでけーし」
「ち、ちがう、ちがうんだ、完二」
「……疑われんのとか、カンチガイされんのとか、もう慣れちまったッス」


「……だけど」
「先輩だけは、ちょっとは信じてくれるかな…とか……」


今すぐに俺を殺してほしい。


気付けは俺は涙が止まらなかった。
本当なら泣かなきゃいけないのは完二のはずなのに、彼は唇をきゅっと結ぶだけで、泣く素振りなんて見せなかった。
その姿を見て、俺はさらに涙が溢れて止まらなくなったしまったのだ。
当然完二は困惑したように俺を呼んだ。先輩、どうしました、と。こんな人間の屑のような俺に、いまだに心配そうに声を掛けてくれるのだ。

(俺はこんなにも優しい子に、なんてことをしたんだ)

「ごめんね完二、ごめんね…」
「お前を信じたかったのに、信じきれなくてごめんね」
「お前が優しいだなんて、誰よりも俺が知っていた筈なのに」
「お前から、直にやってないって聞かないと、信じてやれないような、駄目な先輩でごめん」

かっこ悪いとか恥ずかしいとか、今の俺にはどうでもよかった。ただただ、彼に謝りたいって、それだけだった。
完二は目を泳がせながら、すこしわたわたしていた。目の前で男が泣いてしまっては、困ってしまうのも当然だ。俺は彼を困らせてばかり。いっそのこと俺を殴ってくれればいいのに。
しかし、わたわたしていたと思ったら、どうやらそうじゃないらしかった。何かを探していたようで、自分のポケットを隅々探っている。
もしかしてティッシュでも差し出してくれるのだろうか。そうだとしたら本当に良い子だ。菩薩レベルだ。
案の定差し出されたのは、しかしティッシュではなくハンカチだった。びっくりしてぐちゃぐちゃな顔のまま完二を見上げると、彼は俺と目を合わせずにぶっきらぼうに言った。

「あの、俺先輩がなんで泣いてんのかわかんねーけど、お、俺のせいなら謝るんで、頼むから泣き止んでください」

菩薩だった。
きっと鬱陶しいはずだろうに、こんな時でも他人を思いやろうとするなんて。
人相が悪いとか、悪い噂とか、俺の頭から彼に対するマイナスのイメージがすべて抜けていった。
人道を外れた行為だなんて、彼じゃなくて俺がしていたんじゃないか。

「ごめん完二、もう大丈夫」
「…ッス」
「お前がカツアゲとか、そんなことをするわけがなかったね。もう疑ったりなんかしない。お前は本当に良い子だ」
「…信じてもらえたなら、いいです」
「もう二度と疑わないって誓う。どんなことがあっても、何があっても俺だけはお前の味方であり続けるって誓う」

完二の瞳が僅かに揺れた。それは、俺の言葉を信じたい思いと信じられない思いが混ざって複雑に光っていた。
簡単には信じてもらえないか、と少し寂しく思ったが、今まで完二は、ずっとこんな気持ちだったのだろう。先程までは俺が彼にその感情を与えていたのだ。当然の報いだ。
差し出されていたハンカチごと、俺は彼の手を握った。大きくて、少し武骨な手。不器用な優しさゆえに、誰にも気付かれなかった温かさ。
やっぱり完二は困惑したままの表情をしていたが、俺はその顔を見てにこりと笑った。

「完二、ご飯を食べに行こう。俺がたくさん奢ってあげる」


今思えば、俺が彼に特別な感情を抱き始めたのも、ちょうどこの出来事の後からだった。


――――――――

半年くらい前に書いてたのを今更完成させてみた
確か原作沿いに書こうと思ったんだけどどう考えても別もんですね…すみません!
書いてた当初はオチをちゃんと考えてたんだけど半年経った今、綺麗さっぱり忘れてしまっていました(死

この話の後、番長の完二溺愛物語が始まる。うちのクソ番長の出来上がりだよ!

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