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2026年06月13日
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怖い夢を見た(べるぜ:おがふる)
2012年12月16日
暗い暗い闇の中。どこかもわからないそんな場所で、古市はオレに言った。
「もうさ、お前に関わんのやめる」
は?何を言ってるのかわからない。古市はオレの呆けた顔を見て鬱陶しそうに溜め息をついた。
オレの知ってる古市じゃない気がした。
「お前と居れば、不良に絡まれるし殴られるし、お前ばっかちやほやされて。お前、オレのこと何だと思ってんの。引き立て役とか、うんざりだ」
違う、そんなの思ったことない。
何だろう、この感じは。
とても寒くて寂しくて、辛い。
それから、怖いと思う。何が怖いのか、少しまだわからないけど。
このオレが。今まで怖いものなんて無かったオレが。何だ、何が怖い。
「ふるいち」
やっとのことで出た声は、情けなく震えていた。悪い夢を見ているような、そんな気分だ。
背を向ける古市が遠退いていく。手を伸ばしてももう届かない。首根っこ掴んでオレの前まで引っ張って、ちゃんと理由が聞きたいのに焦がれる背中はどんどん遠くなる。
嫌、だ。嫌だ嫌だ行くな馬鹿。隣に立ってるって言っただろ。傍に居てくれるんじゃなかったのかよ。お前が居なくなったら、オレは、
(ああそうか、オレが怖いのは、古市が隣から居なくなることだ)
古市、そう呼ぶ声が聞こえて、寝ているはずの男鹿に視線を寄越した。
やはり男鹿はぐっすり爆睡で、寝言かと苦笑した。夢の中で一体オレと何をしてるんだか。どうせろくでもないことだろうなあ。
またひとつ、古市とぽつりと溢した。
「古市くんの夢見てるんだねー」
「夏目先輩」
「ラブラブで良いね」
夏目先輩がにこにこ笑いながら微笑ましそうに言う。ちょっと反応に困って苦笑いすると、仲良くね、と頭をポンポン叩かれた。
不良の中でも夏目先輩は多分一番好い人だと思う。
また、名前が呼ばれた。
「男鹿、コラ。お前が名前呼ぶからからかわれただろ」
緩く肩を揺さぶるが、男鹿は顔をあげない。どんだけマジ寝だよ、なんて思いながら、ふと腕の間から男鹿の表情が見えた。
「…男鹿?」
強気でボス猿みたいな凶悪な顔をしている奴からは想像ができないくらいに、弱々しく眉を下げていたのだ。
次には、男鹿からひっきりなしに聞こえてくる声と途切れ途切れの息。嫌だ嫌だ、行かないでくれ、なんて、随分ナーバスな夢を見ている。
心配になって男鹿に腕を伸ばすと、そいつはオレの腕を強い力で握ってきた。痛い。
「ふる、いち…」
何回名前を呼ぶんだよ。本当にどんな夢を見てるんだ。
震えながらも指の力を弱めない男鹿は、何かを掴もうと、引き留めようと必死に見えた。
男鹿の指に自分の手のひらを重ねる。頼り無さげに小刻みに震えるそれはとても冷たいと思った。
「男鹿」
「ちゃんと居るよ」
「オレは、ここに居るから」
ぱちりと開けたそいつの瞳から、涙が一筋ぽろりと零れる。男鹿にも涙って流せたんだなって失礼なことを思ったけど、まああの男鹿だし、とも思う。涙なんて似合わなすぎる。
少しの間呆然とオレを見つめていた男鹿は、漸く夢の世界から抜け出したかのようにはっとする。
「ふ、ふるいち、古市、古市」
「はいはい、なんでしょうか男鹿くん」
「いなく、なる…お前が、」
「いなくならないよ、言っただろ隣に立つって」
手を握ってあげると、男鹿がそのまま抱きついてきた。馬鹿力でぎゅうぎゅう絞めてくるから、背骨が軽く軋んだ。しかも机を挟んで男鹿がこっちに身を乗り出してる格好だから、椅子が後ろに倒れそう。あと体重も掛けられて重い。
落ち着けよって意味で背中を撫でたら、古市、と名前を呼ばれる。
お前には弱さなんて似合わないよ。
どんな夢を見たかは知らないけど、きっと悪い夢だったんだろうな。
「大丈夫か?」
「……ん」
「悪い夢見た?」
「怖い夢見た」
こんなに怖いのは生まれて初めてだった、と男鹿は言う。
そっか、と返してひたすら背中を撫でてやった。
オレが居なくなることが怖いと、男鹿の言葉は暗にそう示していた。
こんなに思われてるのかあと恥ずかしい反面、こんなに男鹿を弱らせてしまうのなら離れられないなあ、と少しだけ愛しさを覚えるのだった。
20121201
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短いですがおがふる
古市がいなくなっちゃうと男鹿さんは世界征服とかしちゃうくらいには暴走するんじゃない?という妄想(話と関係ない
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