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2026年06月13日
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コンビニ物語 B(一護と雨竜)

2011年01月20日

コンビニで適当に雑誌を読んで、お菓子コーナーをぶらついて、明日の昼飯でも買っとくかなぁと様々なパンが並べられているコーナーに近付いたり、適当に適当に一護は時間を潰していた。
待ち人はまだ来ない。今日の部活はどうしても出なくてはいけないなんかの集まりがあったらしく、三十分くらい待ってるなら一緒に帰れるよと言われたものの、正直待つのは頗る面倒くさい。しかし「待てなければ別に待って無くても良いし」と先に言われてしまい、何より此方から「一緒に帰ろう」と誘った為に、待つ事なんてできるかと早々に帰るのも相手の気分を害するだけでなく、自分が酷く間抜けに見えてしまう。
学校の中でぼーっとして過ごすのも飽きてしまい、教室に置きっ放しにされていた相手の鞄にメモを貼り付けて一護は学校を出た。
三十分などと言いながら、時計の針は彼が待っていた時間から既に四十分過ぎていた。
狭いコンビニでは見るものや眺めるものも限られており、お菓子コーナーの前を歩くのはこれで五回目となった。
別に店員に怪しまれている訳ではないが、こうも長時間いる割には何も買わず同じところをぐるぐると回り続けるオレンジ色の髪の高校生。怪しまれても不思議ではないと本人は思っていた。
早く来いよアイツ。心の中で待ち人を非難する。


アイスボックスの前で買う気も無いのに商品を眺めていると、杖をついた老人がよろよろしながら入ってくる。一護は何とはなしにそれを見た。
老人は何か掴めるものを探しているのか、両手を空中で彷徨わせていた。時折杖で障害物がないかどうか、地面を叩くなどの動作を行っている。目があまり見えていないのだと、すぐに分かった。
助けた方が良いだろうか。いや、余計な事をするなと言われてしまうかもしれない。見つめながら悩んでいると、老人は一冊の雑誌を手に取り、再び歩き出す。如何やら目当ての商品はすぐに手に取る事が出来たようであり、いらぬ心配だったかと小さく安堵の息を漏らした。
老人はよろよろとレジに並ぶ。
その時、高校生くらいだろうか、同じ学校の生徒ではない事は着ている制服が教えてくれる。いかにも「不良です」と主張するような風貌で(一護も人の事は言えないのだが)、一言呟く。

「邪魔だよジジィ」

老人を押し退けてレジに割り込んだ。老人は押されて後ろによろめいたが、倒れはしなかった。
一護の眉間の皺が深くなる。高校生にもなってマナーも守れないのか、そう思うと自然に頭に血が上ってしまう。こんなに短気なつもりはなかったのだが。
ついつい一歩出てしまった足を止めようとせず、そのまま不良に向かって歩き出す。



「止めておけ、黒崎」

着ていたコートのフードを掴まれ、ぐっ動きを止められる。
若干の首の絞まる感覚と、耳に聞こえた待ち人の声に我に返る。
首だけを後ろに動かすと、口元をマフラーで隠した黒髪の青年と目が合う。眼鏡を上げる仕草をした後に、ふぅと小さく息を付いて一護のフードから指を離した。

「……石田」
「こんな所で下らない事しようとするな」

彼が止めてくれなかったら、きっと思い切り殴りとばしていただろう。感謝をしたいところだが、どうにも彼の言葉には少しばかり棘が多い、なんとなくむっとした。

「下らないのはアイツの存在だろ」
「君でもそんな事言う事があるのか。確かにそうだとしても問題を起こす理由にはならないね」

目の前の青年を睨んでもしょうがない事は分かっている。でも、何か腑に落ちなくて苛々した。
一護の待ち人であった石田雨竜は、彼のそんな心情を知ってか知らずか、再び溜息をついた。「何でもいいけど帰るなら早く帰るよ」と、さっさとコンビニから出てしまう。不満げな顔を露わにしながらも、先程の不良を一瞥して雨竜の後ろに続いた。
二人が出てすぐに、その不良も扉を開けて外に出てきた。
何事も無かったかのように歩く憎たらしい背中を睨みつけながら、ふと雨竜が手で雪玉を握っているのが眼の端に映った。手袋もせずに冷たいだろうと思う前に、彼の行動の意味がわからず首を傾げる。
雪遊びが好きなのか、そんな思考に辿り着きそうになった時、突然掌に雪玉を握らされ、一護はその冷たさに短く悲鳴を上げる。何のつもりだと雨竜を睨むと、本人は何でも無いような顔でまだそう遠くへ行っていない不良の後姿を指差した。

「当ててやれ」
「……は、」
「コンビニではするなと言っただけだし、外でなら良いんじゃないか?」

バレなければ、と少し無責任な台詞の後に小さく付け足す。
雪玉を見、眼鏡の青年を見、彼の口元が微かに上がる。

「良いんだな?」
「君の好きなようにしなよ」
「チャンスは一回だけか?」
「冷たくてもう作れないよ。外したら埋める」

雨竜の言葉が終わるや否や、一護は大きく振りかぶり、渾身の力を出して雪玉を投げた。漫画のような速球がこれまた漫画のように不良の頭に見事に命中し、遠く離れた二人にもドパンという派手な音が聞こえてきた位の衝撃だったようだ。不良は前につんのめった挙句滑ってうつ伏せに転んでいた。
当たったのを確認した後に、二人は同時に不良とは反対方向に走った。合図を決めていた訳でもないのに、同時に、それはもうぴったりと息の合ったタイミングで。
 

走ったままに、互いに目を合わせる。
どちらからともなく出された掌を、パチンという音と共に交わした。


――――――――

ちょっとだけ実話(おじいちゃんの前に若者が割り込んだ事
ノリの良い雨竜が好きです
一護と雨竜は正反対に見えながらもいざとなった時の行動がめちゃくちゃ息ぴったりだと良い。萌える
仲良しなイチウリが好きだ!

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