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2026年06月13日
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特に意味のないはなし

2010年06月17日

「万丈目ーっ!!」

後ろから自分を呼ぶ叫び声が聞こえ、万丈目準は驚いて振り向く。
だが、誰も居ない。訝しげに思った万丈目だが、すぐにきっと空耳だと思い、目線を元に戻す。
その瞬間、後ろから走ってくるような足音が聞こえた。
万丈目が振り返るよりも先に、背中にドスンと大きな衝撃が走った。

「ぐえぇ!!」
「おっ、と!」

急に後ろから抱きついてきた少年に、万丈目はカエルの潰れたような声を出す。そしてその少年、遊城十代は、勢い余ってかバランスを崩し、万丈目と共に地面に派手に倒れた。
どちらもうつ伏せの状態だが、決定的に違うのは万丈目が十代の下敷きになっているという事だった。

「うあ~いってぇ。」
「……貴様より痛いのは俺の方だ。」

恨めしそうに下から十代を睨む。額を打ってしまったのか、ほんのりと赤くなっている。それを見た十代は、慌てて「ごめん!」と万丈目に謝った。
「さっさとどけ!」と叫ばれて、自分が万丈目の上に乗っかっていることにようやく気付いたようで、素早く万丈目の上から退く。少しふらつきながら立ち上がる万丈目に、十代は眉を下げる。

「ごめん、万丈目…。転ばせるつもりはなかったんだけど…。」
「転ばせるつもりだったのなら今すぐ殴っているところだ。」

服に付いた土埃を手で払いながら、「で?」と十代に向き直る。
当の十代は「え?」と返した。

「え?じゃないだろう。俺に用があったんだろうが。」
「よう…?いや、特に無いけど。」
「…………は?」
「…………え?」

意味がわからないというような万丈目の表情に対して、十代も「何が?」と言う感じの表情だった。
数秒間の沈黙が流れる。
今すぐこの馬鹿と叫んで殴りかかりたいところだが、拳をぐっと握って衝動を抑え込む。眉をぴくぴくと動かしながら、万丈目はゆっくりと十代に問いかけた。

「…貴様は、用がないのに意味も無くタックルしてきたのか?」
「いやぁ、特に何も考えてなかったんだよなぁ。『あ!万丈目だ!』って思って、つい。」

「つい。」と言った瞬間に、万丈目は十代の頭をぼかりと殴る。もちろん、グーでだ。

「いてっ!何すんだよ!」
「やかましい!意味も無く引き止めるな!」
「意味があったら良いのか?じゃあ一緒に昼飯食べに行こうぜ。」
「そういう問題じゃないっ!!」

ああもう!そう叫ぶと、万丈目はくるりと十代に背を向けて、さっさとどこかへ歩き去ろうとする。
「どこ行くんだよー。」そう言って後ろをついて行く十代に、「ついて来るな!」と怒鳴るが、十代は気にせず後ろをついて行く。
万丈目は頭をがしがし掻きながら、しかしそれ以上は何も言わなかった。


――――――――

あるとき、十万十が無性に恋しくなるのだ。

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