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2026年06月13日
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はつこいというものは に

2010年06月06日

ブルー寮の食堂の一席で、帝王と呼ばれていた男は黙々と食事をしていた。
だからと言って、飯にがっついているわけではない。言葉の通り、ただただ黙ったまま食べているだけだ。それでいて、食べるスピードは速くない。
彼の横顔は整っていて、食べている姿も様になるくらいの男前だ。現に、通りかかるブルー女子は亮をちらちらと忙しなく見たり、他の女子と何かきゃあきゃあと小声で騒いでいる。
それでも、彼に声をかける者はいない。それは彼が『帝王』とまで呼ばれた実力を持っているエリートであることもあるが、普通に座っているだけでも、その辺の人間にはない威圧が感じられる。決して恐ろしいものではないのだが、なにか、近付きがたいものがあった。
周りの生徒よりも1.5倍はゆっくりと食べている亮に、一人だけ、気楽に声をかける生徒がいた。

「やあ、亮。隣良いかな?」
「……吹雪。」

少し嬉しく思いながら、こくりと小さく頷くと、亮に負けず劣らずの整った顔をした男子生徒は、にっこりと笑って亮の隣の椅子に腰を下ろす。
吹雪の手には、小さい紙袋が握られている。その紙袋から、一つのパンを取りだし、口に入れる。
デュエル・アカデミア定番の、ドローパンだ。
もきゅもきゅと口を動かしながら、みるみると顔を険しくさせる吹雪を見て、亮はなんとなく察した。

「……最悪だよ、にんじんだった。」
「やはりか。お前の表情は分かりやすいな。」
「うぅ…亮、食べない?」
「すまないが、いらん。」

次からは半分に割ってから食べよう、と、吹雪は食べかけたパンを包み直す。
表情豊かでわかりやすい親友に、亮は小さく笑みを零す。
その親友は、すぐに二つ目のパンに取り掛かり始めた。いったい何個パンを買って来たんだと思い、紙袋を覗く。まだ10個ほどのパンが入っていて、「こんなにたくさん食べるのか」と目で伝える。

「…言っておくけど、全部が全部僕が買ったわけじゃないからね。」
「あぁ…そうなのか。」
「トメさんがサービスしてくれたのさ。まったく、人気者は辛いね!」

ふざけた口調ながらも、苦笑している。流石にこんなに購入する予定なんて無かっただろうから、全てをどうやって処分するか本気で考えているのかもしれない。
吹雪が、二つ目のパンを半分に割る。普通ならば中身が見えるのだが、そのパンには中身が存在しなかった。
吹雪はそれを見て「亮!」と少し嬉しそうに呼ぶ。

「具なしパンだよ!君、好きだったじゃないか?」

有無を言わさずに、手に押し付けられる。
「ありがとう」と、とりあえず礼を言って、パンを口に運ぶ。
具が入ってないパンのどこが良いんだろうなぁと考えながらも、口には出さない。まぁ、確かに食べても当たりハズレはないだろう。そんなことを思いながら、吹雪は三つめのパンの袋を開けていた。
既に食堂にいる生徒は僅かになり、そのほとんどが片付けを始めている。
悠長に食事をしているのは、きっと亮と吹雪くらいだろう。

「あ。」

黙々と具なしパンの味を楽しんでいる亮を見て、吹雪は不意に声を上げる。
どうした、と声を掛けようと、顔を上げた。
吹雪の指が伸びて来て、亮の頬にとん、と軽く触り、すぐに離れて行く。
一瞬で、亮の思考が停止した。

「パンくず、ついてたよ。君ってたまに子供っぽい所あるよね。」

可愛いなぁ、とくすくす笑う吹雪の姿が、亮には見えていなかった。
一緒に過ごすことなんて、一日の半分以上もあった。その大半は話すばかりで、触れたことなんて一度も無かったから。
急に無言で動かなくなった亮を見て、吹雪は訝しげに言葉をかける。

「亮?どうしたのさ。大丈夫かい?」
「……………あ、あぁ、大丈夫だ。何でもない。」

完全に動揺しているが、吹雪は気付いていない様子で、じゃあそろそろ教室に戻ろうか、と椅子から立ち上がる。亮も遅れて立ち上がり、先刻まで食べていた料理の食器を片付けに行く。吹雪が「外で待ってる」と、早々に食堂から出て行った。

食器を片付けた後、亮は自分の頬に触れてみる。内心、心臓が動悸を止めない。自分でも驚くほどに動揺している。相当重症なのだと、鈍い自分でもわかるくらい重症なのだと感じた。
小さく溜息をついた後、亮は頬に触れながら改めて実感した。

(…俺は、あいつに……吹雪に、惚れているんだな。)


――――――――

なにこの乙女なカイザー(爆
無駄に長くなってしまったにも拘らず、書きたかったのは後半の事だけなんだよ!もっとプラン立てろよ自分!
亮→吹とか、だらだらと続いて何の進展も無さそうですよね!だがそこがキュンキュンする

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