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2026年06月13日
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始まりってそんなもん 4(十エド)

2011年10月28日
久々に高校生パロ十エド!











あいつはいつも飯を食べない。
多分食べてはいるんだろうけど、でも少なくとも俺の目の前で食ってる姿を一度も見たことが無い。
昼は大体一緒に居るはずなんだけどなぁ。あいつはいつも俺より先に屋上にいるし、その間に食ってんのかなーと思ったこともあったけど、食べた跡というか、パンの袋だとか弁当の包みだとか、そういうのが全然見つからない。
つまり、やっぱり何も食べてないのだ。
元々見た目が細っこくて少食なイメージがあるけど、でも流石にそれでも少しくらいは腹に入れるはずだ。
昼飯を抜くなんて俺には考えられない。だって腹が減ってちゃ力も元気も出ないし、何よりデュエルに集中できなくなってしまう。
俺が聞いてもあいつは答えない。いつもいつも「僕の勝手」とそっぽを向いてしまう。別に俺は人の食生活に文句をつける気はない。だって人ってそれぞれだし。
だけどここまで何も食べてないところを見るとだんだんと心配になってくる。
そういえば最近の女子って食事を抜いてダイエットとかするんだっけ。正直アホなことを考えるなぁとか思うけど、もしかしてエドもそうだったりするのだろうか。
これ以上痩せてどうするつもりなんだろう。そもそもあいつは女子じゃないから違うか。
何でだろう。何で飯を食わないんだろう。
俺は、一緒に食べたいんだけどなぁ。



「なあエド、飯は?」
「いらない」

フェンスによっかかって本を読んでるエドに向かってそう声を掛けるけど、返ってきたのはいつもと変わらない返事だった。このやり取りももう何回目だろう。
購買の特製焼きそばパンを頬張りながら、字の羅列を目で追っているエドの横顔を見つめた。
やつれたりはしてない。だから家の方ではちゃんと食べてるんだろう。
確かエドは『ボンボン』だと友人が言っていた。ボンボンって意味がわかんなかったけど、要するに『お金持ち』らしい。お金があるなら飯だってちゃんと食えるはずなのに。
何でなんだろう?

「なあ、何で飯くわねーの?」
「そんなの僕の勝手ですよ」
「勝手とかじゃなくて。理由を教えてくれよ」

エドはあからさまに嫌そうな顔をした。飯を食べることが嫌いな人間なんて、高校に入ってからもエドが初めてだ。大体その行為を嫌う人間なんていないと思っていたし。
本当は、何でとかどうしてとか、そういうのは聞かないことにしてたんだけど。人って色んな事情を抱えてて、聞かれたくないことだっていっぱいあるだろう。無理に聞いて相手を傷つけたくないし、そもそも知ったところでどうなるって感じだし。
ただ知りたかっただけ、っていうのは、理由にはならないだろうな。

「…食べる必要が無いから」

暫く黙ったあと、エドはそれだけをぽつりと呟いた。
折角答えを貰ったのに、俺は逆に納得できなくなってしまった。だって食べる必要が無いって、どう考えてもおかしいじゃないか。
「お腹が減っていない」とも言ったけど、昼に腹が減らないってどういう事なんだろう。俺は朝どれだけの量食べても、昼になったら当たり前のように胃袋が空っぽだ。
人間って腹が減る生き物だし、こいつって本当に不思議な奴だ。
でも。

「なあ、昼飯食おうぜ。俺一人で食っててもつまんねーよ」
「教室で食べればいいじゃないですか」
「俺はエドと一緒に食いたい」

食いながらカードのこと話したい。までは言わなかったけど、でも、エドと昼飯を一緒に食べたいのは本当だし、好きなものとか嫌いなものとか、知りたいし。
そう言ったら「教える理由が無い」って返されるだろうからやっぱり言わなかった。
エドは暫く黙ったままだった。俺はもう知っている。黙り込んでしまっても、根気強く言葉を待っていれば必ず彼は答えてくれることを知っている。
それは出会ってまだあまり日が経っていないのに、毎日のように昼を一緒に過ごしてる証拠だった。
俯きがちの横顔をじっと見つめる。そこから見えた綺麗な碧い瞳は、影が落ちているからだろうか、少しばかり暗く濁っているようにも見えた。
はあ、と軽い溜息が聞こえてきた。

「……何であなたが僕と食べたいのかは知りませんが」
「そりゃ、好きだからだよ」
「…………僕が昼食を摂ろうが摂らまいがあなたには関係ありません」


「でも、」
「少しくらいなら付き合ってもいいですよ」

やっぱり関係ない、の一点張りかと少し肩を落とした矢先のそいつの言葉は、俺を舞い上がらせるのに十分だったのだ。
本当か?!って自分でも分かるくらいに浮かれた声音で叫ぶと、そいつは声がでかいと耳を塞いだ。
結局、彼がどうして昼飯を食べないのかは分からないけど、別に分からないままでもよくなった。
元々そういう理由はどうでも良かったし、俺はただエドと飯を食べたかっただけだから。
その願望が叶ったのであろう今では、本当に全ての事がどうでも良くなるくらいに俺は嬉しかった。


――――――――

エドの敬語って違和感だらけだな…中の人はぴったりの役柄なのにな!
エドって無意識に十代に甘いだろうなって思う
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