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2026年06月13日
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(戦国BSR:政宗と慶次)

2011年11月03日
甘い甘いと思ってはいたが、ここまで甘ちゃんだとは思ってもいなかった。
目の前に倒れるでかい図体は死んでいるわけじゃない。少し強めだが峰打ちにしておいた。
こんな優柔不断で偽善者ぶってる奴の命なんざ背負ってやることも無いとふと思ってしまったのだ。
そんなことを少しでも考えた自分が酷く嫌になった。どんな人間でも命は命で、そこには上下も何も無いと俺は個人的には思っている。
でもこいつは一国を束ねる主でもなければ名を連ねる武将でもない。
自由奔放な風来坊で、甘ったれた、ただの子供だという印象が強かった。
実際の年齢は俺よりも高いのだろう。でもこいつは馬鹿の一つ覚えのように同じ言葉を繰り返し、同じ行動を繰り返す。愛だの恋だの、この時代にはあまり似つかわしくない言葉と、喧嘩だ祭りだと、命のやり取りをまるで遊びのように扱う。
あいつ自身は『命のやり取り』だなんて思ってもいないんだろう。思いたくないだけかもしれない。傷付けて傷付いて、その恐怖から逃げるために態と遊びだと称しているだけかもしれない。
俺はそんな中途半端なところが大嫌いだった。遊びなんかで命を背負って欲しくねぇ、遊びなんかで信念を踏み潰して欲しくねぇ。
奴が望んでる戦の無い平和な世の中、それは全員が望んでいることで、俺だって例外じゃない。けど、それを掴み取るために争いをする。戦争が次々と起こる。
矛盾している、世の中。平和を作るために犠牲を必要としている世の中は、誰もが望む世界だけど望んじゃいない世界でもある。
平和になればみんな笑うけど、犠牲が出ればみんな泣く。本当の幸せだなんて誰一人として与えられていないというのに、それでも人は平和を求めて戦い続けるのだ。

刀に付いた血を払い落とす。こびり付いた血の味を刀は覚えていく。ぎらりと銀色に光る切っ先は、一体何人を命を切ってきたのか。俺でさえそれは分からない。
近くには数々の屍が転がっている。俺だって殺したいわけじゃない。殺らなきゃ殺やられる。それはただの言い訳にしか過ぎない。結局は、奪っているんだから。


今日の俺達は快勝だった。無敵だとかなんとか騒ぐ馬鹿を黙らせたら、戦は終わった。
上杉に目に物を見せるために、逃げる残党を追いかけて切っていた。
そんなときに、その男は現れた。
目の前のそいつは上杉軍なんかじゃなかった。でかい刀を肩に担いで、派手な着物に長い髪。見間違いようの無い遊び人。
そいつは上杉に手を貸すと言ったから、敵。元々は上杉軍じゃないなんてことはここでは関係ない。手を貸すと言って俺に刀を向けたそのときから、そいつがどんな人間でも俺の敵になる。
こいつが上杉を助けたのはただの気紛れかもしれない。本来の甘ちゃん気質が放っておけなかったのかもしれない。
でも、覚悟が足りない。俺を切る、恐怖と決別する覚悟。
殺気が感じられない刀を弾くのなんて簡単で、一太刀入れるとそいつは逃げてしまう。追いかける理由なんて本当はなかったけど、そのときの俺は甘ったれたその男が気に入らず最高に機嫌が悪かったんだろう。
簡単に背中を見せるその緩さとか、中途半端な覚悟とか。腹立たしかった。
でも不思議とそいつ自身の本質を嫌うことはなかった。
喋っていることは脈絡もないし責任感もない、覚悟もなければ本気で殺す勇気もない。でも俺から上杉の残党を護ろうと刀を振るうところには少し共感を覚えた。
あいつは勝つために傷付けるんじゃなくて、護るために傷付ける。やっぱり甘ちゃんだなと思いながらも、それだけは本気で嫌いになることはなかった。
そんな俺の甘い考えが、こいつを殺すまでに至らなかった。
ド派手な髪飾りは壊れていて、地面に長い茶色の髪が流れている。目を瞑って気を失っているその顔は、戦場に似合わないほどに綺麗な顔をしていた。

「……Hey!小十郎!」

一番に信頼する右目の名前を呼ぶと、そいつは直ぐに俺の傍にやってくる。

「どうなされましたか、政宗様」
「こいつ、持って帰って傷の療養してやる。馬に乗せとけ」
「…承知致しました」

小十郎よりも体格がいいであろうその身体を、俺の右目はいとも簡単に担ぎ上げた。
「客人だ、丁重に扱えよ」と言ったら「分かっております」と答えが返ってくる。だけど馬に乗せた音が酷く乱暴で、だけど俺は苦笑だけ漏らした。
あいつは乱暴なつもりはないんだろうと分かっているからだった。

何でこいつを持ち帰ろうだなんて思ったのかは俺にだってよく分からない。
別にその辺に放置したって、何の問題もなかった筈だけど。こいつがどうなったところで、俺には関係のない話なんだけど。
こいつが気紛れで上杉を助けたように、俺も気紛れでこいつを助けてやりたかったのかもしれない。
人間の考えることは変わりやすい、なんて自分のことなのに客観的に思った。
同時に、甘さを捨て切れていない自分に苦く笑った。


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遠回しだけど政慶が好きだったり
慶次の名前全然出てないけど!
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