忍者ブログ

[PR]

2026年06月13日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

かいざーとぷろ

2010年08月23日
異世界に来てから、どれくらい経ったのだろう。
自分的にはあんまり時間が経っているとは思ってなかったのだが、見ての通りの暗い空。今が朝なんだか昼なんだか知るはずもない。
しかも周りは木、木、木。見渡す限りの森だ。そのお陰で、更に暗闇は強くなる。お陰でなんて言ってるが、本当は全然さっぱり全くもって嬉しいなどと感じた事はない。
暗いから目が慣れるのに時間がかかるし、足元は見えないし、先は見えないしで、もう全てにおいて暗闇の所為で見えないものが多すぎるのだ。
しかし、長い間この森を歩いていると、自然に暗闇に慣れてくる。今の亮は、もう完全に慣れているという感じで、足元を気にせずすたすたと歩いている。が、隣に居るエドはそうでもないようだ。所々で木の根っこに躓いたり、そのことで小さく声を上げたりしている。
その度に亮は立ち止まったり後ろを振り向いたりしていたが、エドに何故か「止まるな」と文句を言われてから、足を止めなくなった。その代わり、少しだけ歩くスピードを落として歩いた。


朝か夜かがわからないからと言って、眠気がない訳でもない。たくさん歩けばそれなりに疲れるし、疲れを解消しようと睡眠を求めるのは普通のことだ。
敵に居場所がばれてしまってはいけないからと、焚き火などはやらない。寒さ対策と姿を隠す為のマントで何とかする。
そんな日が続いていた。
休憩中、自身のデッキを弄っている時、隣から欠伸が聞こえた。隣をなんとなくちらと見ると、エドもこちらをじっと見ながら、口元を手でぐっと抑えていた。亮と目が合うと、すぐに逸らす。

「……眠いのか。」
「眠くない。」

間髪入れずの即答を、亮は少しだけ予想していた。
プロのデュエリストでプライドが高く、皮肉屋で大人のような態度。そんな彼は、何だかんだ言いつつ亮よりも年下だ。デュエルが強いとか弱いとかそういう次元の話じゃない。
人には弱みや隙を見せたりしないエドは、今は亮の隣でカードを弄りながら「眠くない」と言っておきながらも、その目はカードを映しておらず、半分だけやっと開かれている状態、という感じだ。
うとうととしながらも目を開けようとするエドに、亮は溜息を零した。

「……寝ろ。」
「寝ない。」
「見張りは俺がやるから。」
「今日は僕の番だ、僕がやる。」
「…もう一回言うぞ、今日は寝ろ。」
「だからっ、僕は」

エドの言葉を遮って、亮は自分のマントをエドにばさりと被せる。
なんなんだとマントの中で思ったエドは、今は視界に入っていない亮に文句を言おうとした。
「な」と言ったのと同時に、頭にポンポンと何かが置かれる。見なくても感触でわかった。

「何に意地を張っているのかは知らんが、無理に起きていると体を壊すぞ。」
「………うるさい。無理に起きてる訳じゃない………」

マントの中からくぐもった呟きが聞こえてきたかと思うと、途端に静かになった。暫くすると、エドの頭に置いた手に、少しだけ振動が伝わってきた。
漸く寝たか、そう思いながら亮は静かにマントを取り、現れた銀色の髪を撫でてみる。

寝ていれば本当にただの子供だ。十代たちより年下か。翔より頼りになりそうだが、翔の方が素直だな。
無意識にそう思っていた亮は、小さく小さく笑った。


――――――――

亮エドも好きです。
PR
Comment
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Trackback
トラックバックURL: