[PR]
2026年06月13日
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「キスしてやるよ」
2010年10月14日
・いつもより若干腐向け要素
・城海
・城海
後ろから何か気配がしたので、面倒くさそうにしながらも振り向く。
座ったままの自分を見下ろしていたのは金髪の青年で、彼はズボンのポケットに手を突っこんだまま、目の前の自分を無言でじっと見つめていた。
当の海馬は、自身を見下ろしてくる青年、城之内を同じように見つめ返す。しかし城之内はいつまで経っても動かずしゃべらず。暫くするとどうでもよくなったのか、海馬は城之内から目を逸らして手に持っていた本のページを捲り始めた。
無言で本を黙々と読む海馬と、それを無言でじっと見つめる城之内。
「……なあ」
漸く口を開いたのは城之内の方で、しかし海馬は華麗にスルー、本から目を離そうとはしない。それに機嫌を少しばかり損ねたのか、城之内は目の前の青年が座っている椅子をがすがすと小さく蹴り始める。
ちらりと後ろを見たときの海馬の顔は、ものすごく面倒くさそうな顔で。
それでも本を閉じてくれた辺り、話を聞いてくれる気にはなったようだ。
「何だ」と短く問うと、城之内は「……あー」と少し言い辛そうに頬を掻いた。自分から絡んできたくせに、こいつは何なんだと海馬は小さく思う。
「ちょっと、こっち向いてくれよ」
「何故だ」
「いいから、こっち向けよ」
少々言葉が荒っぽいのが気になったが、渋々と言った様子で海馬は体を後ろに捻る。椅子から立とうとしない事は、彼なりのちょっとした抵抗だったのかもしれない。
しかし、どうやら逆に好都合だったようだ。
いきなり口元を右手で抑えられ、流石の海馬も目を見開く。何をするという抗議も、抑えられたままの口ではもごもごと言葉にならずに消えた。
そのまま城之内をギッと睨んだが、不意に彼の顔が近付いてきた。彼は自身の右手の甲に軽く唇を当てる。それが終わると、口元を押さえる力が途端に弱まり、ゆっくりと離れて行った。
海馬は城之内を凝視する。別に怒っている訳ではない、寧ろ彼が何をしたかったのかが本気でわからなかったらしく、珍しく困惑しているようでもあった。
当の城之内は顔を真っ赤にしながら視線をあらぬ方向へ飛ばしていたが、
「…………キス………が、した、かった」
ぽつりと、絞り出すように呟いた。
「直接とか恥ずかしくて無理」という呟きも後から小さく聞こえて、ああだからか、と薄々と感付く。彼は自身の手の甲に口付けたのではなく、自分の手を挟んで俺の唇に口付けたつもりだったのだと。
「全くされた感じがしなかった」
「これでも俺すごい勇気だしたんだぞ。もっと俺を褒め称えろよ」
その程度でか、うっかりぼそりと呟いた言葉は残念ながら相手に届いていたようで、「何だとお前!」と情けない顔をしながら叫ばれた。
「じゃあお前できんのかよ」
「別に、したいなぞとは思わん」
ふん、と鼻を鳴らす海馬に対し、城之内はむっとしたような表情を隠そうとしない。この余裕そうな顔を本気で崩してやりたいと頭の中でもやもやと考えを巡らせていると、一つだけ良い事を思いつく。
「もう一回」という城之内に、海馬は正直驚きを隠せなかった。
手の甲越しでのキスでもあそこまで小さくなるヘタレ男が、もう一回を要求してくるとは。
軽い気持ちで「いいだろう」と了承すると、今度は口ではなく肩を掴まれた。
再び口元を押さえられるのだろうと踏んでいた海馬にとって、これは少し予想外で。
左手で前髪を掻き上げられる。普段は髪の毛で全くと言っていいほど見えない額が露わになり、そこからはもう想像通り、額に唇を押し当てた。
熱くて柔らかい感触がして、今までにない感覚に小さく動揺した。
ぺろりと額を舐められたのには本気で驚いたようで、ガタリと音を立てて椅子に座ったまま後ずさる(あまり後ろに下がることができなかったようだが)。
唇が離れた後に見た城乃内の顔は、これまでに無いくらい満足そうで勝ち誇っていた。
「お前のデコ可愛いなぁ、いつもデコ出してた方が可愛いんじゃねぇの」
「…貴様に言われても嬉しくもなんともないわ」
「説得力ねぇ」
今や左手を離してしまったため完全に元に戻った海馬の額の前髪を指でつつきながら、城之内は楽しそうにニッと笑った。悪戯を思いついた子供のような意地の悪い顔で、彼の頭をポンポンと叩く。
「キスしたくなったら、オレがいつでもデコちゅーしてやるぜ」
「誰がしたくなどなるかこの凡骨が」
目元を自身の指で押さえながら呟く。彼がほんのり赤くなっているのが可愛いなぁと思い、
「だから、説得力ねーっての」
髪の毛に小さく口付けた。
――――――――
意外と長くなった。城海は城之内が行け行け押せ押せで良いんじゃないかな!
ていうかここ何処だ!
PR
Comment