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そつぎょう(九龍)
部屋の荷物は片付けた。
ひとつ残らず片付けた。
大切な友人たちから貰ったものも、全部全部詰め込んだ。
俺は今日、ここから居なくなる。
楽しい楽しい学園生活、長いようで、短いようで。
充実していた、今までの人生で、これ以上はないくらい。
満足だってしている。
思い残すことだって、未練だってない。
……はず、だったけど。
何かが足りない。何かが足りない。なにがたりない?
……ああ、
明日は、学園の卒業式だ。
友達みんなと約束した。
「みんなで卒業しようね」って。
どけど、今日で俺はここを出て行く。
それが命令だったから。
それが、「宝探し屋」としての、俺の、生き方だったから。
「宝探し屋」にしては、俺は人間らしく過ごし過ぎたのかもしれない。
平凡な日常、笑いあえる日々、信頼できた仲間
ずっと憧れていた、一人の人間としての人生。
それが過ごせただけで、俺はこの上なく幸せで
もうこの世界で俺が一番の幸せ者なんじゃないかって
人を信じることが、苦しくて、苦しくて、辛くて、悲しくて
そんな俺に、信じる力をくれたみんなが、大好きで、大好きで、大好きで
そんな俺も、今日、みんなよりも早い卒業をいたします
もう、あの元気な女の子の声を聞くこともない
大好きだったピアノを聴くこともできない
好きだった、あの子の姿ももう見れない
いつだって隣に居た、アロマのにおいはもう俺には届かない
でも俺は泣かない。感情を表に出しすぎてはいけないからだ
感情を押し殺す。俺はもう、ただの「宝探し屋」に戻ったのだから
みんなみんな、ありがとう。
君達に、いつまでも幸せがあるよう、心から願うよ。
これが、俺の最後の悪足掻き。
――――――――
意味もなく暗くしてみたが、うちの葉佩って卒業する時絶対こうゆうこと考える。
…当初はこれ主皆かこうとしたんだけど、あれ?
俺の愛しい人
別に会いたかったわけじゃない。本当だ。
………本当だ。
俺から直々に来てやったのに、あのメタボ野郎は気持ち良さそうに昼寝をしていた。
テーブルの上には、すげぇ色のお菓子が何個か並べてある。
「…ダイエットしてたんじゃねーのかよ…。」
食っちゃ寝食っちゃ寝してるから太るんだっつーの。学習能力がねぇのかこいつは。俺の弟なのに。というか俺の育て方が悪かったのか?
ともかく、せっかく来たのにこいつが寝てるんじゃ意味がない。さっさと起こしてやろう。
…………と思ったけど。
この野郎、ほんとに気持ちよさそうに寝てやがる。
……俺には起こせない。別にそれはこいつを起こすのが可哀想なだけで、寝顔が可愛いからとかそういうのではない。断じて。
よし、寝てるのなら今のうちにいろいろ悪戯してやろう。こんなチャンス二度とない。
………こいつ、意外と髪の毛がさらさらだ。俺はちんちくりんなのに(自分で言ってて悲しくなる)…。髪がさらさら、浮かんできたのはムカつくワイン野郎。いやいや違う、あいつとこいつは何も関係無い。こいつは俺の弟だからな。ワイン野郎と似てるところなんて絶対ない。絶対。
この金髪加減は明らかに俺似だ。うん、間違いない。
(寝てれば、昔みたいに可愛いのに…。天使みたいじゃねーか…。)
起きてる時のこいつを思い出す。ムカつく思い出ばっか………
……あれ?今そんなに可愛くないっけ?
今だって、昔と変わらず可愛いじゃねーか?
頬をつついてみる。柔らかい。少しつねってみる。流石に「…う~…」と呻いた。
無意識に、笑いが零れた。可愛いなぁ、と思った。
「……何で独立したんだよ……。」
ぽつりと、頭に浮かんだことを口に出す。
そのことを考えると、後悔ばかりが押し寄せてくる。無性に我慢できなくなって、こいつの髪をわしゃわしゃと掻き回した。
起きて欲しかったのかもしれない。
しかし奴は起きる気配を見せず、すやすやと夢の中。呆れた。
「……無駄か。」
腕に付けた時計を見てみる。ここにきてそう時間は経っていないが、俺も割と忙しい。
しょうがないから、持って来てやったスコーンを冷蔵庫にしまってやることにした。
俺って本当に面倒見がいいな。
とりあえず、こいつに毛布をかけてやって帰ろう。
こいつと話したいこともあったけど、寝てるんじゃしょうがないし。起こすのもあれだし。
さらさらした金髪が、少し名残惜しかったけど。
最後に、その金髪に。
「おやすみ、俺の愛しいアルフレッド。」
――――――――
なんか妙にアーサーが偉そうなのはあれです、俺のアーサーだからです。
最後の方でしかアーサーが名前呼んでないのは仕様です。
最後はアルの髪にちゅーしたんです。分かりにくいけど。
楽しかった!