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短い話
ろぐろぐ
・海堂→桃城っぽい話(テニプリ)
・主→←完な話(P4)
馴れ馴れしく肩に腕を回してくるのが酷く腹立たしかった。
やめろ、俺はテメェと仲良しこよしなんてする趣味はねえ。乱暴に腕を振り払うと、そいつはさっきまでの馬鹿みたいな笑顔を潜めて、不満げに唇を尖らせた。
アイツは誰にでもそうやって接していた。でも俺はアイツのその態度が理解できず、ただただ馴れ馴れしいと思った。そもそも言うほど仲が良いわけでもないのに、どうしてそう軽々と接することが出来るのか。
理由なんて簡単で、俺がアイツと違って、そういうのに不馴れだからだった。なんだか負けている気がした。もともと何をするにも一人が好きな俺は、何かにつけて突っ掛かって張り合ってくるヤツのことが心底気に入らなかったのだ。だというのに、俺はどこかやつのことを意識せずにはいられなかった。
不満げな顔をした桃城は、次の瞬間パッと顔を輝かせて俺の横を駆けていく。ヤツの興味は既に俺から失せて、前方から歩いてきた越前に向けられていた。小さい体に勢い良くぶつかっていきながら、先程俺にしたように肩に腕を回していた。
越前は驚きながらも、俺のようにヤツの腕を振り払うことはなかった。桃城の顔が不満に歪むこともなく、彼らは会話を弾ませていた。
俺と桃城の間には、ひとつ線が引かれている気がした。
俺はヤツにライバル意識を持っていた。ライバルと言えるほど関係が対等なのかと聞かれたらわからないが、ただアイツにだけは負けたくないのだ。
でもアイツは、誰とでも張り合うし誰とでも高め合えるのだ。俺は一人を求めていたのに対し、ヤツは全てと繋がっていた。
俺はアイツの中で、自分が他のプレイヤー達といっしょくたにされていることが本気で腹立たしかったのだ。
桃城はまだ越前に引っ付いていた。部活の時間、シングルスやろうぜ、なんて会話を聞いた。舌打ちが漏れるのを止められず、俺はその場から離れた。
桃城と仲良くするのなんてごめんだが、桃城の中から俺が薄まってしまうのは嫌だとも感じていた。
俺は一体どうしたいんだろう。
20130721【テニプリ:海→桃】
海堂がなんだかんだ言いつつ桃先輩を認めてるのに激萌
――――
「…あ、俺そろそろ帰ります。先輩、あざっした」
「うん。あ、途中まで送ってくよ」
「あっいえ!気遣い無用ッス!」
「でも、暗いし危ないよ」
「先輩、女子じゃねんスから。俺、腕っぷしには自信ありますよ!」
知ってるよ。
でもそういうことじゃなくて。
完二は得意気に顔を綻ばせながら、そんじゃまた明日!と勢い良く俺に頭を下げ、元気に走って行ってしまった。
足元が暗いから転ぶなよ、なんてまるで母親のように制服をはためかせる後ろ姿に呼び掛けるが、俺が言いたいのはこんなことじゃない。
暗いから危ない、心配というのもないわけではないが、どちらかと言うと不審者に会ってもやられる前にやってしまうような猛者だ。被害者のはずが加害者として逆に警察のお世話になってしまうことは目に見えている。
ただ、もっと自己満足的な理由があって俺は彼を送りたいのだ。
俺が用もないのに完二を家に呼ぶのもその理由があったからだ。
うちに呼ぶと完二は嬉しそうに頷く。そもそも彼は俺に逆らうことを知らない。呼べば来るし、従順に付いてくる。そんな完二が、何故彼を送りたいという俺のささやかな願いだけを拒むのだろう。理由は何となくわかるが、納得はできない。
俺を慕いすぎるあまり、彼は俺に対してどこか遠慮がちだった。先輩の手を煩わせるまでもねえ!というやつだ。
そんな従順さが災いしたなんて。
陽介にだってそれなりになついていて、でも彼に対してはほとんど遠慮なんてしてなかった。羨ましいなあといつも羨望の眼差しで見ていた。陽介はそんな俺に気付いたけど、完二は全く気付いてくれなかった。
俺はただ、少しでも長く、一緒に居たいだけなのだ。
「今日こそ送っていく」
「え」
「頼むよ、送らせて。お願いだから」
頭まで下げてしまった俺は大層カッコ悪いが、ようやく完二も、少し狼狽えながら頷いた。俺の真意を汲み取れなくて、ちょっと困ってるみたいに眉を寄せていた。
俺と一緒に帰るのは嫌なのかなと不安が過ったりもしたが、杞憂で終わった。完二はよく喋るしよく笑っていた。俺も彼とは毎日のように話をしているのに、聞かせたいことが次から次へと浮かんでくる。
ああ、やっぱり。
やっぱりやっぱり。
「先輩といるとすんげえ楽しッス」
唐突にそう言われて俺の足が止まる。
でも完二は気付いてなかったみたいで、一歩一歩をゆっくりと歩みながら上を見ていた。
「先輩といるとな、もっと話してたいとか、もっと一緒にいたいとか、そう思うようになるんです」
「でも先輩はそうじゃねーかもしんねーから、あんまり俺に付き合わせんのもワリーなって思ってました」
「でも先輩、俺とよく一緒に帰ってくれるし、少しは俺の話、楽しんでくれてんのかなって嬉しいッス」
照れ臭そうに言った完二は、隣に俺の姿が無いことに気付いてようやく足を止める。俺と完二の距離は5メートル弱。彼の呆けた顔が暗闇で薄れているが、俺のアホ面も闇に紛れているのかと思うと安心した。
「なあそれってつまり」
遠慮してたとかじゃなくて。
なあそれってつまり、一緒にいたらもっと一緒に居たくなるってことだよな?
(もっと一緒に居たいから送らせてほしい俺と、一緒にいたらもっと一緒に居たくなるから送られることを拒んでいた彼。でも結局思いは同じなんだから、もう一緒に居ればいいじゃんか)
20130810【P4:主完】
珍しくちゃんと両想い