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2026年06月13日
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知りたくなかった痛み

2011年04月25日
ずきずき。ずきずき。

苦しいと感じる痛みに、ベッドから飛び起きた。
胸が痛む。何故痛いのかは分からない。
こんなことは初めてだ。生きてきた中でこんなに胸が痛むことなんてなかったのに。
どうにも止まない痛みに、顔を歪めた。

『どうした?』

何処からともなく聞こえた低い声。
すっ、と胸の痛みが引いていく。
手を胸元に当てて、擦ったり、軽く叩いてみたりした。痛みは完全に消えていた。
首を傾げながら不思議に思っていると、今度はその声に名前を呼ばれた。無視されたと思ったのだろうか、少しばかり怒気を含んだ声に小さく謝りながら、何でもないよと笑って返した。
苦しくて辛くて倒れてしまいそうな程痛かった胸の痛みは、彼の声を聞くだけで自然と治まる。
よく効く薬みたいなものだなぁ、と頭の隅で小さく思った。

黒髪の少女が、スタンの部屋に入ってきた。
「アンタ、珍しく一人で起きたのね」と驚いたような顔でそう言った。
彼女は、寝起きが悪いスタンをよく起こしに来てくれる。基本的に起こされるときは殴られたりするが、起こしてくれていることにはとても感謝しているのだ。
それなのに、今日は何故だか来て欲しくなかった。
いや、正確に言うと彼女に来て欲しくなかった訳ではない。彼女が腰にぶら下げている、細身の剣に、だ。
ベッドから身を起こしながらもボーっとしている青年を見て、ルーティは溜息をつきながら、何よ、起きてないじゃない、と呟く。
彼女の腰の細身の剣が、小さく笑った。
同時に、スタンの近くに立て掛けてあった剣も、小さく溜息をついたのだ。

『ルーティったら、何だかんだ言いながらもちゃんとスタン君の面倒見るのよね』
『全く、お前のその寝起きの悪さは何とかならんのか』

自分達にしか聞こえない声が頭に響く。優しそうな女性の声と、真面目そうな男の声。
どちらの声も聞いていて心地が良い。良い筈なのに、とても気持ち悪かった。
二人の会話は楽しそうだ。当然だろう、彼らは生身の人間だった時代からの知り合いで仲間で、恋人だった。
親しいことは当たり前なのだ。分かっているはずなのに、分かっているのに。

ずきずき。ずきずき。

「……ちょっとスタン。アンタ、顔色悪くない?」

虚ろに毛布を見つめていた空色の瞳が、漸くルーティを映す。
心配そうに此方の顔を覗き込んでいる少女は、とても優しい。彼女の剣である女性も、子供に言い聞かせるような声で『大丈夫?』と問いかけてきた。
嬉しかった。

「……ごめん。ちょっと、気分が悪い」

声が出なくて、搾り出すように呟いた一言。これだけで十分だったらしく、彼女達はわかったと言って部屋から出て行った。きっと仲間達に事情を説明しにいったのだろう。
部屋に残ったのはスタンと彼の剣、そして何とも言えない罪悪感。
最低だなぁ、と思った。
心配してくれたルーティに何も言わず、優しく接してくれた彼女の剣――アトワイトに、気持ちの悪い感情を抱いている自分が、嫌になる。
ずきずき。ずきずき。

『スタン』

ふっと痛みが治まる。
ああ、まただ。また彼の声で痛みが止まった。
何でなんだろう。どうして苦しくて辛くて気絶してしまいたくなる位の痛みが、彼の一言で消えてしまうのだろう。
堪えきれずに、目元を掌で覆った。

「ディムロス」

剣の名前を呼んだ。

「俺、自分が気持ち悪いよ」

そう呟くと、ディムロスは言葉に詰まったように無言になった。


――――――――

オチなしでgdgdなディム←スタ。とにかく嫉妬させたかっただけ。
幸せな話が書きたい筈なんだけどなぁ。
どうやら私はスタンを悲しませるか、病ませるかが好きなようだ。

因みに私はアトワイトのことはすっごい好きです。

それにしてもスタン受けが好きなのにどうしてこうもスタン片思いになるのだろう。
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