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君らの世界と僕の世界
なんか微妙なので追記に
「どうやら君は彼らをくっつけたいみたいだね」
部屋に居るのは銀髪の青年と仮面を被った少年、そして桃色の少女。
そして、世界樹の落とし子。
その視線は全員に向けられているというより、主に銀髪の青年に向けられている。当の青年達は、何のことを言っているのか分からないような表情だ。
仮面の少年だけは、何かを察したように目を逸らしたが。
「彼らって……誰と誰のことだよ?」
「分かりきっていることじゃない。スタンとルーティのことだよ」
いつもの歌うような口調は変わらない筈なのに、何か淡々と言葉を紡ぐ。
それは、普段から笑みを絶やさないその顔が笑っていないからそのように見えてしまうのか。珍しくも真剣な面持ちで目の前の人々を射抜くように見つめる。
銀髪の青年、ロニは僅かに眉を上げた。
確かに、少しばかり手引きをしていたかもしれない。彼らは、我等がリーダーであるカイルの実の両親なのだ(しかしそれはあくまで自分達の世界の話なのだが)。たとえ異世界だとしても、本人達を目の前にすると何か行動を起こさなければ、と言う急いた気持ちが目立つようで(この世界の彼らは何も進展していないようだったからだ)。
二人が一緒にならないと、この世界にカイルは生まれない。ロニにとってはカイルの存在が全てであり、彼がこの世界でも元気に誕生してくれたらそれでいいと思っていた。
それは共に居る少年、ジューダスと少女、リアラも同じ思いだ。
「あまり、あの二人を近づけて欲しくないな」
しかし、そんな小さな思いの大きな壁になるのがこの世界の救世主だなんて、一体誰が予想したか。
もちろん、その救世主の言葉はロニの反感を買う。
「何でだよ。あの二人にはくっついて欲しくないみたいな言い方しやがって」
「その通りだよ。僕はあの二人に恋人同士になって欲しくない」
彼の声は冷たくて、そしてやはり淡々と。キッパリと言い放った救世主にロニは怒りを隠さなかったが、今にも殴りかかりそうな彼にリアラが待ったを掛ける。
「そんなことを言うなんて、貴方にも何か理由があるんでしょう?それを私達に教えて」
救世主はちらりとジューダスに目線を移す。「君なら分かるでしょ?」とでも言いたげににこりと笑った。ジューダスはふいと顔を逸らす。
それをみた彼は、それでは、と呟いて部屋のドアをかちゃりと開けた。外から話し声と共に控えめな笑い声も聞こえてくる。
ここから現実を除いてごらん。ロニに向かってそう言った後、彼は無言で部屋の隅に立つ。
何なんだと思いながらも、ジューダスを除く二人が廊下に目をやった。
廊下には、見知った顔が二つ。
長い金髪を無造作に伸ばしている青年に、恥ずかしそうに話しかける黄緑を三つ編みにした少女。眼鏡の所為で少し見えにくいが、それでもはっきり分かるくらいに顔を赤らめている。
青年が太陽のように笑うと、彼女も向日葵みたいに笑う。幸せそうに笑う。
彼女にとって、彼と話すのが何よりも至福なのだ。
やがて、青年に連れられるように少女は後ろを付いていく。何処に行くのかは会話がはっきり聞こえないから分からないけど、それでもやっぱり、二人は楽しそうだった。
「どうだろう。君にはあれを壊すことが出来るの?」
静かな部屋に、彼の声だけが響いた。誰も何も言わない。
スタンとルーティ。彼らは自分達の世界では夫婦だ。ロニだって良くして貰っているし、なによりカイルを存在させてくれた。
スタンとフィリア。この二人については、よく分からない。同じ旅の仲間、という事までしか、誰も知らないのだ。
しかし、本当のところはどうだったのだろう。
この世界と同じように、フィリアがスタンに好意を寄せていたとは限らない。
この世界は『自分達の世界』ではなく『何処かも分からない異世界』。
「君達の世界では、フィリアは身を引いたんだろうね。友人達の幸せを願って」
「…あっちの世界でもフィリアさんがスタンさんのことが好きだったかなんて、わからねぇじゃねぇか」
「分かるさ。僕はディセンダーだから」
「だから、」
救世主は開いたままの部屋のドアの傍に寄る。
最後にこちらをちらりと見て。
「この世界での彼女の幸せを奪ったら、たとえ君達でも僕は許さないよ」
部屋から出て行った。
残された三人は呆然と突っ立ったままだ。
ジューダスが小さく肩を竦めたが、それ以外、声を発することすらなかった。
――――――――
スタフィリ好きとしては、お祭りゲーはなかなか優しくて嬉しかった思い出が