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2026年06月13日
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(テニプリ:二翼・獅子楽時代)

2013年08月25日
一年に一回あるかないか、それくらい珍しい確率で、俺と桔平は一世一代ともいえる大喧嘩をした。
理由は大したことではない、と俺は思っていたのだが、どうやら桔平はそうではなかったようだ。ただでさえ気性の荒い桔平が、更に更に不機嫌で暴力的になるほどに怒っていた。
俺に無意識に甘かった桔平は、謝れば大抵のことを許してくれたものだったが、今回は俺に謝ることさえも許してくれなかった。
桔平の顔が怒りに歪んだ刹那、俺の頬に鋭い痛みが走って、視界が揺れた。
そこで俺が無抵抗だったなら事態は丸く収まったかも知れなかったが、どうにも喧嘩慣れしてしまった体が反射的に、本能的に無意識に動いてしまったらしく、気付いたときには既に俺の固く握った拳は桔平の額を殴っていたのだった。 地面に背中から倒れた桔平を見て、周りで俺たちを見守ってたテニス部員たちがざわりと騒ぎ始める。あーあ、やってしまった。しかし俺は桔平への申し訳なさより、怒りの理由も知らされずいきなり殴られたことへの苛立ちの方が勝っていたのだ。
桔平は器用に立ち上がり、やはり容赦なく俺の顔にもう一発拳を入れた。その瞳は怒りで燃えている、というよりも、ぎらぎらと獣のように光っていた。九州の金獅子の名は伊達ではない。背中にぞくぞくと何かが競り上がってくるのを感じた。
でもやはり俺だってムカついてて、ズキズキと痛む頬をどうってことない風に無表情を崩さず、自分よりも細い腰に蹴りを入れた。

それからはもうただただ馬鹿みたいに殴りあっていた。周りの部員が俺たちを止めようと何度となく手を挟もうとしていたが、俺たちはそれを許さなかった。とにかくムカムカと胃の中が気持ち悪くて、でもどこか興奮していた俺は、このまま桔平を殴り殺したいとも思った。
桔平の頭突きがガツンと来て、ぐらりと目の前が霞む。頭ががんがんと痛む。なんとか耐えて足を踏ん張り、しかしあっちも相当ダメージがあったようで、覚束なく足を縺れさせていた。
ああ、チャンスだ、と俺は思った。 指は迷いなく桔平の首を目指した。絞めてやろうか、潰してやろうか、それとも折ってやろうか。そんなことを考えていたら、いきなり何人かに羽交い締めにされる。

「きさんら、いい加減にしなっせ!!」

どうやら弱りきった俺たちに周りもチャンスだと思ったらしい。大丸を筆頭に俺たちはあっという間に押さえられてしまった。
四人分の力を押し退ける力が出なくて、ぜいぜいと息を荒く吐くことしかできない。心臓がどくどくと鳴っていて、何故こんなにも自分が興奮しているのかわからないでいる。

「…離しよ、俺はムカついとう」
「千歳、落ち着き…」
「うるしゃーばい、俺は、桔平んこつ一回殺さんと気がすまん」

大丸が目を見開いて、冗談でもそぎゃんこつ言うんじゃなか、と少し怒ったみたいに言ったが、冗談に聞こえたなんて失礼な。
俺は本気なのだ。今なら桔平を殺せるなんて、考えただけで鳥肌が止まらない。



「殺してみろよ」



目の前で、俺と同じ四人に取り押さえられている桔平の低い声が、この空間に妙に響いた。
は、と息を吐く音を聴く。妙に熱が籠ったような息を吐くのだ、その男は。
目元に血を滲ませて、泥だらけで腫れ放題の頬。痛々しい傷、全て俺がやったのだ。
俺を見る瞳の、なんと鋭いことだろう。ぎらぎら、これから獲物でも捕りに行くかのよう。

「きさんに殺される前に、俺がきさんこつ殺しちやるばい」

桔平の目が俺だけを映している。
もしかして俺は、変な癖を持っているのかもしれないと今更思った。体の中から湧き上がってくる熱いものは、桔平の目に反応しているのだ。
その睨み付けただけで人を殺せそうな、その瞳が俺は好きだったのだ。
その目が屈辱に歪むのとか、絶望で虚ろになるとか、そういうのも見てみたいと思った。でもそれ以上に、いつだって強く気高い彼の目を、その瞳を見るたびに俺は、

お前に殺されてみたいなあと思ってしまうのだ。


――――――――

千歳はどっか病んでると俺得、ってだけの話です
あるサイト様のちとたち小説で、千歳に逆らえなくて脅される橘さんっていうのを見て、橘さんは自分の自尊心とかプライドとかズタズタに傷つけられたり、誰かに縋ってなきゃいけない生き方をするくらいなら、きっと少しの躊躇いもなく自害するんじゃないかなあとか思ってこの話を描いたんですが、あれ?
千歳は人を殺すなら桔平を、人に殺されるなら桔平にって感じでずっと桔平馬鹿でいるといいよ
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