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2026年06月13日
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(テニプリ:財→ユウ→コハ)
2013年09月02日
パラレルっぽい
・財→ユウ→(←)コハ
・ユウコハは大学生、財前は高校三年生になりましたなパラレルっぽい
・小春と別れちゃったユウジが財前と久々に会ってとかなんかそんなん
久しぶりやなぁ、と笑うユウジ先輩の目線は俺よりも低かった。
いつの間にか彼の身長を追い抜いてしまったのだ。
ユウジ先輩、相変わらずちっさいですね。今の俺ならそう言えるはずで、少し前ならユウジ先輩だって笑いながら生意気だなんだと俺を小突いていただろう。
「なあ、俺な、……小春に完全にフラれてもうてん」
そんなことを言われてしまっては冗談なんて言えなかった。ユウジ先輩は随分とやつれているように見えた。
俺は、そうですか、とか、まだ続いてたんですか、とかそういう言葉ばかりが浮かんで、慰めの言葉なんてこれっぽっちも出てこなかった。
久しぶりに見たというのに、見慣れた、いつまで経っても幼さが抜けないユウジ先輩の顔。笑っているはずなのに酷く歪んでいるようにも見えた。無理やり笑っているんだろうな。目も赤いし、さっきまで泣いていたのだろうか。
俺は胸がざわざわと騒ぐような気分だった。今ならどんな表情でもできる。感情が複雑に混ざり合って、どれが今の俺の本当の感情なのかがわからなくなっているからだ。
「何でスか」
何でアンタ、フラれたんスか。
自分で聞いて、すぐ後悔した。ユウジ先輩が顔を上げて、傷付いた顔をしたからだった。
この人、俺に話を聞いてほしくて呼び出したんじゃないのか。どうしてそんな表情をするんだ。
どうして俺を選んだんだろうか。謙也さんだって、白石さんだって、他にも選択肢はあったはずなのに。
ユウジ先輩は顔を真っ赤にして、まるで泣くのを我慢しているような表情を作る。アンタ仮にも二十歳前のいい大人だろうに、フラれたくらいでそんな簡単に泣いてしまうのか。
「小春な?頭めっちゃええから、俺とは違う大学に行ったのは知っとるよな?」
「もうな、お笑いテニスやめよう、って。学校も別々だし、これからは一人一人、自分の道を歩こうって、言われてん」
「聞いて驚きや?小春な、彼女できた、言うねん。お笑い好きでな、テニスも得意でな、めっちゃ可愛いらしいで?」
「小春の面白いところに惹かれたんやて。見る目ある子やん?、小春の良さに気付くなんて」
そこまで言うと、ユウジ先輩は大きく息を吸い込んだ。ぎゅ、と顔に力を入れて、口を一の字に結ぶ。睫毛をふるふると震わせて、いじらしいなんて俺は思う。
中学からの付き合い。二心一体のダブルスコンビ。傍目から見たらただの暑苦しいホモ。ただ演技だと分かっていたから、みんな笑うし、生暖かく見守っていた。
しかし、残念ながら演技だったのは小春先輩だけで、ユウジ先輩は途中から本当に小春先輩に熱烈なアプローチをしていた。知っているのはテニス部レギュラーだけだった。
ユウジ先輩はホモじゃあなかった。小春先輩以外に顔を近付けられると「キモイ!」と一蹴するし、エロ本にだって反応するような人だった。
「アンタ、小春先輩のことマジだったんスか」
「マジ。結婚したって良かった」
「小春先輩がアンタにマジやなかったとしてもっスか」
「………うん」
報われない恋なんてしても虚しいだけやないスか。
俺はその言葉を飲み込んだ。
四年前の俺なら、「心底キモいっスわ」なんて心無い暴言を彼にぶつけていただろう。男が男を好きになるなんて正気の沙汰じゃない、そう思ってただろう。いや、実際そう思っていたのだ。
それがどうやら俺まで彼らに毒されてしまったらしい。
「報われない恋なんてしても虚しいだけ」なんて、それは俺にだって言えることだった。
「小春のこと、本気やった。本気の本気で、俺が幸せにしたる思っとったんや。せやかて、小春がやめよう言うたらもうやめるしかないやんか。なんか、友情と恋愛?の境界線、みたいな?そんなんが、小春の中ではちゃあんと引かれとったんや」
俺はこう思う。
小春先輩は、なんだかんだ言いつつ誰よりもユウジ先輩が大事だったと思う。だからこそ、ユウジ先輩が世間で普通に生きていくためには小春先輩から突き放さなければいけない。ホモなんて需要ないし、非生産的だし、周りから白い目で見られるからだ。
言うなれば、臭い恋愛ドラマでよくある「私と一緒に居続けたら彼の幸せを奪ってしまうわ」という件だろう。
結局この二人は相思相愛だったのだ。何が幸せで何が不幸せなのか、二人の間では全く真逆の意見になって、今こうして亀裂になっている。
頭の回転が速い故に型に嵌る結末を選んだ小春先輩と、頭は悪いけど一途な故に周りを気にせず突っ走ったユウジ先輩。どっちが間違いとか正しいとか、そういうのはないんだろう。
「ええんや、小春が、幸せなら、それで、」
とうとうぼろぼろとユウジ先輩は泣きだしたわけだが、果たして俺はどうしてやるべきなのだろう。
みっともないと鼻で笑えばいいのか、鬱陶しいと吐き捨てればいいのか。ユウジ先輩の中での俺の対応と言えばこんなもんだろう。冷たくしてきたつもりはないが、素直な感想を吐き出すと必ずユウジ先輩や謙也さんに、鬼だの毒舌だのと言われてきた。
四天宝寺のノリの良さとテンションの高さは、元々俺に合っていないものだったのだから、しょうがないではないか。
優しい言葉とか、言えない。思いつかないし、そもそもそんなキャラじゃない。
しかし今、俺にキャラがどうこうと言える余裕はなかった。
泣いてしまったユウジ先輩の頭を掴んで、上を向かせた。目付きの悪い瞳に涙の幕が張っていて、俺の姿を映して揺れる。ぼろりぼろりと零れる滴を親指で拭ってやったら、今度こそユウジ先輩は顔を呆けさせた。
「俺、さっきあんなこと言いましたけど、小春先輩はユウジ先輩にちゃんとマジだったと思いますわ」
「へ、あ?」
「でも、俺も小春先輩に負けんくらい、アンタにマジでした」
「………えっ」
頭の悪いアンタにもわかるように単刀直入に言いますわ。
「俺、アンタのこと好きです」
今ならもしかしたら、アンタの心の隙間に入れると思ったのかもしれない。
今まで小春先輩しか見てなかったアンタの、その盲目な目の中に、一瞬でも何でもいい、俺の姿を映してほしかったのだ。
ユウジ先輩は可哀想なくらいアホ面をしていた。
「………財前お前、ええ子になったなぁ」
言われた言葉の真意をはかりかねて、眉間に皺を寄せてそれを訴える。
「うん、ありがとうなぁ」
「めっちゃうれしい。めっちゃうれしい。ありがとな、ごめんな」
「俺、小春限定ホモやねん。堪忍な」
そう、ユウジ先輩はホモじゃあなかった。
俺だって別にホモじゃない。ユウジ先輩限定である。
先程まで悲しみに歪めていた顔を、今は少し面白おかしそうに微笑ませているユウジ先輩。なんだか俺の一世一代の告白が伝わっていないように見えた。
ユウジ先輩は頭が悪かった。悪かったというより、弱かった。
(あ、まさか俺の今の告白、ネタとして受け止められたんとちゃう?)
そうでなければ、彼が俺の頭をこんなに微笑ましそうに撫でているわけがない。
ああ、なんだか、今すごくさめた気分だ。目が覚めたし、頭も冷めた。
俺は目の前のユウジ先輩を思い切り引き寄せて、力の限り抱きしめた。
もごもごと先輩がなにか言っているが、全く聞こえないふりをする。道行く人々が俺達を微妙な目で見るが、いっそホモだと思えばいい。
(報われない恋なんてしても虚しいだけ。全くその通りや)
俺はきっと今、世界で一番虚しい思いをしている。
――――――――
財ユウちゃんスキー!ただ財ユウでも必ずユウコハは前提です!
相変わらず何の捻りもない一方通行話です。オチがついてなくてすみません。もっと暗い話になる予定だったんですが思ったより暗くならなかった!関西弁ムズカスィ!
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