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2026年06月13日
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守りたい、守られてる
2010年11月11日
何が起こっているか、わからなかった。
だから、自分の腕の中で血塗れになっている自身の弟を見ても、何もできず全く動けず、ただ呆然と前を見据えていた。
どうしてこうなっている?
シェリアとソフィがこちらに向かってくる様子が目の端に映ったけど、そんなことさえどうでもよくて。
教官とパスカルがたった二人だけで敵に応戦しているのが見えて、「俺も行かなければ」という感情は不思議と沸いてこなくて。
ただただ、自分に体重を掛けて倒れてきている蒼い髪の毛を見つめるだけ。今のアスベルには精一杯。
何が起こったのかなんて、本当にわからない。
ただ、油断してたために後ろががら空きだったのと、自分の名前を叫ぶ声だけは鮮明に覚えている。
振り返った時には、自分の大切な人間は真っ赤に染まっていて。
自分を庇ってくれたのだと理解するのに時間は掛からなかったはずだが、アスベルの頭はその一瞬で思考を止めた。考える事さえ侭ならず、持っていた剣をいとも簡単に離して倒れる寸前の弟を受け止める。
今の彼は、戦い等どうでもよかった。
「アスベル退いて!」
漸くその声に気付いたかのように、はっと目を見開く。一体何回自分の名前を呼んだのだろうか、目の前の幼馴染は怒ったような表情をしながらアスベルを見つめている。
嫌だ、離したくない。離したら、こいつが、離れて行ってしまいそうで。遠くへ行ってしまいそうで。
馬鹿だと叫ばれた。貴方が変な意地を張っていると、その子は死んでしまう、と。
アスベルは弟を仰向けにして地面に横たえた。その向かいで素早く治癒術を掛け始めるシェリアとソフィをぼんやりと見つめながら、自身の腕が少なからず震えているのに気付く。
カタカタと小刻みに震えるそれを持ち上げると、掌が自分の血じゃない赤で真っ赤。アスベルの白い衣服も惜しみなく真っ赤に染まり、染み込んで赤黒く変色してきている。
ああ、嫌だ。こんなのは嫌だ。
自分を庇ってくれた大切な人は、脇腹に大きな穴が開いていて、貫かれていた。血がどくどくと止まらない。治癒術のおかげで若干穴は塞がりかけているが、彼の顔が青いのは変わらない。血の出し過ぎだ。
ひゅぅ、ひゅぅと薄い息の音が聞こえた。吸っているのにそのまま何処かへと通り抜けて行くような、それでも息をする音は彼がまだ生きているという証であり、同様に生気を吸われたようなアスベルの顔に表情が戻って行く。
弟の額についている血の跡を取ろうと思って、指で擦る。が、アスベルの手はお前が被害者なんじゃないかと思われるくらいに血がこびり付いていて、綺麗にするつもりが逆に額を汚してしまう。
その腕に、伸ばされた腕。
「にい、さん」
一言。たった一言、目の前の彼は呟いた。咄嗟に掌を掴んで、ぐっと握る。微かな温かさ。普段とは比べ物にならないくらいに下がっている体温。
でも、生きている。ちゃんと生きている。
「ヒューバー、ト」
「だい、じょうぶ、ですか?」
それはこちらの台詞だというのに。
守って貰ったのはこちらだというのに。
「何言ってんだ、お前は自分の心配をしろよ、俺、俺なんて」
「兄さんが無事、なら、それでいいんです」
良かった、と微かに微笑んだ。
守ってやるのは、俺だった筈なのに
また、守れなかったって
俺は、守られてばかりなのに
俺は、何一つ守ってやれていないのに
ぎり、と音がするくらいに、強く強く掌を握った。無意識のうちに零れた涙を、アスベルは拭う事をしなかった。
何時の間に弟は気を失っていたのだろうか、否、眠っていたのだろうか。目を瞑って、すぅ、と静かな息遣いが聞こえる。
今だ青白いままの彼の頬を指で撫でる。先程よりは、温かい気がした。
近くに落ちている自身の剣を拾い上げる。剣の柄がたちまち赤黒く汚れる。そんなことはどうでもいい。
向かってきた魔物を、音もなく一撃で仕留める。隠す気もなく垂れ流しにされているアスベルの殺気に気付いてか、マリクがこちらをちらりと見たが、溜息を一つついて何も言わなかった。
きっとマリクは気付いてくれた、アスベルのどうしようもなく抑えることができない感情に。
今回は、見逃してくれるようだ。
アスベルは剣を鞘に収めた。そうして、瞑っていた目を開く。
彼は再び剣を抜いた。
「今度は、俺が守る」
俺を守ってくれた、大切な大切な、俺の弟を。
――――――――
題名はOPの歌詞から。
アスベルって人を守るためなら自己犠牲も厭わないってイメージがあった。何故だ
とりあえず行きすぎた弟想い兄想い萌え
だから、自分の腕の中で血塗れになっている自身の弟を見ても、何もできず全く動けず、ただ呆然と前を見据えていた。
どうしてこうなっている?
シェリアとソフィがこちらに向かってくる様子が目の端に映ったけど、そんなことさえどうでもよくて。
教官とパスカルがたった二人だけで敵に応戦しているのが見えて、「俺も行かなければ」という感情は不思議と沸いてこなくて。
ただただ、自分に体重を掛けて倒れてきている蒼い髪の毛を見つめるだけ。今のアスベルには精一杯。
何が起こったのかなんて、本当にわからない。
ただ、油断してたために後ろががら空きだったのと、自分の名前を叫ぶ声だけは鮮明に覚えている。
振り返った時には、自分の大切な人間は真っ赤に染まっていて。
自分を庇ってくれたのだと理解するのに時間は掛からなかったはずだが、アスベルの頭はその一瞬で思考を止めた。考える事さえ侭ならず、持っていた剣をいとも簡単に離して倒れる寸前の弟を受け止める。
今の彼は、戦い等どうでもよかった。
「アスベル退いて!」
漸くその声に気付いたかのように、はっと目を見開く。一体何回自分の名前を呼んだのだろうか、目の前の幼馴染は怒ったような表情をしながらアスベルを見つめている。
嫌だ、離したくない。離したら、こいつが、離れて行ってしまいそうで。遠くへ行ってしまいそうで。
馬鹿だと叫ばれた。貴方が変な意地を張っていると、その子は死んでしまう、と。
アスベルは弟を仰向けにして地面に横たえた。その向かいで素早く治癒術を掛け始めるシェリアとソフィをぼんやりと見つめながら、自身の腕が少なからず震えているのに気付く。
カタカタと小刻みに震えるそれを持ち上げると、掌が自分の血じゃない赤で真っ赤。アスベルの白い衣服も惜しみなく真っ赤に染まり、染み込んで赤黒く変色してきている。
ああ、嫌だ。こんなのは嫌だ。
自分を庇ってくれた大切な人は、脇腹に大きな穴が開いていて、貫かれていた。血がどくどくと止まらない。治癒術のおかげで若干穴は塞がりかけているが、彼の顔が青いのは変わらない。血の出し過ぎだ。
ひゅぅ、ひゅぅと薄い息の音が聞こえた。吸っているのにそのまま何処かへと通り抜けて行くような、それでも息をする音は彼がまだ生きているという証であり、同様に生気を吸われたようなアスベルの顔に表情が戻って行く。
弟の額についている血の跡を取ろうと思って、指で擦る。が、アスベルの手はお前が被害者なんじゃないかと思われるくらいに血がこびり付いていて、綺麗にするつもりが逆に額を汚してしまう。
その腕に、伸ばされた腕。
「にい、さん」
一言。たった一言、目の前の彼は呟いた。咄嗟に掌を掴んで、ぐっと握る。微かな温かさ。普段とは比べ物にならないくらいに下がっている体温。
でも、生きている。ちゃんと生きている。
「ヒューバー、ト」
「だい、じょうぶ、ですか?」
それはこちらの台詞だというのに。
守って貰ったのはこちらだというのに。
「何言ってんだ、お前は自分の心配をしろよ、俺、俺なんて」
「兄さんが無事、なら、それでいいんです」
良かった、と微かに微笑んだ。
守ってやるのは、俺だった筈なのに
また、守れなかったって
俺は、守られてばかりなのに
俺は、何一つ守ってやれていないのに
ぎり、と音がするくらいに、強く強く掌を握った。無意識のうちに零れた涙を、アスベルは拭う事をしなかった。
何時の間に弟は気を失っていたのだろうか、否、眠っていたのだろうか。目を瞑って、すぅ、と静かな息遣いが聞こえる。
今だ青白いままの彼の頬を指で撫でる。先程よりは、温かい気がした。
近くに落ちている自身の剣を拾い上げる。剣の柄がたちまち赤黒く汚れる。そんなことはどうでもいい。
向かってきた魔物を、音もなく一撃で仕留める。隠す気もなく垂れ流しにされているアスベルの殺気に気付いてか、マリクがこちらをちらりと見たが、溜息を一つついて何も言わなかった。
きっとマリクは気付いてくれた、アスベルのどうしようもなく抑えることができない感情に。
今回は、見逃してくれるようだ。
アスベルは剣を鞘に収めた。そうして、瞑っていた目を開く。
彼は再び剣を抜いた。
「今度は、俺が守る」
俺を守ってくれた、大切な大切な、俺の弟を。
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題名はOPの歌詞から。
アスベルって人を守るためなら自己犠牲も厭わないってイメージがあった。何故だ
とりあえず行きすぎた弟想い兄想い萌え
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