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2026年06月13日
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(白恋)

2010年11月15日
学パロ!
会話が無いものに挑戦してみた





もう既に時間は午後六時を示しており、予定していた時間よりも少し遅く仕事を片付けてしまった。
腕の高価な時計を見ながら、整端な顔を少しだけ歪める。
別にこれから予定などは何も無いのだが、なんとなく、早めに帰るのもいいかなと思っただけだ。
小さく溜息をつきながら、椅子から静かに立ち上がり端に置いてあった鞄に、自身のノートパソコンや資料をさっさと詰め込む。必要最低限の物しか入れて来ないそれは、重いような軽いような、しかしそれも朽木白哉にとっては如何でも良いこと。
しかし、授業用に作った筈のプリントが一枚だけ見つからない。記憶を辿ってみると、そう言えば教室に置き忘れたか、思いながら再び小さく溜息をついた。
最近の自分は、少し気を抜いているのかもしれない。それとも気を張りすぎて疲れているのか。まだ作りかけのプリントを教室に置いたままにしておくのも如何かと思い、仕方無しに二階にある教室へ足を運んだ。
部活途中の生徒が階段を下りたり、または上がったりしてくる。時切鞄を持った数人の女子生徒から「さようなら」と言われ、ほんの小さく口を動かす。それだけで、生徒達は黄色い声援を上げて騒ぎ出す。

朽木白哉、眉目秀麗と言う言葉がこの世で一番似合うのではないかと言われる男。
男にしては長い睫毛と白い肌、つややかな黒髪に、育ちの良さを窺わせる言動、冷たい瞳。完璧を誇る人間。
それ故に人々から信頼され、頼られる存在。
彼自体は、生徒や同じ教員たちに全くと言っていいほど興味が無かった。
現に、先程の女子生徒が挨拶をして来なければ普通に素通りしていただろう。
彼はそういう人間だった。
何事にも興味を示さず、何時も、どんな時でも冷めた瞳で世界を伺う。


そんな彼が、苦手であったし憧れでもあった。妬ましかったけど敬愛していた。
そう思っていたのが、三組在籍中の阿散井恋次である。
只でさえ目立つ赤い長髪に、顔と身体に大きな刺青。授業は寝るわサボるわ、それなのに素行が悪い訳ではなく、不良だと言い切るには少々難しい位置に居る彼は、白哉の授業だけは絶対にサボらなかった。
聞いている訳でもないのだが。

白哉が教室に目を移すと、未だに明かりが付いている事に眉を顰める。この時間は部活中のはず、残っている生徒なぞ居る筈が、そう思いながら、彼は教室の戸を開ける。
目に入ったのは、鮮やかな赤い髪。
それの持ち主は、机に突っ伏したまま動かない。
肩が僅かに上下運動を行っている。如何やら寝ているようで、何故態々ここで寝る必要があるのかと呆れた。
教卓の上に一枚だけポツンと置かれているプリントを見つけ、素早く鞄の中に滑り込ませる。
そのまま帰っても良かったのだが、何だか、目の前で寝ている男が少しだけ気になった。

何時もは結えられている筈の長い髪は、束縛されないままに恋次の上に覆い被さるようにして投げ出されていた。解かれていた髪の毛を一房掬い上げると、予想していなかった感触に少し驚く。
意外にもさらりとしていて、指の間をすり抜けて行く。見かけによらず髪の管理が行き届いているな、と小さく感心してしまうほどに。
髪の毛を寄せながら、横から寝顔を覗き込んだ。
顔をまじまじと見つめる事は別に趣味ではない。しかし、目の前ですぅすぅ眠る姿が何か面白く思えて、阿呆面だと小さく笑う白哉は、端から見れば珍しいとしか言いようがない。
指でそっと頬を撫でる。堅いような柔らかいような、育ち盛りの青年の頬の感触。体温が温かくて、何度も何度も、ゆっくりと撫で続けた。
額に広がっている刺青を指でなぞる。なんだろうこれは、そう思いながら、指の先で何度も触れた。
起きたのか否か、恋次は小さく呻きながらもぞもぞと動く。が、すぐにその動きは止まり再び気持ち良さそうな寝息。起きた訳ではないようだった。

再び髪の毛にそっと触れる。
惜しむかのように、するりと指は離れた。
額に唇を寄せた。
瞼、鼻、頬。順に唇で触れ、最後にもう一回頬を撫でて、それから上着を掛けてやる。
自分がこの生徒にする行為にしては、少し行き過ぎているかも知れない。
そんな事を思いながら、白哉は教室から出て、戸をしっかり締める。暗くなった廊下でかつりと靴音を鳴らして一階へ続く階段に向かって歩き始めた。







恋次は起きた。白哉の足音が聞こえなくなる前に。
寝ていた、最初は。
起きたのは、白哉が己の額に口付けをしたときである。
額も瞼も鼻も頬も、触られただけの髪の毛も、全てが熱を含んでいるように思えて、恋次は両手で顔を覆う。
何故、あの教師はあんな事を、唯の生徒である自分に。……何故。
肩に掛けてあった黒いスーツの上着を、頭に覆い被せる。

「……何だってんだよ……」

がらんとした教室でぽつりと呟く恋次の顔は、髪の色に負けず劣らず、鮮やかな赤に染まっていた。


――――――――

何このデレッデレ兄さん気持ち悪い!(褒め言葉!
台詞を最後の最後に持って行く作戦成功!
兄さんが無意識で恋次を愛しく思っていれば萌えます。恋次が兄さんのこと気に入らないんだけど本当は好き!な展開も良いと思う!

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