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2026年06月13日
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俺はお前で

2009年11月08日
かくれんぼをしてた。
木の上は探せないからといって、木の上に隠れるのを禁止させられた。
そんなの、おもしろくない。
だったら、せめて探しにくい所に隠れてやろうと、森の奥まで来てしまった。
ここまで奥に入ったのは初めてだったから、ひとの気配がない、草や、木の揺れる音しか聞こえなくて、正直気味が悪かった。
さすがにキールもこんな奥までは探しにこない気がして、さっきの場所に戻ろうとした。
…したんだ、けど。
自分がどこから来たのかが、わからなくて。たくさんの同じような木、どこまでも変わらない道、どこを歩いているのかわからなくて、あれ、ここはさっき見たような。

(……ここ、どこ?)

辺りは暗くなってきた。もう、夕方なのだろうか。ファラや、他の奴の声も聞こえない。俺がいないから、先に帰ってしまったのだろうか。
途方に暮れた俺の頭に、ぽつりと、何かが落ちてきた。頭だけじゃない、顔にも、手にも、ぽつぽつと水の跡がついていく。次第にそれは強くなってきて、その場に佇むことしかできなかった俺はすぐにびしょびしょになった。
歩かなければ。でも、怖い。暗闇が怖い。
冷たい。寒くなってきた。歩かなきゃ。歩きたくない。怖いよ。
俺はその場にしゃがみ込んだ。膝に顔をうずめて、とにかく待った。
誰かが探しに来てくれるかもって、思って。父さんが来てくれるかもって、思って。
……父、さん……。

不意に、前から足音みたいな音が聞こえた。
ぬかるんだ土を踏んで、ぐちゃぐちゃという音が耳ざわりだったけど。
顔をあげたい。誰の顔かみたい。だけど、顔を上げるのが怖くて。

「……どうしたんだ?お前。」

声を掛けられたから、普通の人だって、安心した。
顔を恐る恐る上げる。顔を伏せていたから気付かなかったけど、もう辺りは真っ暗で。その人の顔は、暗いのと、雨で霞んで、見えなかった。
でも、暗闇でもわかる、真っ赤な髪の色で、俺はつい――

「と、う……さん……?」
「…父、さん?こんな森の中ではぐれたのか?」

父さんなわけがなかった。だって、父さんは一年前に―――
急に、目から涙が出てきた。目の前の人は驚いたみたいで、「どうした?」としきりに聞いてきた。でも俺は、何だかよくわからなくて、ずっと泣いてた。
そうしたら、その人は俺の手を握って、立たせてくれた。とても温かい。赤い髪のその人は、暗くてよくわからなかったけど、多分、笑ったんだと思う。

「男の子は、簡単に泣いちゃ駄目だって、俺の父さんが言ってたんだ。だからもう泣くなよ。」

それは、俺の父さんも言っていた言葉だ。急に元気が出てきたから、俺は頷いた。

「よし、俺が送ってやるよ。うちどこだ?」
「あ、ラシュアン…。」
「ラシュアン?俺もそこに住んでるんだぜ。なら簡単だな。」

その人の言う通り、五分もしないでラシュアンについた。
俺がとりあえずファラの家に行こうとしたら、その人はまた森に入っていこうとしてた。

「あ…アンタは、うちに帰らないのか…?」
「俺は、今日の晩飯取りに行かなきゃなんねーからな。またな。」

その人が腰に剣を挿していたのに、今気付いた。手を振ったら、振り返してくれた。その後ろ姿がとてもかっこよくて、俺は見えなくなるまでずっと見つめてた。
ファラのうちに入ったら、ファラが泣きながら俺に抱きついてきた。どうやらずっと心配してくれていたらしい。俺は、あの人に助けられたことを話した、ファラは「じゃあ明日お礼を言いに行こうね。」と言っていた。
どこに住んでるかを、聞くのを忘れたけど。

あの赤い髪、どことなく父さんに似ていたなと、思った。
俺も大人になったら、あんな風になれるかな。
そう思って、俺はあの人が握ってくれた手を見つめた。


――――――――

もう一つは別バージョンです。
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無意識すぎる二人

2009年10月21日
「ファーラーぁ、腹減ったぁー。」

弱弱しい声で、リッドが訴える。それと共に腹も鳴っているので、説得力はある。
ファラは苦笑すると、「ちょっと待っててね。」と言って宿屋の厨房を借りに行った。
宿屋の飯を頼んで食えばいいのだが、

「今はファラのオムレツが食いたい。」

というリッドの希望をファラは快く引き受けてくれた。
リッドは本気で腹が減っているようで、テーブルに一人座ると、力無くだらんとテーブルに突っ伏する。
「ファラーまだー」と呟いていた。

待つこと十分。
ほとんど萎れているリッドの鼻に、いつもの良い匂いがふわりと届いてきたことで、リッドはガバリと顔を上げる。ファラが一人分(にしては量が多い。リッド限定での量だろうか)のオムレツを運んでくる。
「おまたせー!」と言って、ことりとテーブルに皿を置く。リッドは用意していたスプーンを構えると、しっかりと「いただきます」と手を合わせると、妙に大きい一口を食べ始める。
リッドはさっきの萎れた顔が嘘のような笑顔で、オムレツをどんどん口に運ぶ。
向かいの席で、ファラがニコニコしながらリッドの様子を見つめていた。

「リッド、おいしい?」
「すっげぇうめぇ!!流石はファラのオムレツだぜ!」
「そっか。良かった。」
「ファラのオムレツなら、俺毎日食えるよ。全然飽きる気しねぇ。」
「もー、大袈裟なんだから!」

くすくすと笑うファラに、リッドも嬉しそうに笑う。早くも、あの大盛りのオムレツを平らげてしまった。

「あーうまかった!ごちそーさんー。」
「はーい、お粗末さまー。」

皿を片付けようと立ち上がったファラに、リッドは向き直る。

「サンキューファラ!これからもずっとオムレツ作ってくれよな!」
「うん、もちろんだよ!次はもっと美味しく作るね!」
「よっしゃ、楽しみにしてるぜ!」

リッドはそう言うと立ち上がって、珍しくファラの手伝いをすると言って、共に厨房に消えた。




その様子を途中から見ていたキールは、頭を抱える。

「あの二人の会話は、あれで自然なのか…?」

ストレートすぎて逆に清々しいと言った方がいいだろうか。
きっとあの二人は、自分達が一緒に居ることは当たり前だと思っているのだろう。今の時点では、離れることも考えていないと感じる。
あの二人はきっと一生あのままなんだろうな、と、キールは溜息をついた。


――――――――

リファラは日常が熟年夫婦です。

君のため

2009年10月08日
今日はもう遅くなったから、ここでキャンプをとることになった。

「ファーラ!メルディがゴハン手伝うよー!」
「あ!メルディありがと!じゃ、お鍋見ててくれる?」

はーい!と返事をすると、メルディは軽やかに鍋の方へ移動する。
その間に、ファラは玉葱に取りかかる。
鍋からはいい香りが漂っている。今日のゴハンはなんだろなー、とメルディはウキウキしながら自身の役割を果たしていた。
しばらくすると、鍋がコトコトと音を立て始めた。ファラに「混ぜておいてね!」と言われたので、鍋の蓋をそっと開ける。野菜スープのようだ。少しだけ、とお玉で味見してみると、煮込まれたたくさんの野菜は柔らかく、味もしっかり付いている。

「バイバ!すっごく美味しいんだな!」
「そう?メルディにそう言ってもらえてよかった!」

ファラは料理が上手い。
メルディも、自分は料理ができる方だと言っていた。できる方と言うか、上手い部類に入る方だ。
それでも、ファラの上手さには敵わないと、思っていた。素早い動きとか、慣れた手つきとか、決まった野菜の大きさとか。メルディも、ファラの料理の腕に憧れている。
メルディはふと思う。

「なーファラ。」
「ん?何?」
「ファラは、なんで料理うまいか?メルディ、羨ましいよー。」

ファラは一瞬きょとんとしたが、すぐににこりと笑う。

「そんな事無いよ、メルディだって料理上手いじゃない。」
「ううん、ファラ、すっごく上手!アコガレ!」
「ありがと、何だか照れちゃうなぁ。」

そのとき、ファラも今まで気にしていなかったことが思い浮かぶ。

(私、いつからこんなに料理をするようになったんだっけ?)

考えたことも無かった。
気がついた時には、もう料理をしていた気がする。でも、始めた理由はちゃんとあった気がする。
……何だっただろうか?

料理は何時から初めた?初めての料理は何だった?何でオムレツが一番の得意料理になった?
初めて料理を食べてくれた人は、誰だった?
いつも私の料理をする姿を、見守っていたのは………?

ファラの手が止まる。それを見たメルディが、不思議そうにファラを見た。

「ファラ?」
「……メルディは、料理が上手くなりたい?」
「なりたいよ!料理うまくなって、好きな人にいっぱい作ってあげたいよ!」

嬉しそうに言うメルディをみて、ファラの頭に一人の人間が浮かぶ。
素直じゃない、秀才の幼馴染の姿。
そう思ったら、自然と笑いが漏れる。きっと彼なら、メルディの作った料理に文句を言いつつ、全部しっかり食べるだろうと思いながら。

「そうだね、喜ぶかもね。」
「はいな!ファラは、誰のために料理作るか?」

誰の、ために?
私は誰のために料理を作ったのか?覚えたのか?さっきの自身との問答が、再び繰り返される。
考えれば考えるほどわからなかった。

「やっぱり、リッドのためか?」

メルディの嬉しそうな声に、ファラはハッとする。
リッド?

料理は何時から始めた?―――リッドがお腹が減ったって言ってたから、作ってみたんだ。
初めて作った料理は何だった?―――それがオムレツだったんだ。
何でオムレツが一番の得意料理になった?―――リッドがそのオムレツをおいしいおいしいって言って食べてくれたから、もっと上手くなるためにたくさん練習したんだ。
初めて料理を食べてくれた人は?―――紛れも無く、リッドだった。お父さんでも、お母さんでもなく。
いつも私の料理する姿を、見守っていてくれたのは?―――いつもいつも、同じ人。
料理を覚えたのは何で?―――リッドに、もっと食べてもらいたかったから。

私は誰のために料理をするの?―――そうだ。ただ一人の、リッドのため、に。

「……ふふっ、そっか、リッドのためかぁ…。」
「ファラ?」
「ね、メルディ、料理が上手くなる隠し味、教えてあげる。すっごく簡単だから。」
「ワイール!ほんとか?!」

メルディは飛び上がって喜んでいた。そして、ファラにキラキラとした視線を向ける。

「隠し味って、何ー?ソディとは違うのか?」
「うん。作ってあげる人への、愛情だよ。」

簡単でしょ?とファラが言うと、メルディは最初キョトンとしていたが、すぐに満面の笑みで頷いた。


――――――――

ファラとメルディの話でした。いつものごとく長くなった…!なんかリッド←ファラって感じ?
ファラの初めての料理がオムレツとか、初めて食べてくれた人がリッドとか、全部捏造です。でもあながち間違いでもないと思うんだ…。そういうリファラ萌え。
ちなみにこの頃のメルディは、まだキールのことを意識しているわけじゃありません。でてないけど、キールはメルディのことを意識してます。寧ろ好きになってます。
おまけー! "君のため"

あいつには、俺が居るから

2009年09月20日
「それじゃあ、ありがとうパオロさん!」

にっこりと笑いかけられると、そいつは分かりやすいくらい顔を赤らめていた。

ああ、こいつはファラが好きなんだ、と。

確かに、ファラは気がきく上に(無鉄砲に突っ走っていくけど)、困ってる奴を放っておけない(面倒に巻き込まれていくけど)性分だから、その優しさに好意を寄せる奴もいるんだろうな。

やめとけ、そいつは何も考えてないだけだ。勝手に突っ走っていくし、俺の意見全無視だし。暴力的だし自分勝手な所もあるし。

…………

お前には合わねぇよ。ああ、絶対合わない。
お前にはファラを止めることはまず不可能だからな。
これは俺が長年経験してきたから、直感でわかるんだよ。

ファラを止められるのは、俺しかいねぇんだから。


――――――――

あれ?意味不明。
しょーがねぇなぁ、なリッドが書きたかっただけ…?

まあ簡単に言うと、ファラに釣り合うのは俺だけだからお前は諦めろ。
っつーことですね(伝わりにくい!
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