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2026年06月13日
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君のため

2009年10月08日
今日はもう遅くなったから、ここでキャンプをとることになった。

「ファーラ!メルディがゴハン手伝うよー!」
「あ!メルディありがと!じゃ、お鍋見ててくれる?」

はーい!と返事をすると、メルディは軽やかに鍋の方へ移動する。
その間に、ファラは玉葱に取りかかる。
鍋からはいい香りが漂っている。今日のゴハンはなんだろなー、とメルディはウキウキしながら自身の役割を果たしていた。
しばらくすると、鍋がコトコトと音を立て始めた。ファラに「混ぜておいてね!」と言われたので、鍋の蓋をそっと開ける。野菜スープのようだ。少しだけ、とお玉で味見してみると、煮込まれたたくさんの野菜は柔らかく、味もしっかり付いている。

「バイバ!すっごく美味しいんだな!」
「そう?メルディにそう言ってもらえてよかった!」

ファラは料理が上手い。
メルディも、自分は料理ができる方だと言っていた。できる方と言うか、上手い部類に入る方だ。
それでも、ファラの上手さには敵わないと、思っていた。素早い動きとか、慣れた手つきとか、決まった野菜の大きさとか。メルディも、ファラの料理の腕に憧れている。
メルディはふと思う。

「なーファラ。」
「ん?何?」
「ファラは、なんで料理うまいか?メルディ、羨ましいよー。」

ファラは一瞬きょとんとしたが、すぐににこりと笑う。

「そんな事無いよ、メルディだって料理上手いじゃない。」
「ううん、ファラ、すっごく上手!アコガレ!」
「ありがと、何だか照れちゃうなぁ。」

そのとき、ファラも今まで気にしていなかったことが思い浮かぶ。

(私、いつからこんなに料理をするようになったんだっけ?)

考えたことも無かった。
気がついた時には、もう料理をしていた気がする。でも、始めた理由はちゃんとあった気がする。
……何だっただろうか?

料理は何時から初めた?初めての料理は何だった?何でオムレツが一番の得意料理になった?
初めて料理を食べてくれた人は、誰だった?
いつも私の料理をする姿を、見守っていたのは………?

ファラの手が止まる。それを見たメルディが、不思議そうにファラを見た。

「ファラ?」
「……メルディは、料理が上手くなりたい?」
「なりたいよ!料理うまくなって、好きな人にいっぱい作ってあげたいよ!」

嬉しそうに言うメルディをみて、ファラの頭に一人の人間が浮かぶ。
素直じゃない、秀才の幼馴染の姿。
そう思ったら、自然と笑いが漏れる。きっと彼なら、メルディの作った料理に文句を言いつつ、全部しっかり食べるだろうと思いながら。

「そうだね、喜ぶかもね。」
「はいな!ファラは、誰のために料理作るか?」

誰の、ために?
私は誰のために料理を作ったのか?覚えたのか?さっきの自身との問答が、再び繰り返される。
考えれば考えるほどわからなかった。

「やっぱり、リッドのためか?」

メルディの嬉しそうな声に、ファラはハッとする。
リッド?

料理は何時から始めた?―――リッドがお腹が減ったって言ってたから、作ってみたんだ。
初めて作った料理は何だった?―――それがオムレツだったんだ。
何でオムレツが一番の得意料理になった?―――リッドがそのオムレツをおいしいおいしいって言って食べてくれたから、もっと上手くなるためにたくさん練習したんだ。
初めて料理を食べてくれた人は?―――紛れも無く、リッドだった。お父さんでも、お母さんでもなく。
いつも私の料理する姿を、見守っていてくれたのは?―――いつもいつも、同じ人。
料理を覚えたのは何で?―――リッドに、もっと食べてもらいたかったから。

私は誰のために料理をするの?―――そうだ。ただ一人の、リッドのため、に。

「……ふふっ、そっか、リッドのためかぁ…。」
「ファラ?」
「ね、メルディ、料理が上手くなる隠し味、教えてあげる。すっごく簡単だから。」
「ワイール!ほんとか?!」

メルディは飛び上がって喜んでいた。そして、ファラにキラキラとした視線を向ける。

「隠し味って、何ー?ソディとは違うのか?」
「うん。作ってあげる人への、愛情だよ。」

簡単でしょ?とファラが言うと、メルディは最初キョトンとしていたが、すぐに満面の笑みで頷いた。


――――――――

ファラとメルディの話でした。いつものごとく長くなった…!なんかリッド←ファラって感じ?
ファラの初めての料理がオムレツとか、初めて食べてくれた人がリッドとか、全部捏造です。でもあながち間違いでもないと思うんだ…。そういうリファラ萌え。
ちなみにこの頃のメルディは、まだキールのことを意識しているわけじゃありません。でてないけど、キールはメルディのことを意識してます。寧ろ好きになってます。
――――――――

「おまたせー!御飯だよ!」
「やっとかよ!すげぇ腹へって死ぬところだったぜ!」

野菜スープの鍋と、ファラが作ったオムレツを見ながら、リッドは死にそうな顔を一気に輝かせた。

「ごめんごめん。メルディにも手伝ってもらったんだけどね。」
「お前も手伝ったのか?!変な調味料入れたりしてないだろうな?」

キールに言われ、メルディはむっと頬を膨らませる。

「入れてないよー!キール、失礼!」
「何でも良いよ、さっさと食おうぜ!」

リッドはファラにウキウキとした表情を向ける。ファラは苦笑しながら、皿にスープを盛りつけ始める。
リッドに大盛りを渡すと、他の人にスープを渡す前にがっつき始めた。
行儀悪いよ!とファラが注意すると、しかしリッドは聞いていないようだ。にっこりと曇りのない満面の笑みを顔に出す。

「うっめぇ!!やっぱファラの料理はすっげぇうめぇな!」
「もう、大袈裟だよ。」

そういいながら、ファラの顔は心なしか顔が綻んでいる。キールも一口飲むと、ふっと笑った。

「そうだな。おいしいよ。」
「うん、ありがと!でもそのスープね、メルディがちょっと改良しちゃったんだよ。」

ファラが言うと、キールは急にむせ始めた。リッドは特に驚かず「そうなのか?」と再びスープを飲み始める。
メルディはそんなキールを見て、にっこりと微笑んだ。

「キール、おいしいか?メルディも一緒に作ったんだよー!」
「おっまえ、変な物入れたりしてないって言ったじゃないか!!」
「入れてないよぅ!ちょっと味濃くしただけ!……おいしくないか?」

少ししゅんとしたメルディを見て、キールは慌てて首を振った。

「違う!不味いわけじゃなくて、寧ろおいしいし…。」

必死に弁解するキールの隣で、リッドはにやにやと笑っていた。
ファラも、キールの予想通りの反応を見て思わず笑いが零れた。それを紛らわすように、ファラはリッドにオムレツを手渡す。リッドは待ってましたとばかりに、オムレツを食べ始めた。

「ファラのオムレツは、世界一だと思うよ。すっげーうまいし。」

さっきから「うまい」しか言っていないリッドは、しみじみとファラのオムレツにスプーンを付ける。すると、何故かメルディが得意そうに口を開いた。

「ファラのオムレツがおいしいのはあったり前なんだよ!」
「お!メルディもわかるか、このオムレツの美味さ!」
「はいな!なんてたって、ファラのリッドへの『愛情』がいーっぱいつまってるからな!」
「ぶっふぅ!!」

リッドは盛大に噴き出し、キールも咳き込み始めた。メルディはとても得意そうだ。ファラは一気に顔を赤くする。

「ちょ、ちょっとメルディ!」
「あ、ああああいあい愛情とか…何言ってるんだお前?!」
「だってファラが『相手への愛情が「メルディ言わないで!言ったら効果がなくなっちゃうんだよ!!」

メルディは「バイバ!そーなのか?」と言って、口を閉じる。
ファラはふぅととりあえず息をついたが、リッドが背中を向けている。

「リッド?どうしたの?」
「…な、なな何でもねーよ……。」

リッドの顔が真っ赤だったのに、ファラは気付かなかった。


――――――――

おまけも長!!
リッドってファラ関係だとピュアすぎて可愛いです。キールもピュアっ子なので可愛いです。
一番男前なのはメルディかもしれん。
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