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2026年06月13日
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戦場にて

2009年12月06日

西の戦場。テノスへ行くには、この戦場を通らなければならない。
全体がピリピリしている。殺気立っているのが、空気を通して伝わってくるくらいだ。少しでも油断すると、きっとすぐに殺されてしまうのだろう。
今現在進行形で傭兵の職に就いているリカルドは、戦場の事を一番知っているし、経験も豊富だ。危険だということも、既に身を持って理解している。
だからこそ、リカルドの言葉に従わなければならないときだ。
一行は、慎重且つ素早く、戦場を移動する。先頭は、言わずもがなリカルドだ。

「ルカもイリアも、俺の後ろにいとけよ。俺が守るからな。」
「あ、うん。ありがとう、スパーダ。」
「あらぁ、まぁたカッコつけちゃって~。」

気を付けろと言われながらも、ここまでピリピリしていると逆に盛り上げたくなってしまう。イリアのからかいに乗ってしまったスパーダが「カッコつけてねぇし!!」と叫んだところ、見事に三人はリカルドに怒られた(ルカはとばっちりという何とも哀れな理由だったが)。
アンジュが窘めて少しはリカルドの緊張も緩まったようだが、未だにリカルドの顔は険しいままだ。

「リカルドさんの言う通り、ここは一応戦場なのよ?天に昇りたくなかったら、きちんと静かにしましょうね。」

というアンジュの言葉で、一行は漸く無言になった。
その沈黙が、異常に騒がしいこのパーティにとっては非常に重いものだった。
エルマーナは黙っているのが苦手だ。暇でしょうがない。ぼーっと空を見上げる。早くこっから出れへんかなぁ、と気楽に考えていた。
戦場では、この油断が命取りだと、言われていた筈なのだが。

「―――全員、伏せろ!」

意識を飛ばしていたせいで、反応が遅れた。たくさんの崩れた瓦礫の陰から、ライフルを持った軍人の男が姿を現し、こちらに銃口を向けている。ビクリと体を強張らせてしまい、動かない。
人間、一番の恐怖に達した時、体が動かなくなってしまうというのは本当のことだったんだ、という悠長なことを考えている場合ではなかった。
まずい、撃たれる―――!!

「―――チッ!」

短い舌打ちが聞こえたかと思うと、リカルドは素早く立ち上がると、エルマーナの小さい体を抱えて倒れる。間一髪で、撃たれた弾はリカルドの肩をすれすれで通り抜けた。
イリアが拳銃を取り出し、伏せたまま軍人の男に弾を撃ちこむ。弾は肩に当たり、怯んだ男の体に、スパーダが剣を突き刺した。男はその場に崩れ、動かなくなる。
リカルドが体を起こす。土がついて汚れてしまった黒いジャケットよりも、エルマーナが無事かどうかを確認する。呆然とリカルドにしがみついているエルマーナは、顔に少し土の汚れが付いているだけで、怪我はないようだった。
安心と同時に、怒りが込み上げてくる。

「………戦場では、油断が命取りだと言った筈だが?」
「………ゴメンナサイ………。」

怒りが顔に表れているリカルドに、エルマーナは素直に謝る。心なしか、声は震えているように聞こえた。
それはもう大声で説教してやりたいところなのだが、アンジュに「もう、無事だったんだから良かったじゃないですか。」と窘められたのと、俯いたままのエルマーナを見て、自然に怒りが収まってくる。
溜息をつくと、目の前のエルマーナの頭を撫でながら、「無事でよかった。」と小さく呟く。
エルマーナを立ち上がらせると、再び一行は進み始めた。
エルマーナは、リカルドに腕を引かれながら。

「…なぁ、おっちゃん。」
「なんだ。」
「うちな、さっきのこと、生まれて初めてごっつ怖い思ってなぁ。体が動かなかったんや。」
「…そうか。」
「…ホンマごめんな。うち、次から気ぃつけるから。」
「そうしてくれると助かる。」
「せやなぁ、おっちゃんいんとうちさっき死んどったからなぁ。もう怖い思いはこりごりやわぁ。」
「……だが…。」
「ん?」
「またお前が危なくなったら、俺が助けてやるから安心しろ。」
「……おおきに、おっちゃん。」


――――――――

リカルドさんだったらエルくらい軽々と持ち上げられるよね。
リカエル好きすぎ病ですどうしよう。

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