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2026年06月13日
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隊長と副隊長(ギンとイヅル)

2010年12月02日
何故か僕は凹んでいる。
凹み過ぎて何故凹んでいるのかもわからないほどに、僕の気持ちは沈むに沈みまくっていた。
肩にずっしりとした重みを感じる。肩が重ければ気も重く、ついでに僕の表情も見る人が思わず顰め面を見せるくらいに酷く暗いもので、それは自分が良く分かっていることだった。
それでも僕の唯でさえ幸が薄そうな顔は生まれつきで、実際幸は薄いんだけど、まあそれは全部あの人の所為じゃなかなぁと頭の隅っこで思う。幸が薄いのは僕の日頃の行いの所為かも知れないが(でも僕は日頃悪い事なんてしてないし、寧ろそういう事をしているのはあの人の方で)、基本的にあの人が元凶の種を撒いて我関せずみたいに客観的な態度でいる所為だと思う。思うじゃない、絶対だ。
本日何度目か分からない溜息を零す。肺の中の空気が全部無くなるくらいの、重くて長い溜息。
不意に後ろに近付いてきた霊圧に、更に気が重くなった。

「なんや、酷い顔やねぇ。どないしたん、イヅル?」

のろのろと後ろを振り向くと、ああ思った通りの人。大体僕がこの人の霊圧を間違える訳が無い、でも今は正直外れて欲しかったかなぁとも感じる。
いつも閉じられている狐を思わせる眼と、常に端が吊り上がっている口。それにしても見れば見るほどこの人は狐に似ている気がする。隊長と同じような服を着た狐の姿を思い浮かべて、少しだけど肩の重みが減ったような気分になった。

「この世の終わりみたいな顔しとるよ。イヅルのネガティブオーラは半端ないやんなァ」
「…いえ、何でもありません」
「お?急に顔が綻んだなァ、ボクが来た事がそないに嬉しかったんや?」

ケタケタと笑う目の前のお人は、多分冗談でそういう事を言ってるんだと思う。この人は何を考えているのか分からない。だから何処までが真面目で何処までが冗談なのか、正直判断し難い。僕個人の意見ではこの人自体が冗談の塊だとも思っているが、そんなこと口が裂けても言える訳が無い。
僕が何も考えずにじっと隊長を見ていると、銀髪を揺らして首を傾けた。

「イヅル、干し柿食わへん?」

行き成りそう問われて、驚いて反応が遅れた。
この人の右手に少し膨らんだ袋が握られていた事に、今更気付く。
今までこれを収穫していたのだろうか。この人は干し柿が好きすぎて自分用に育てるくらいで、それを人に配っているのを偶に見かける(主に乱菊さんとか。多分朽木隊長には嫌がらせ目的でやっているんだと思う)。
けど、僕は生憎干し柿が嫌いだ。残念な事に嫌いなんだ。

「お気持ちは有難いのですが、僕は、その、干し柿はあまり好みません…」
「何やそうなんか?それは残念やなぁ」

隊長は珍しく、本当に珍しく残念そうに眉を下げる。あの、隊長が。

「最近イヅル元気無いかて、これ食べて元気だして貰お思たんやけど」

今なんて言ったのか、最初僕は自分の耳を疑った。
この人が、僕の心配をしたとでも言うのか?何を考えているかもわからず、いつも人を挑発しているかの如く笑みを絶やさないこの人が、副官である僕を心配してくれてる…
凹んで沈んで暗い気持ちだったその時の僕は、その人の言葉にうっかり感動してしまった。僕は何だかんだ言いつつこの目の前の市丸ギン隊長を尊敬しているのだ。そんな人からのこの優しい言葉に、僕は普通に飲み込まれてしまった。
「仕方ないなァ」と踵を返そうとする隊長に向かって、「やっぱり貰います!!」と高らかに宣言した時の隊長の顔と言ったら、異常なほどに楽しそうな嬉しそうな。

まあ、口に入れて頬張った瞬間に吐きましたが。



「ごめんなァイヅル、ボクイヅルが干し柿嫌いなの知ってて言うたんやけど、ホンマ食べてくれるなんて思て無かったんや、無理さしたね」

しゃがみ込んで僕の頭を撫でながら、全く悪びれた様子が無いように笑ってそんな事を口にする。ああもうくそ、こうなるなんて分かっていたことなのに。胃から込み上げてくる吐き気に耐えながら、僕は隊長じゃなくて簡単に流された自分に腹を立てた。
「ほな、四番隊行こか」と腕を引っ張られて、半分抱えられる形で立ち上がる。
最初の沈んだ暗い気持ちは無くなったけど、また違う感情が新たに体の中に入ってきたような、そんな感覚。
………ああ、これってストレスなのかなぁ、隊長の着物にしがみ付きながら、僕はぼんやりとそう思った。


――――――――

イヅル口調って楽。イヅルみたいな子の口調が一番楽だ。
ギンイヅとも確定できない内容だ…ギンイヅ可愛いよね
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