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2026年06月13日
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気持ち入り(白恋)

2010年12月25日
現代パロ!クリスマス!

色々と微妙!





自分の部屋じゃない、寧ろそれとは正反対だろう綺麗に片付いた殆ど何も無い部屋に奇跡的に置かれていた高級そうなソファに寝転がりながら、これまた奇跡的に置かれていた大型の、新型の真新しい液晶テレビを少しうとうとしながら見ていた。
この部屋はあの人の私室だ。机とソファとテレビ、ベッドと本棚しか置かれていない、シンプル(と言うには少し高級感が溢れすぎているような気がするが)な部屋。確か違う部屋にはスクリーンくらい大きいテレビがあったはず。……使う事なんてあるのか、あの人が。テレビなんてあまり見ないイメージだ。いや、ニュースは見てそうだけど。
いつでも金欠でボロくせぇアパートに住んでる俺には全くと言って良いほど無縁そうな部屋で、まるで自分の部屋のように寛ぐ俺。だって家主が寛いでろって言ったから、寛いでも良い訳だよな。
でも流石にベッドの上を占拠する事は躊躇ってしまい(なんてったってシーツとか布団とかが有り得ないくらい整っていたから)、こうしてソファに落ち着いている。
視線を注いでいるテレビでは、昼の情報番組みたいなものが映っている。良く知らないオッサンとアナウンサーが何かを話しているようだが、生憎うとうとしていた俺には会話が聞こえなかった。

別に好きでこの番組を見ている訳じゃない。あの人の仕事がまだまだ終わらないらしいから、その暇潰しでなんとなく電源を入れたら、このチャンネルだっただけだ。
せめてトーク番組の方が幾分かは楽しめるかもしれない。リモコンに手を伸ばしたけど、若干届かなかった。
眠かった俺はそれ以上手を伸ばすのもだるくて、少し腹が立ちながらも番組に目を向けた。
情報番組では、『バブル時代のクリスマス』とか何とかいう題名が画面に浮き上がっていた。
続けて画面に映るのは、腕を組んで歩くカップルの姿だとかプレゼントを買う男の姿、道行く人間にインタビューするアナウンサーとか、それに答える男とか。
そういやクリスマスか。一年も早いもんだよなぁとオッサン臭い事を思っていると。
画面の隅に現れた言葉に、俺は顔を上げた。

『女性は、男性から貰っているプレゼントを現金に換えていた!』
『プレゼントを貰う為に何人もの男性をハシゴしていた女性も!しかし貰ったプレゼントは全て買い取り店に持ち寄り、現金に換えられているのです』

心なしか楽しそうに話すアナウンサーの言葉と共に、画面に映し出されるのは高級そうなバッグやアクセサリー、特にネックレスや指輪辺りが多いように見える。
俺には関係ないのに、ふつふつと沸き上がるのは怒りのみ。
そんなときに、漸くこの部屋の持ち主さんが戻って来たようだ。
ノックもせずに(当たり前だけど)入ってくる人は、確かにその人。真っ黒なスーツに身を包んで、同じく真っ黒な長い髪を下に束ねたその人は、ソファに座ってる俺を見、テレビを見、そして口を開く。

「何を不機嫌そうにしている」

顔は平静を装ってるつもりだったのに、どうやら何故か判ってしまったようだ。

「仕事は?」
「…今日は午前だけだと言った筈だが?」
「……だったっけ?」

如何やら記憶が曖昧だ。しかしこの人がそう言うのならそうなのだろう。というかめちゃくちゃ睨まれてるから、そうだと納得しざるを得ない。
小さく頷いていから、俺はソファの隣を少しだけ開ける。大きい代物だから別に俺が退かなくても余裕で一人二人座れるんだけど、まあ其処はなんとなく、だ。思った通り、その人は隣に腰を下ろした。



「なぁ白哉さん」
「何だ」
「アンタはさ、恋人から貰ったプレゼント、売る?つか、売ったことある?」

やはり予想通り、訝しげな顔をされた。どんな顔をしても同じように見えるくらい表情のバリエーションが少ないこの人の表情を読み取れるくらいに、俺は成長してるんだなぁとこっそりしみじみとする。
白哉さんは暫く足元を見つめて考えていたようだが、不意に俺に目を向けた。

「お前はどうだ」

そう来るか。質問に答えろよと思いながらも、俺は自分の考えを口にする事にした。

「ある筈ねーじゃん!つか有り得ねぇ!恋人から貰ったモノですよ、それを金に換えるとか!オンナって信じらんねぇ!ホントに正気なのかよ」
「そのような時代だった故、致仕方ない」
「アンタは許すのかよそう言う事。じゃあ売ったことあるってことか?」
「……私自身、そのような事はしない。一度、売られた事はあったが」
「マジかよ?!」

叫ぶように(実際叫んだのだが)言葉を発すると、白哉さんは五月蠅いとでも言うように俺を睨んだ。
この人は相当整った顔をしてる。俺の百倍……千倍?其処まで言うと俺自身が虚しくなってしまうが、兎に角綺麗な顔。女にもさぞモテるだろう。逆に一度だけというのは運が良かったのかもしれない。
その一度でさえ、自分の事じゃないのに苛立ちを感じる俺がいる。

「何をそんなに憤っている」
「……人から貰った、つーか…大事な人から貰ったモノを金に換えるっつーのがなんかムカつく」

隣の人は金持ちのボンボンだ。俺のこの気持ちはあんまり分かって貰えねぇかもしんないけど、俺個人としては贈り物ってのは金とか質で決まるんじゃないと思う。贈る奴の気持ちが大事だと思う。
ああ、何か凄い女々しい事言ってる俺。
大体折角自腹でそいつの為にプレゼント買ったのに、その好意を無下に扱う奴はほんとに人間なのかよ。

「そうか」

一言、白哉さんは呟いた。

「私も同じ意見だ」

予想外…だった訳ではないけど、ちょっとだけ意外だったその答えに、俺は驚いた。

「相手の気持ちが籠っているのならどんなに価値が低い物でも造りが安易な物でも、私は良いと思っている」
「……じゃ、俺からの200円の鯛焼きでも?」
「それにお前の『気持ち』とやらが入っているのなら、貰ってやろう」

ふ、と小さく笑う白哉さんの顔は、やはり綺麗なまま。崩れる事なんか絶対無いんだろうな。
そんなどうでもいい事を考えながら、この人の言葉を少しずつ思い返してみる。
つまり気持ちが籠っていれば何でもいい、と言う事だろう簡潔に言えば。それこそが俺が一番意外だと思っていた部分。白哉さんの口から『気持ち』という単語が出てくるなんて俺でさえ予想してなかった。


そうか、白哉さんは物が欲しいんじゃ無くて『気持ち』が欲しいのか、俺の足りない頭での結論はこうなった。

「物なんて要らないですね」
「何だ急に」
「既に気持ちがパンっパンに詰まった俺がいるんだから、プレゼントは要らないですよね?」

態々物に詰めるよりも、手間も暇も掛からないじゃないか。
目の前の人は俺をじっと凝視していたけど、やがて眼を細めて口を開いた。



「………それがお前の『気持ち』ならば、貰ってやろう」



珍しく笑みを顔に浮かべながら、ゆっくりと俺の額に口付ける。
俺の遠回しな遠回しな告白、これは受け取って貰えたと判断して良いんだよな?
とりあえず白哉さんに抱き付きながら、俺は怪しいくらいににやついていたんじゃないかなぁと思った。

今年のクリスマスは、好きな人と一緒!


――――――――

ぐだぐだでしたがクリスマス用のヤツ…
一番のプレゼントは君が傍にいる事、とか可愛いなぁと思った
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