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2026年06月13日
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あけおめことよろ(イチウリ)
2012年01月02日
あけましておめでとう一日中にかけなかったよ!
『あけましておめでとうございます!!』
テレビから嬉しそうな男性アナウンサーの声が聞こえた。
それに伴って、周りの観客達やスタッフも一斉にわぁっと声を上げて、壮大な音楽が流れたりクラッカーが鳴ったりと、テレビの向こうは忙しない。
いつの間にそんな時間になっていたのか。本を黙々と読んでいた僕には分からなかった。
年越しという、人間にとってめでたい瞬間を僕は在り来たりな推理小説を読んで過ごしてしまった。
…とは言っても、別に残念に思ってるわけでも悔やんでいるわけでもない。世の中には零時になる直前にその場でジャンプして「年越しの瞬間地球に居なかった」というものをやる人間もいるようだが。
僕には興味がない。年越しだなんて壮大に言うけど、普通に寝て普通に過ごすだけでそのイベントは儚く終わる。言うほど重要なものでもないだろう。
確か去年も僕は、本を読んでいたら年が明けていた。それくらいしか記憶にない。
僕は去年の年明けに何をしていただろう。確かずっと家にいた。井上さんに初詣に行かないかと誘われたけど、人ごみが苦手だから断った。
年が明けて一番最初に会った人間は竜弦だった。わざわざ家まで来て嫌味を言ってお年玉を置いてさっさと帰っていった。新年早々一番最初に一番会いたくない奴が来るなんて、お年玉はありがたかったけども。
後はずっといつも通り。部屋を掃除したり、裁縫したり本を読んだり。
(……ああ、そうだ。去年は黒崎もここに来たな)
既に元旦は過ぎ去ったというのに、彼は新年の挨拶をしながら無遠慮に家に上がりこんできた。そのうえ雑煮を作れなど、全てにおいて急だった。その時はついつい流されて雑煮を作ってやったけど。
嬉しそうに食べてたなあ、と思う。その辺というか妹さんに作ってもらうものとなんら変わりないというのに、彼が美味いと笑いながら食べていたのが此方も嬉しかった。
今年も彼は来るだろうか、と自分らしくない期待を持っていたことに気付いたのはそこまで思い出したときだった。
急に来たときは本気で迷惑だったのだ。こっちだって予定があるし、共に買い物に行くことになったときは僕は本当に怒ってた筈なんだけど。怒りが浄化されたのはどこからだ。
時計を見ると、まだ年が明けて十分程しか経っていなかった。随分長い間思考に浸ってた気がした。
上の空になっているとき、時間が経つのは早いなと感じることの方が多い。今回そう思うことがないのは、多分僕が人を待ち焦がれているからなんだろう。楽しい時間は速く過ぎるように感じるし、退屈な時間は遅く過ぎるように感じる。それと同じことだ。
(…………待て、僕は黒崎が来るのを楽しみにしているということか)
自分の思考に頭が痛くなった。どんな方向から考えても、結局はその一点にしか辿り着かない。
らしくない。本当にらしくない。何故黒崎が来ることを楽しみにしなきゃいけない。何故僕が待つ必要がある。
それに、去年黒崎がうちに来たのは元旦から数えて五日目。もしも、多分、きっと来るとしたらまたそれくらいの日にちだ。だったら元旦当日から待つのは本物のアホだ。僕はアホなのか。
多分黒崎を待ち焦がれているのは、久しぶりに一人じゃなかったからだ。
師匠がいなくなってから、イベントごとは基本一人が当たり前だったし、歳を重ねると寂しいという感情も忘れる。一人が平気になる。
一人じゃない年明けは何年ぶりか。一人じゃない嬉しさに少しだけ踏み込んでしまった僕は、寂しいという感情の欠片を頭の片隅で見つけてしまったのだ。
「寂しさ」だなんて、一番思い出したくない感情だったのに。
そう、今まさに僕を包んでいるのは「寂しさ」だった。
だからこんなにも、黒崎が来ることを待ちわびている。来るかどうかなんて分からないのに、期待せずにはいられないくらいには、僕は重症だ。
「………黒崎」
ピンポーン、小さく聞こえてきたそれは僕の部屋のインターホン。
俯けていた顔を上げて、重い腰を上げた。こんな時間に誰だろう。不審者かもしれない。でも僕は全く警戒せずに戸の前まで歩く。
強い霊圧。
知っているのは一人だけ。
「よう」
夜の暗闇に負けない明るさを持った、オレンジ色。
これは夢か何かかな、随分と都合がいい夢だ、きっと疲れているんだ寝ようかな、なんてドアノブを掴んだまま思った。だって本当に都合がいい。僕の思考が漏れていたわけでもあるまいに、彼がこんな時間にここに来るなんて。
黙ったままの僕を訝しげに思ったのか、目の前の黒崎一護は僕の目の前で軽く手を振る。
「……何しに来たんだ」
「あ、生きてた。あけましておめでとうございます」
「……おめでとう、ございます」
「今年も何卒宜しくお願いします」
あれ、デジャヴ。
こんな会話、去年もした。僕の話を全く聞く気がない黒崎。でも今回の黒崎は僕の部屋に無理矢理入って来ることはなかった。戸の外で僕の顔をじっと見ている。居心地が悪い。
「…お雑煮は作ってないよ」
「……あッ?あ、ああ。そっか、残念だな」
去年は「雑煮を食いにきた」などという取ってつけたような理由でうちに来た。嘘くさいとは思っていたが、今回もそんな理由を取り繕うと思ったから先にそう言っておいたのに、黒崎の反応は僕の予想とは違っていた。
今日黒崎が来ることも、雑煮を食べにきたわけじゃないということも、全て僕の予想外。
予想外って嫌いなのに、こんなにも嬉しい予想外ってあるのだろうか。
当の彼は、頭をかいたりポケットに手を突っ込んだりと忙しい。
「あのさ」
彼の頬は真っ赤。この寒さの中わざわざここまで歩いてきたからだろう。オレンジの頭にはまだ解け切れてない雪の結晶が積もっていた。
「今回は雑煮食いに来たんじゃねーんだ」
「…そうなの」
「お前に一番に挨拶したくて来た」
本当は零時ぴったりに来たかったんだけど、家出ようとしたら親父に止められて、ちょっと揉めてたら過ぎちまって。
ぶつぶつと言い訳みたいに黒崎は呟く。
でも僕は殆ど聞いてなかった。
去年は来た理由を明確に説明してくれなかった。だからどうすればいいのか分からなかった。
今回は理由を話してくれた。でも今、どうすればいいのか分からない。
でも、でもとにかく。
「……今から、お雑煮作ろうと思ってたから」
「え?」
「食べていっても良いよ」
そう言ったら、彼は驚いたあと、嬉しそうに笑ってくれた。
本当は作る予定なんかなかったから、用意なんてこれっぽっちもしていない。材料だってあるかどうかさえ分からないし。とにかく黒崎を引き止めておきたかったのだ。
まさか自分から黒崎を部屋に入れるなんて思いもしなかった。
気が付いたら、僕に纏わりついていた「寂しさ」も消えていた。
――――――――
一護の「お前に一番に~」の件が書きたかっただけなんだけどな…長くなったな…無駄に
去年のあけおめ話と繋がってるよ!しかし去年に比べて雨竜さんがデレすぎた
イチ←ウリ好きです…矢印反対も全然好きだけどね…!!イチ→→→→←(←←←←)ウリみたいな、表に出さないだけで一護のことが本当に大好きな雨竜さん…!TSUNDERE!!
来年も続くといいな…!
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