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2026年06月13日
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運命(P4:花早紀)

2012年05月23日

もう何回目だ。
俺達の運命は最初から決まっていて、そして誘われるかのように終局へと向かう。
もう何回目だ。
運命は変えられない。俺は全部知っていた。
もう、何回目だ。
俺はあと何回、貴女がただ死んでいく運命を、無力な自分を悔やめばいいんだ。



「先輩、お疲れ様」

目の前の彼女は疲れた顔で綺麗に笑った。
俺は全部知っていた。その笑顔が嘘だってことも、本当は俺になんか笑いかけたくもないんだってことも、最初っからうざがられていたってことも、知りたくない事だって、全部。

「うん、疲れたよー。花ちゃんのお父さん、人使い荒すぎー」

からからと笑うその口調の裏では、全てが鬱陶しいと彼女の本心が鳴いていた。
でも俺はその彼女が好きだった。綺麗で、優しくて、可愛くて。初めて会ったときの印象はそんなもので、本心なんて知らなかった。だから好きになった。

「先輩、良かったら次の週末、気分転換に映画でも見に行きません?チケットちょうど二枚持ってんです」
「えー?でも最近忙しくておやすみ取れないんだよねー」
「俺が親父の方にちょっとお願いしてみるんで」
「ふーん……花ちゃんとデートかあ?ちょっとは考えてあげてもいいかも?」
「マジっすか!よっしゃ!」

俺は知っていた。このやり取りが無意味だってこと。彼女にはその気がまったくなかってこと。
もうすぐ四月が来る。
あいつがこの田舎にやってくるのを、ただ黙って待つだけ。
俺の運命は最初から決まっていた。
抗う事はできないって知っていた。だから流れに身を任せることしかできない。(いや、正確に言うと『運命』に抗うほどの度胸がなかっただけだ。俺はただの臆病者)

四月が来る。
転校生が来る。
彼女が死ぬ。

「…小西先輩」
「なに?」
「なんかあったら、俺に、…頼りになんねーと思うけど、相談してください」
「どーしたの改まってさ。まあ、花ちゃんじゃあ頼りにはなんないねー。私より弱そうだし?」

くすくすと笑う彼女はとても綺麗だ。
その顔がもうすぐ見られなくなると。もうすぐで彼女は笑顔を奪われて、惨めにも電柱に吊らされて殺される。
俺は彼女に課せられた運命を知っていた。
俺が何を言おうとどんなことをしようと、彼女の運命を変えられることはできない。彼女を救う事は出来ない。
ああ、もうすぐ彼女が死ぬ。
俺はまた。俺は。

「……気をつけてくださいね」
「なにを?」
「や、最近物騒だし」
「そっかな?そんなの都会くらいじゃん。花ちゃんは相変わらずお節介だなぁ。そんなところも花ちゃんらしくてまあいいと思うけどね」

何回でも何回でも何回でも俺はこの人を好きになる。好きになる理由さえ分からなくなるくらい。
彼女は何回でも殺される。
そして俺は何回でも振られる。
(そんなことはどうだっていい。ただ彼女に生きて欲しいだけなのに)


(あいつが来るまで、あと三週間)
(もう少し、もう少しだけ)


――――――――

何週目かの陽介の話
花早紀の切なさには胸が押しつぶされそうになります。だって早紀ちゃんだってちょっとくらい陽介のこと気にかけてたもん絶対
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