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絶望の底
(じゅうだい、)
小さく聞こえた自分を呼ぶ声に、ゆっくりと後ろを振り向く。
しかしそれと同時に、目の前にあった一枚の鏡がパリンと割れた。
粉々に崩れていく鏡だったものを無機質な目でじっと見つめる。
その鏡が割れたことで、先程まで聞こえていた声は届かなくなった。
(またひとり、いなくなってしまった)
感情を全く持たない瞳でガラスの破片を追っていると、一瞬だけ、ガラスの奥で赤く光が輝いた。
けど、それも見えたか見えないかのほんの一瞬の出来事で、その一瞬を十代は見逃した。
その赤い光が、消えゆく最後の最後にもう一度「十代」と叫んだ事さえも。
(またひとり、ころしてしまった)
なにも考えたくない。
なにも考えたくない。
なにも考えたくない。
なにも考えたくないと思っているのに、考えることさえままならない今の自分に絶望した。
今自分がしている事にも。
目の前で消えて行った仲間のことも。
そして今消えてしまった仲間のことも。
これから自分が消してしまうであろう、人々のことも。
(おれが、やったんだよな)
今では一番心が遠く離れてしまった、まだこの世界で生き残っている仲間の言葉が思い出される。
突き刺さって突き刺さって、胸を貫かれた言葉。
違う、オレはこんな犠牲を望んでいた訳じゃない。
オレは、助けたかっただけなのに。
オレが、みんなを巻き込んでしまった。
どうして、なんで、何処で間違えた
こんなはずじゃあ、
(おれがわるいんだ、おれが、ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ)
叫びたいような、怒鳴りたいような、泣きたいような、喚きたいような、
そんな感情だけが奥で燃えていて、それでも彼の瞳は感情を持たぬままに動かない。
虚ろな目で見つめているのはなにもない闇。
彼を取り巻いている空間は、なにもない闇。
彼の心に潜むものも、真っ暗な、真っ暗な闇。
昔は闇の中に居たら息が詰まって苦しかった記憶があるが、今はその深い深い闇が、全てを覆い隠しているようでとても心地が良かった。
息をすることも忘れたかのように、十代はぴくりとも動かない。
絶望の底まで落とされた彼の眼に、再び光が灯される事は永遠に無いのだろうか。
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厨二臭い文章を書いてみたかった。え、いつも書いてるって?