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『紅いぼさぼさ頭』
「ジェイが前に話してた、紅いぼさぼさ頭って誰の事なの?」
ジェイと呼ばれた黒髪の少年は、そんな言葉を口にした本人を見上げる。ジェイにとって、彼を見上げる事は酷く屈辱的で、本当は睨んだ、という表現の方が正しいのかもしれない。
一方見上げられた銀髪の救世主は、彼を見てにこりと笑った。
「……貴方には関係ない事ですよ」
如何でも良さそうに、救世主から目を逸らしながら少年は小さく言った。
救世主は(あれ、少し怒らせた?)と首を傾げる。彼は、人の心の動きに敏感だ。きっと目の前の少年の変化も、彼じゃなかったら誰も気付かないだろう。気付かなくても良い事にも気付くし、そのお気楽そうな顔からは想像できないほどに鋭い。
ジェイは露骨に嫌そうに眉を顰める。整っている顔が微妙に歪められ、救世主―――ライは微かに苦笑する。ああ、聞いてはいけない事だったかな。そう思いながらも、笑みを絶やす事はしなかった。
「良いじゃない別に。只の興味本位さ」
「プライベートな事なので、お断りさせていただきます」
ふい、と顔を背けられる。
分かってるのに。ライは頭の隅でそう思う。
「紅いぼさぼさ頭」って言った時、君が微かに眼を見開いたのを。
何をそんなに頑なな態度を保っているのか。何を話したくないのか。そこまでは流石のディセンダーでも分からない。ライは、ジェイではないから。
そんなこちらの雰囲気を見かねたのか、傍で見守っていたセネルが此方に手招きをする。
ライは素直にそれに従った。ジェイをもう一度振り返るが、もう少年は目を合わせてくれなかった。
セネルは言った。『紅い髪の男』は、彼にとって大切な人なんだ、と。
「ジェイも寂しい筈なんだけどな。何せ喧嘩ばっかりしてたけど、端から見てると戯れてるようにしか見えなかったから」
目の前の青年は、懐かしむように呟く。
ジェイが『寂しい』。そんな素振りは一度も見せない。いつも捻じ曲がった皮肉屋の顔を思い浮かべながら、そうか彼もまだ子供だもの、と自分を納得させる。
友人が居ないなら、寂しいという感情の一つや二つ、持っていてもおかしくは無いのだ。
「ジェイにとって、紅い髪の男の人は特別な存在なんだね」
「……セネルさんから聞いたんですか。別に、特別って言うほど特別でもありませんよ」
「じゃあ、如何してその人の話をしたがらないの?」
先日と同じような質問を問うと、またそれか、とでも言いたげにジェイはライを睨む。
その話はしたくありません。バッサリと真正面から切られるが、ディセンダーはにこりと再度笑った。
「寂しいから思いだしたくないんでしょ?」
彼の大きな瞳が小さく揺れた。ああやっぱりか、と確信を得る。
「そんな訳が無い」と少し怒ったような声で言われ、ごめんねと謝りながらもライは笑顔を崩さなかった。
(君のその心の焦りが、全てを物語っているじゃないか)
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ジェイともーすけは公式コンビなんだから一緒に出ないなんておかしい