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デスティニー関係の小話詰め
・ジューダスとカイル
・ロニとジューダス
・リオンの悪い夢の話
めっちゃ短いのばっかり
リオン・マグナスは裏切り者である。世間ではそう伝えられていた。
別に弁明するつもりもない。裏切ったことは事実だし、その代償としてちっぽけな命を落とした、ただの無様な人間として、人々の頭に刻まれていくだけ。
それに、僕はもうリオンではない。リオンは死んだ。だから誰に何を言われようと、僕には関係の無いことだった。
それなのに、僕がリオンだと知ったあとのカイルと来たら、リオンの噂をする人間全てに食って掛かるのだ。この時代でヤツを裏切り者呼ばわりしない人間など、嘗ての英雄と唱われていた少数のみだった。カイルはその度異端者みたいな目を向けられ、僕はそれを見るのが我慢ならなかった。
「いい加減にしないか!いちいち突っ掛かるなと言ってるだろう!」
「だって!」
みんな、なんにも知らないくせに!
カイルの姿はいっそ必死なもので、こいつは、どうしてこんなにもリオンのことで必死なのか理解し難かった。
だってジューダスが、と彼はぽつりと呟いた。
僕はもうリオンではないのだ。リオンを今更なんと言われようと、僕には関係ないのだ。何度も言っているだろう。
「それでも、嫌なものは嫌なんだ」
カイルが、泣きそうな顔をしていて、僕は驚いてしまう。
「リオンを否定されると、なんだか、ジューダスの存在まで否定されてる、みたいで」
「わかってるよ、ジューダスとリオンは別だって。頭ではわかってるけど、心がついていかない、っていうか」
カイルは必死に説明をしようと、足りない語彙でしどろもどろに言葉を紡ぐ。
僕だって、別に自分の過去であるリオンを否定する訳じゃない。だけど、リオンはもういない。僕だって本当は、ここにいるべき存在ではない。
それでも、この世界にこうして生きているのだ。リオンではなく、ジューダス。お前から貰った名前で、お前の傍に、こうして存在している。
「この時代で、ジューダスが傷付くことなんて無い筈なのに」
「ジューダスはまだ、リオンとして傷付けられるんだ」
オレは過去の話はわかんないし、頭も悪いから上手く言えないけど。リオンの判断が正しかったかとか、そういうの、わかんないけど。
カイルは泣くのを我慢する子供みたいな顔をする。
「とにかく、リオンを貶されて、ジューダスが傷付くのが、嫌だ」
カイルの潤んだ空色の瞳が綺麗だった。父親にそっくりな、美しく輝く純真な瞳。
ああ、お前の息子は随分と優しく綺麗で、出来た子になったものだ。
僕にも少しばかり同じ血が流れていることに後ろめたさを感じたりもしたが、一先ずはそれを忘れて、金色の頭を引き寄せて抱き締めた。
「やさしい子だな」
おじさんみたい、と呟く声に、少しだけ笑った。
20130216
ジューダスはリオンじゃないんだよ、っていうことを言いたかったんだと思う多分
――――
海だあ!と叫んで駆けていく少年と、笑いながらそれに付いていく少女。
太陽がギラギラと照りつける中、子供たちは元気だった。
ぱしゃぱしゃと水を掛け合って遊ぶカイルとリアラを、微笑ましそうにロニは眺める。
本当は自分も真っ先に行こうと思ったのだが、自分の年齢を思い出して踏み止まる。もう何でもかんでも、考え無しに突っ込む歳でもない。
子供たちを見ているだけでもロニは幸せだった。
ふと横を見ると、海に程近い岩場に腰を下ろす仮面男の姿。彼の見た目はカイルとそれほど違わなくて、でも彼には子供特有の愛嬌も愛想も無かった。
ロニ自身、彼を子供となど思ったことはない。寧ろ、全てを見透かすような鋭い瞳や、落ち着き払った性格や言動から、もしやコイツは自分よりも年上なのでは?と疑ったりもした。
「お前は遊ばねぇのか」
「ふん。あんな子供の遊びに興味はない」
試しに話し掛けてみたって、そうやってあしらわれるだけだった。本当に可愛いげの無い。ロニは苦い顔をする。
「見てカイル、変な形の貝殻があるわ!」
「ほんとだ!でもなんか可愛いね!」
カイルとリアラが大きく叫ぶ声が聞こえた。声の方向に目を向けると、カイルがぶんぶんと此方に手を振っている。金髪を水に濡らしてきらきらと輝かせていた。
「二人も一緒に遊ぼうよ!」
ロニはそれに手を振り返しながら、またジューダスをちらりと見る。仮面に遮られて表情なんて全く見えない。
ロニの視線に気付いたのか、ジューダスは小さく息をついた。
僕は行かない。こっちを振り向いたその目はそう示していた。
「海は嫌いだ」
それだけを呟いて、彼はまた海に目を移した。ざざんと波の音と、カイルのこちらを呼ぶ声が太陽の下に響く。
酷く哀しい目をしている、と思った。海を見る目が、深い深い闇の色をしていて、とても寂しい印象を持った。
ジューダスの癖にナーバスだな、とか、適当に雰囲気を盛り上げれば良かったのだが、珍しくなんのイヤミも出てこなかった。
そうやって、ただ海を静観しているジューダスに対して、ロニはなんとも言えない気持ちになった。
なんだかむずむずしたロニは、ジューダスの黒衣に包まれた腕を掴む。
「行くぞ」
ロニよりも一回り小さいジューダスは、引っ張られると簡単にその場から動いた。彼の意志を聞かず海に引き摺ると、砂に足をとられたのか転びそうになっていた。
「おいっ、何だ!」
声を荒げるジューダスを無視し、あと一歩というところで彼を海に投げ飛ばした。ざぶん、と水が跳ねる。
カイルが嬉しそうに、ジューダスの手を引っ張って立たせてやる。黒いマントは砂だらけで、水を含んで濃く色が変わっていた。
リアラが楽しそうに水を跳ねさせる。
ジューダスは呆然と浅瀬に突っ立っていた。
「…貴様、どういうつもりだ」
「ジューダスさんが海がお嫌いと聞いて」
ざぶざぶと波に逆らいながら此方へ来るロニを睨みながら、ジューダスは低く声を出す。
ロニは笑いながら、たまには良いじゃねえか、と能天気なことを言う。ジューダスが更に文句を畳み掛けようとすると、カイルが、二人とも早くー!と言葉を被せてきた。
「ほら、お子様も呼んでるぜ」
「…僕は」
「骨抜きも大事だろ?」
そう言ってカイル達のもとへ走るロニの背中を複雑そうに見つめたあと、大きく溜息をついて、彼らの待つ浅瀬へと歩を進めた。
20130219
決してロニジュではない。ロニとジューダスは複雑な気持ちで繋がる喧嘩友達である
――――
「リオンッ……リオン!!」
悲痛な声音で僕を呼ぶ声には聞き覚えがあった。
いつもはその口から能天気な言葉ばかりを生産するくせに、こういうときばかり、そんな声を出す。
だけど不思議と名前が出てこなくて、視界から消えていく金色の髪の毛だけを追い掛けた。
がらがらと岩が崩れる音も混じって、既に彼の声も途切れ途切れにしか聞こえなくなっていた。
何て顔をしているんだ。普段から笑ってばかりのお前が、たくさんの人々に囲まれ愛されているお前が、なぜ僕なんかのためにそんな顔をする。
最後に見た顔だった。馬鹿みたいな笑顔が見たかったな、なんて思う。最初は煩わしくて鬱陶しくて、馬鹿すぎて苛々が加速するようなヤツの存在だったのに、いつの間にか安心するようになっていた。
ああ、だけどやっぱり名前が思い出せない。大切だったような、そうでもなかったような、複雑な感情ばかりが胸の内をぐるぐると駆け巡る。彼は僕の何だっただろうか。
簡単に、一言だけで表せる言葉があった気がしたのに、迫り来る海水の中、それさえも思い出せない。
僕が水に沈んでいく。
『坊っちゃん?大丈夫ですか?』
ぱちりと目を開けると、見慣れた天井と対面する。
ああ、そうか。夢だったのか。
何度も何度も見たことがあるような、そんな夢だった。酷く自分に馴染んでいくような、そんな夢。でも覚えてるのは夢を見たということだけで、内容はまるで誰かに消されてしまったかの如く、全く覚えていなかった。
シャルティエが気遣わしげに僕に挨拶をする。どうやら僕は泣いていたようで、頬が濡れているのに今気付いた。
『怖い夢でも見ましたか?』
「…そうかもしれない」
シャルはそれ以上口を出さなかった。
僕は今日もいつも通り、王の命令に従って一日を過ごす。
どうやらハーメンツに指名手配中のレンズハンターがいるらしい。村からそう通報が来た。僕の任務はそれを捕らえることらしい。
こそ泥の集団など興味もないが、気になる名前を聞いたため、僕が直接確かめに行こうと思った。
『新しい任務ですか、坊っちゃん?』
「ああ、行こうシャル」
僕の運命の歯車が、動く音を聴いた。
(赴いたハーメンツの村で、大変僕の気に障る男を見た)
(能天気そうな頭に、へらへらと笑う顔に、正義感を振りかざす馬鹿な発言)
(しかし、僕を呼ぶ声を、どこかで、)
20130221
夢という名の無限ループ
スタンたちと出会う未来がある限り、リオンはずっと自分が死ぬ夢を見続ける、リオンの死は全部リオンが見る夢なんだよっていう話。意味が分からん
夢であるように何度も願ったよ俯いたまま (きみが死ぬ未来なんて、)
でぃーんの夢であるようには本当に聴いてると切なくて悲しくていとしくなる